美味しいご飯には敵わない
家に入り、俺はすぐに自分が起きた部屋に戻った。
鏡を片手に持つ、そして自分の顔を覗く、そして、何度見てもその顔は絶望に染まっている。
髪はまるで透き通るように真っ白で、目はエメラルドみたいにきれいな真翠。
何度見ても、変わらない。
俺の真っ黒の髪が...俺の瞳が...外人のような見た目に...。
「どうしてこうなったんだ」
思い返せばあの!人に庇われて笑ってたあの人のせい!!
...はぁ、でもあの人が目の前にいて文句を言える気がしない。だって、普通怖くない?いきなり肩掴まれたんだよ?しかも耳元であんな恐ろしい声でさ!!
というかなんであそこからここに移動するの?あの女のせいか?やっぱり!?そうだよな!だって色々おかしいけど神って言ったもんな!もしやあれが呼んだ神?嫌すぎる!!
コンコンと、ドアが叩かれた。
「どうぞ」
「ご飯ができたよって、呼びに来たけど真っ青になってるね。そんなに髪と目がショックかい?」
俺は首を振った。そして、この人はどうだったんだろう?と思い口を開いた。
「フィルは、ここに来る前のことって覚えてる?直前のこと」
すると彼は少し考える仕草をして
「うん、覚えてる。僕の妻とデートしてたんだけどね、少しトイレに彼女が行ってたとき女が僕の肩を掴んできてね!そして目を覚ませばユズキとあってたってわけ!でも初代?だったかな?彼くらいしか神様って人に会ってないし賢者になった皆が皆女の人に肩掴まれるってあったみたいだし、その後接触してきたってこともないから自由にしても大丈夫!」
ぽんぽんっと優しく頭を撫でてくれた。やっぱり大人の人にこう子供扱いされるのって少し落ち着く。ガキみたいだけど、不安なときはそうなるよね?
「奥さん、いたんですね」
「うん!世界一かわいい子なんだよ!会えないのは悲しいけど、もうすぐ会えると思うと少し楽しみ!香月をおいていくのは少し不安だけどね」
「俺も、フィルがいないと寂しいけど、頑張ろうと思います。あの人にも会わなくていいなら余計に」
少し冗談も混ぜて言えばフィルもおかしそうに笑った。
「さ!頑張って作ったからご飯食べよ!お腹が空くと嫌なことばかり考えちゃうからね!さ、いこ!」
フィルに手を引かれるままにリビングに向かうと美味しそうなイタリア料理が並んでいて夢中になって食べるのだった。