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何でも合う食パン(1)

浅田風子は、悩んでいた。現在小学5年生だが、こんな歳でも悩みは尽きない。大人に相談すると、いつも大笑いされるので、悩みはいつも胸に秘めていた。


「風子って八方美人じゃね?」

「わかるー。みんなに良い顔してるよね」

「ぶっちゃけウザいよなー」

「わかる、わかる。いつもオドオドしてるっていうかさ」


 ある日、女子トイレから自分の悪口が聞こえてきた。思わず身体がこわばるが、女子達の悪いところは、風子でもよく知ってる。裏表があるというか、芯が無いというか、その場しのぎというか。一言で言うと、軸がない感じ。


「あ、風子。トイレー?」

「う、うん」


 トイレに入ると、女子達は、ころっと態度を変えてきた。正直、この態度の変わりようは、納得はできないが。


「はは」


 思わずヘラヘラと笑って誤魔化す。本当は、友達だと思っていた女子達に悪口を言われ、心は傷ついていたが、「やめて」とか「今、なんて言ったの?」などと言い返す事が出来なかった。


 泣きたい気持ちを堪えながら、個室のトイレに入る。和式トイレで、防臭剤のキツい臭いが漂う。トイレ掃除当番では、素手でトイレの壁や床を磨く事があった。担任の先生は、スピリチュアルにハマっていて、そうする事で幸福になれると信じていたようだったが、別に何も変わらない。


 当時の手の感触なども思い出していたが、思わず不快感が胸に込み上げる。泣きたい気持ちとごちゃ混ぜになり、心は複雑になる。


「うぅ」


 小さな声が漏れる。


 本当は女子達に言い返した方が良かったんだろうか。それともスピリチュアルにかぶれてる先生に言うべき? なんとなく「波動が悪い、あなたの自己責任」と言われそう。


 結局、ヘラヘラ笑って何事もなかったかのように過ごす事になるだろう。


 風子は、こうやって自己主張が出来ない事に悩んでいた。八方美人で、みんなに良い顔をしてしまう。オドオドと人の顔色をうかがってしまう。嫌われる勇気なんて全く無い。


 どうすれば良いんだろうか。子供の頭では、答えは見つけられそうになかった。

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