1. 異世界転生⁈
「オギャアァァァ、オンギャアァァァ...」
「元気な男の子ですよ!」
ん?あれ?何かがおかしい。
そうだ!神様に転生させてもらったんだった!
・・・さかのぼること5時間前・・・
「こっ、ここは?」
「おぉ、目が覚めたか。」
(ここは転生する前の神の間かな?小さい頃は夢見てたな、異世界に行って、地位はそこそこの優しい家庭に生まれて、魔法属性全部持ちの魔力上限なしに、欲しいスキル全部もらえてぐうたらする!みたいなことに。現実逃避はもう辞めよう...ここは本当にどこなんだろう?)
「ここは神の間じゃぞ。」ひげの長い老人さんは言った。
(神の間にいる人といえば神様だろう、でも聞いておこう)
「あなたは神様なんですか?」
「ああ、そうじゃ。」神様は間髪入れずに言った。
(でも、そうなのだとしたら僕は何故ここに?)
「僕はどうしてここに居るのか聞いてもいいですか?」
「良いぞ、ではわしが語ってやろう。...ぬしは子どもの頃は仲のいい両親に育てられ、なに不自由する事なく過ごしていたな。だが、その平穏打ち砕かれてしまった。」神様は淡々と僕の人生を語っていった。
「はい。」僕は相槌するしかなかった。
「まずは、ぬし達のことを大事にしてくれていた祖母が、天寿を全うし亡くなってしまった。そこまではまだ良かった、しかしその後、不況により父親は職を失い毎日酒に明け暮れてしまい、母親がこんな父親の元には居させられない、とぬしを叔母夫婦の元へ預けた。」
「まぁ、そうですね。叔母さん達は僕に良くしてくれたとは思います...」
「叔母夫婦には子どもはいなかったが教育熱心だった。しかしおぬしは叔母夫婦に気に入られたくないため、わざと勉強が出来ないフリをした。」
「ほんとは全部しっかり勉強してたんですけどね...」
「叔母夫婦はそれでもぬしに気をかけていたが、いつの間にか愛想をついてしまう。そしてぬしは望み通り、両親の元へ返された。」
「両親の元に帰ったら、すごい惨状でしたね。父親は母に向かって怒鳴って、それにひたすら耐えていた母はうつ病にかかってしまっていました。」
「それはそうだろう、あの怒鳴り方はすごかったからな〜。では続けるぞ。