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開店

 私は、神様に仕える天使だ。


 神様の命令で、依田光というクリスチャンのお守りを任されていた。年齢は16歳の女子高生だ。夢に悪魔や悪霊が侵入しないようにガードしり、セクハラなど悪さをする悪魔憑き人間をボコボコにして守る役目などがある。


 天使の仕事は、基本的に神様の命令で動く。クリスチャンを影でこっそり守る事も仕事の一つだ。時々肉体をもち、地上に行く事もある。光は要注意人物だと神様に言われ、地上に行く事になった。


 神様が言ったように光は典型的なサンデークリスチャンなってしまった。親がクリスチャンだから、とりあえずそうなったタイプで、日曜日以外は全く祈らない。確かに洗礼後数日間は熱心だったが、最近はすっかり普通の人みたくなってる。祈らないとこっちも全く仕事が出来ないのだ。基本的に人を強制する事などはできず、自由意思で祈って神様に頼らないと何も動かない。それに光は女子校に通っているおかげか、変質者やストーカーのようなものも現れない。こういう緊急事態は、仕事が出来るんだが、それも無い。


 暇になった私は、一旦天界に里帰りし、神様に他に仕事がないか聞いてみた。天使の数は人間の数より多く、膨大にいるので暇になる事は別に珍しくはない。天の仕事は、ホワイト企業そのもので、ゆとりがあるが、私の性分は社畜そのもので、仕事をしていないと落ち着かない所があった。すると、「副業でパン屋でも経営したら?」と言われた。何故パン屋?


 まあ、普通のパン屋と少し違うようだし、場所も教会のすぐ側に作るから、あまり心配はなかったが。


 パン屋も楽しそうだ。パンと聖書は関係が深いし、是非やってみたい。神様が地上でバカンスをする人気漫画もあるが、ちょっとそれっぽくて楽しそう。


 ちなみに天使の姿のままでパン屋をするのは問題という事で、神様から地上用の肉体と名前も新たにもらった。


 私は天使なので性別はないが、今回は二十五歳ぐらいの青年の姿となった。天使バージョンの時と雰囲気は被るルックスになったが、これも神様の意図もあるのだろう。確かに顔は良いので、接客業で不利になる事はなさそうだ。


 名前は、天野蒼というものになった。日本に行くし、漢字のカッコいい名前になった。それだけでもちょっとワクワクするね。


 パン屋を開く場所は、日本の関東にある穂麦市という小さな町だった。担当の光もこの町の住人だ。


 概ね静かで平和な町だったが、なかなか厄介な人間も多く居るようだ。神様から要注意人物の名前リストを貰い、彼らにパンでもご馳走してやったら良いと言われた。どうやらパン屋を経営するのは、人間に癒しや希望や提供する目的もあるようだった。パンの材料は神様が直接育てた天界のものだし、無添加オーガニック素材で癒されるかも。もっとも光のお守りが本業だが、こんな副業も楽しそうだ。


 神様は一人でパン屋を営業するのは心細いだろうと相棒も与えてくれた。


 柴犬だった。


 たまに天使も動物に入り、地上で神様の仕事をする事もあるが、この柴犬の中身は天使ではないようだった。


 しかし、とても可愛い犬だ。地上で天使の仕事をするのは、意外と大変なので、心は癒されそうだ。あまり知られていないが、可愛い動物は天使の似姿に創られているらしい。


 柴犬には、ヒソプという名前をつけた。


「さあ、ヒソプ。開店だ」

「わん!」


 ヒソプの元気な鳴き声とともに、開店準備作業をすすめた。


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