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始まりの書

フィルと別れ、大体21時になったけれど、夜行性、とまでは言わないけど夜はあまり眠くならない。

書庫にでもいって、初代の日記、じゃなくって歴史書かな?を読んでみようと地下に来た。

昨日来たばかりだけど、ろうそくの光だけを頼りに進んでいくが真っ暗で一人だと怖く感じる。でも、怖がってるだけじゃ、なにも進まないし、フィルがいなくなった後でそんなことをいい続けることは、できないんだろうしね。

しばらく歩くと扉が見えた。扉を開けると本の匂いが広がる。

本棚をみるときっちりと敷き詰められている。数が多いから何個とか正直わかんないんだけどね

『始まりの書』

というタイトルを見つけた。筆者をみると高橋清志と書かれてあり、うっすらと初代と書かれていた。多分初代って書くのは気が引けたんじゃないかな?二代目とか続くかもわかんなかっただろうし。

思うところは色々あったけど、その本を手に取り入り口付近にあった机におき、読み始めた。

『始めに、もしかしたらこれがどんな形で残るとか全く予想もつかないんだけど、残しておいて損はないと神?なのかな?頼まれたやつにそういわれたからな、これからなんてわからんから取り敢えず日記のようなものをつけようかな、と思う。字が汚いとかおかしいとか気にしないでくれな?

ーー

友達と話していると急に立ちくらみを起こして倒れると男の人、しかも異人。神とかいう変なやつが挨拶をして来たが、正直嘘みたいな話で夢なのかと思ったが頬をつねると痛い。すると男は私の代わりに世界を見守ってほしいと言い、その代わりちゃんと全うしてくれたならもとの世界のもとの時代に返す。成長もしないし、不自由な思いもさせない。と約束してくれた。ただし女と契りを交わすなということは守りなさい。と忠告もされたが。婚約もしていない相手と契りなど交わせまい。遊郭などは別として。婚約は家と家との繋がりが出来てはじめて婚約は成立するのだから無理だろう。と婚約はどうでもいいか、ちゃんと返してくれるなら、と受け入れたら森に飛ばされた。もちろん男もいた。世界樹でもあるという木で見守ると宣言をするように言われるとそのように実践してみた。すると自分の容姿が全く別物になってしまった。はぁ、まるで異人ではないか。だが、もとの世界にいけば本来の色に戻るということで納得した。

ーー

しばらくして世界を見てきた、皆纏まりがなく、明日すら過ごせるかということすら考えられないほど疲弊していた。なんとも飢餓に苦しむ子供を見てどうしようもなく悲しくなった。そこで、少し覚えた魔法で土に栄養を与え、植物の育て方を教え、村をまとめる人を決めるように進めた、最初は私のことを怪しいやつと批判されたがしばらく訴えるとなんとかなった。

ーー

村の人々から賢者様と呼ばれるようになった。正直そんな大層な者ではないのだが、村人は相変わらず呼び続けるので諦めた。大地も潤い、村として纏まりを得たここを離れ、別の地方へ行こうとすると皆に止められた。賢者様はここにいるべき存在だ、別のところへなんかいってはならない。この地だけに利益を、と。

そんなこと許されることではない。と切り捨てていこうとすると捕まえられそうになったが魔法で逃げた。恩知らずだよな、ほんと。

ーー

大体世界全てを巡った。皆豊かになってきた。これに50年費やした。それぞれ村だったところは国となり、それなりに豊かになった。でも、戦争が始まった。私が回った国の土地は魔法により豊かになった。その土地を求めて、だ。とても悲しいが、私は手出しできない。

ーー

賢者狩りが始まった。私を国の道具にしたらいいとどこぞの誰かはしらぬが面倒なことになった。この森は神の保護下にあたり、私が許可しなければ来ることはできぬのだから安全だが、面倒なことになった。100年は引きこもり生活か。

ーー

随分代わり映えのない日々を過ごした。50年くらいは毎日のようにこの森に来客があった。答えたことは一度もないがな。それ以降は誰も訪ねてこない。多分収まった、よりそれぞれ私ではなく王となったものが統治をしっかり始めたから、らしい。暇なときが多くなったから、私の相手をしてくれる子がほしくなってきたが、人ではダメだ。かといってこの世界の生き物に干渉しすぎるのもなぁ。

ーー

神が召喚を考えてくれた。賢者で定着したから彼もそう呼ぶそうだ。私の相棒は妖精らしい。私と違い大雑把だったが、弟ができた気分だ。そろそろ、また世界をめぐってこようか、見つからないように、髪を黒くしようと思う。魔法とは本当に便利だな。

ーー

あれからだいぶん月日がたったからな、人も家の作りもすべて変わっていた。いろんな人と話しても笑みがあったが、また戦争が始まった。概ね同じ理由だが、きっかけが惚れた腫れたのもつれだとか。国民が犠牲になってほしくないが、私にはなにもできない。』

ここまで読んで本を閉じた。いくらか飛ばして読んだが大体が戦争についての嘆きがあった。ある国が戦争をやめればほかが、という風に国から戦争が絶えない。神様との接触も描かれていたが、いつからそれが途絶えたのだろう。

「いまも、戦争が絶えないの?まぁ、俺の時代でも戦争はあったから、おかしいことではないんだよね」

あまり気分はよくない。人が死ぬというのはそういうことだから、な。

本を戻してため息をついた。時計を見ると0時を迎えていた。ろうそくを見るが、その長さはたいして変わっていない。といっても5cmほどは短くなっているが、通常ではないよな。と思う。

「これも、この家か、俺かフィルの魔法、魔力かな?が関係してるのかな」

そしてまた、ろうそくをもち、書庫を出た。

部屋に戻ると、机の上には分厚い本がおいてあった。

その横にメモで

『香月へ、これに日記や起こったことを書けばいいよ。なくなりかけたら引き出しに念じればいいからね!夜更かしはいけないんだよ?早く寝てね?お休みなさい。フィルより』

メモをみるとなんだかさっきまで冷たかった胸が暖かくなった。というか、お母さんみたいだなぁって。

彼に言われた通り、早く寝ようと布団のなかに入った。

明日は、良い友に恵まれますように。

5/30日に少し手直ししました。

内容に変化はありません。

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