神様の手違いで運の悪かった俺。転生して運極振りでスローライフを送りたい!(ショートショート・749文字)
実に運が悪い。
外を歩けば鳥の糞。道を歩けば犬の糞。
道路を渡ろうとすれば赤信号だし、バスに乗ろうとすれば直前で満員になってしまう。
どうしてこうも運が悪いのか。
もしも神様なんていうものがいるのなら、あまりにも不平等じゃないか。
いつか見つけてとっちめてやろう、と思っていたら死んだ。
道を歩いていたら支柱の腐っていた看板が倒れてきて下敷きになったのだ。
まったくもって、運が悪い。
「いやぁ、申し訳ない」
死んで霊となった俺は、いつの間にか真っ白な空間にいた。
そこにはひげもじゃの、いかにも貫禄たっぷりの男がいて、いきなり俺に謝ってきた。
「なんなんだ、あんたは」
「いや、実に申し訳ない。私はキミを生み出した神様なのだ。しかし……ちょっとしたミスがあってな」
「ミス、ですか?」
「そうだ。運のパラメーターを0にしてしまっていたのだ」
「どうりでついてないはずだ。死ぬ間際に見た走馬灯は、僕の人生のハプニング集でしたよ。ちっともいい思い出なんてない」
神様は頭をかきながら目を細めた。
「お詫びとして、今度は運のパラメーターをマックスにして、別の世界へ生まれ変わらせてやろう」
「本当ですか? 神様に会ったらとっちめてやろうと思っていましたが、まあいいでしょう。生まれ変わって人生をやり直せるなら」
「今度こそ楽しい人生を送れるに違いないぞ。存分に期待するがよい」
「ありがとうございます! 今度の人生は前向きに生きていきます! 運さえよければ、楽してのんびり暮らせることだろう」
俺の体が透けていく。
どうやら転生の準備が済んだようだ。
幸運に恵まれた人生を夢見て、俺は新たな世界へ旅立った。
「…………あれ? しまった。あいつの運のパラメーター、0よりも悪いマイナスにしてしまったぞ。まあ、いいか。運が悪かったと諦めてもらうほかあるまい……」
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