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僕とさくらとメロウなイブニング

「あー、マサハルじゃん。こんなところでどしたし?」

「こんなところって、見りゃわかるだろう。ジム帰りだよ」

「たはー、そうだよね。スポーツバッグ肩から下げてるもんね」

「お前はもうちょっと周りを見てから喋れよな」

「うむ、だねっ! 反省します」


 日課のトレーニングの後に、僕に向かって喋りかけてきたこの女の子、まぁ、女の子と言っても同じ学年のこの彼女は、竜崎さくら。明朗快活が生きて歩いているといってもいい彼女とは、幼稚園からの腐れ縁だ。幼稚園からの付き合いについて語ろうとも思ったが、やめることにする。理由は色々とあるが、一言で言ってしまえば、彼女とのここまでのやり取りをご覧いただいた皆様にはお分かりだろう。年中こんな感じだ。年中このような感じなので、長々と説明するのも勿体無いし、彼女との会話を聞いていてもらったほうが分かると思う。


「さくらこそどうしたんだ? 学校や家と反対だぞ、ここ」

「えへへへへっ。これだよ、これ。じゃーん!」

「おーっ。メルドラクエスト。今日発売だったっけ」

「そうそう。数か月お金を貯めて待ってた甲斐がありましたってもんですよ」

「そういえば、ずっと前からお金貯めてたな。下校途中の買い食いも減らしてさ。そのせいか知らんが、ちょっとはスレンダーになったじゃん」

「ちょっとーっ。多感な女の子にそういうことを言っちゃう?」

「ははっ、すまんすまん」


 多感な女子高生は、ロールプレイングゲームにうつつを抜かさないと言おうかと思ったが、やめることにした。理由は彼女にそんなことを言っても意味が無いし、手に持っている鞄や何かで思いっきりぶっ叩かれる可能性が大きいからだ。

 彼女のことはよく分かる。分かっている。

 彼女と僕、小野マサハルは、幼稚園からの付き合いであるが、それ以外にも色々と似たものを持っている。誕生日も近いし、家も近い。共通点の多さがそうさせるのか、何となくシンパシーを感じるものがある。性格が竹を割ったように分かりやすいということを差し引いても、彼女のことはよく分かるつもりだ。もちろん、全部ではないが。


「ねぇ、マサハル。せっかくゲーム買ったし、うちでやろうよ」

「うちでって、それロープレだろ? 協力プレーなんてできないぞ」

「あー、そっか。じゃあさ、横で見ててよ。分かんないところがあったら、ヘルプお願いしていい?」

「いいけど、もう夜だぜ? お前んとこの母さん怒らないの?」

「ふふっ、今日は夜勤でどっちもいないんだー」

「マジか」

「そう、マジなんです。今日は金曜だし、徹夜でいけちゃうんだよね」

「だから、年頃の女の子が徹夜なんてするなって。あと、そんな時に同じく年頃の男を家に上げるなよ」

「えーっ? なんだってー?」

「だからさ、男を家に上げるなって」

「マサハルなら大丈夫だよ。あれ、何かヤラシいこと考えてんの?」

「考えてないよ。つうか、お前に言い寄る奴は余程の物好きだぞ」

「あっ、ひどい。じゃあさ、いつも突っかかってくるマサハルはなんなのさ」

「それをここで言わせるかなぁ。まぁ、同学年の女子の中では綺麗な方だと思うよ」

「えーっ? 何だって?」

「くそっ、いっつもズルいんだよ。分かってて聞こえないフリして」

「はいーっ?」


 小野マサハル、一七歳の高校二年生。部活はバドミントン部。彼女はいないけど、好きな子はいる。明朗快活な女の子で、自分ではよく分かっているつもりだが、肝心の向こうの気持ちが分からない。こちらから一歩を踏み出さないといけないのも分かるが、これがなかなか難しい。


「あのさーっ。今日の晩ご飯、鍋でいい?」

「あぁ、いいよ」

「よかったーっ。白菜とか具材多めに買いすぎちゃって」

「だから、ちょっとは考えて買おうよ、な?」

「そうだね、反省」

「でさ、今日はどんな鍋なんだ?」

「今日は水炊きだよ。ポン酢は結構吟味して選んだんだ」

「おー、そうなのか」


 僕はそう言いながら、家にご御飯を外で食べることをメールした。彼女とどうなるかは分からないが、とりあえず今日は、彼女の家でご飯が食べられるだけでも良しとしよう。

もりやす たかと申します。

タイトルは語感でつけました。

なので、あまり意味はありません。

例によって乱筆乱文ですが、以上、よろしくお願い致します。

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