プロローグ
「どう…して……?」
見慣れた町並みはそこにはなかった。聞こえてくるのは轟音、目に入るってくるの何本もの火柱、鼻から吸い込む空気は鉄の臭いで溢れかえっていた。
見上げれば何体もの巨人が視界に入ってくる。GSと呼ばれる今では人の生活に欠かせない二足歩行型の駆動兵器。
「なん………で?」
いつもの日常。授業はほどほどに聞いて、馬鹿な話を友達として、幼馴染みと一緒に帰って。そんな毎日がずっと……ずっと続くと思っていた。思っていたかった!
この巨人達が奪ったこれからの生活を思うと、怒りが自然に込み上げてくる。
「うっ………」
片手で抱き締めている幼馴染みが呻きを上げる。良かった。生きている。服はボロボロで顔に傷が少しついているようだが、息もしているし意識がないだけなのが分かる。だからこそ………
「なん……で?」
再度同じ言葉。いつもと同じ帰り道。それを壊した巨人達。落ちてきた瓦礫から彼女をただただ守りたかった。それだけなのに……
「僕は……」
片手には庇った幼馴染み、そしてもう片方の手は落ちてきた瓦礫を支えていた。いや、瓦礫というのは少し語弊がある。これはビルだ。
ビルを受け止めた片手を見る。およそ人間が片手で持てるわけがないそれを軽々と持ち上げている手は潰れている。本来、肌色だった皮は裂け、骨が飛び出て、血まみれになっていてもおかしくない。
しかし、ひしゃげ潰れた片手から見えたのは血でも、ましてや骨でもなく機械の手だった。
「僕は……何者なんだ?」
その日、人として生きてきた、僕のいつもの日常は脆くも崩れ去った。
今すぐに更新予定はないですが、こういうのを書くつもりってのをお試しで書いてます。