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1章7話
半年前の涼しい夜。柏原と有田は2人で並んで歩いていた。辺りを月が照らし、とても綺麗な夜だった。
<今日はありがとう! よしくん。>
<僕の方こそありがとう。楽しかったよ。>
辺りがは静寂に包まれると同時に月が雲に隠れた。
<よしくん、少し奥に人いる?>
<みたいだね。しかも1人だ。>
<どうかしたんだろう?>
会話が終わってすぐに月が出た。
それからずっと柏原は後悔している。
よく考えれば変だった。辺りは静かで薄暗く、人通りのない時間に男が1人でいるなんて。
柏原が違和感を覚えた次の瞬間、男が刃物を持って目の前にいた。
<<え?>>
2人の間抜けた声がすぐに有田1人の悲鳴に変わる。
柏原の状況把握が遅れる。
男はいない。
有田は腹部に手をあて蹲った。
有田の腹部から、赤黒く温かいものが溢れだしていく。
<うっ!!>
有田の声にならない叫びでやっと柏原は状況を理解し、119番に電話をかけた。




