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錬換武装ディールナイト  作者: 庵字
第29話 ディールナイト古都へ(後編)
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第29話 ディールナイト古都へ(後編) 5/5

 休日が明けた週初めの放課後。

 全員が出席している文芸部室では、こころが部員たちにお土産を配り歩いていた。


「はい、みなみな先輩」


 こころは矢川(やがわ)(なお)翔虎(しょうこ)と順に配り、最後に美波(みなみ)におみやげを手渡した。


「うわー」


 紙袋を開けて中身を取り出した美波は歓声を上げた。中に入っていたのは一本のかんざしだった。


「綺麗。ありがとう、こころちゃん。でもこれ、高かったでしょう?」

「みなみな先輩に似合うと思って」


 こころは鞄からもう一本かんざしを取り出し、


「私のはこれです。色違いのお揃いなんですよ」


 かんざしに付いたガラス玉は、美波のものは紫。こころは緑だった。

 うわー、と美波は声を出して、こころのかんざしを手に取ると、ツインテールにしたこころの髪を束ね、かんざしで結わえた。


「こころちゃん、かわいいー」

「えへへ、そうですか? じゃあ……」


 こころは美波のかんざしを取り、同じように美波の髪を結わえる。


「みなみな先輩も綺麗です!」


 二人は携帯電話を取りだして互いを写真に収めあった。


「ありがとうこころちゃん」


 矢川は、おみやげの扇子を手にして、


「いいデザインだね。大事に使わせてもらうよ」


 と扇子を広げて扇ぐ。

 それを見たこころは、


「矢川先輩、文豪って言うより、噺家(はなしか)みたいです。あはは」

「そりゃないよ。こころちゃん、自分で選んだおみやげじゃないか」


 矢川は扇子を閉じ、それでこころを指した。噺家のようだった。

 翔虎と直はブックカバーをもらった。お揃いの模様で色違いのものだ。二人も、こころに礼を言った。

 おみやげを配り終えたこころは、不敵な笑みを浮かべて、


「ふふふ……実は、もうひとつおみやげ、というか、おみやげ話があるです」

「え? なあに?」


 美波が訊くと、


「実は、同じ班になった木暮(こぐれ)のやつが怪物になって、ディールナイトに退治されたんです」


 美波は、まあ、と口に手を当てて、矢川も、本当かい? と身を乗り出した。翔虎と直も驚いた顔を見せる。


「修学旅行先にまで現れてくれるなんて。すごいわね」


 美波が言うと、


「そうだね。彼女は本当に学園の守護者なのかもね」


 感心したように矢川も口にした。


 部室のドアをノックする音がした。

 美波が、どうぞ、と答えるとドアが開かれ、


「あ、木暮」


 こころはドアの外に立っている人物を見た。木暮文成(ふみなり)だった。


「こんにちは」と木暮は挨拶をして部室に入ってくる。

 翔虎は、木暮の顔を見ると俯いた。


「何か用事ですか? 木暮」

「ああ、学校に戻ってから正式にお礼言おうと思って」


 木暮はこころに、


「こころちゃん、随分と迷惑掛けちゃったね。ごめん」


 と頭を下げた。


「何ですか。気持ち悪いな」

「いや、班行動で迷惑掛けたしさ、ぶっ倒れた俺を介抱してくれたじゃん」

「倒れた?」


 と美波。木暮は、はい、と言って、


「俺、修学旅行中、何度か倒れて気を失ってたんですよ」


 翔虎と直は顔を見合わせた。ストレイヤー化したことによるものだ。


「木暮、お前、医者にはちゃんと行ったんですか?」

「ああ、こころちゃんがしつこいから行ったよ。何も問題ないってさ」

「そうですか……」


 こころは安堵の表情になった。


「それに、もしかしたら俺、喧嘩してたのかも……」

「喧嘩?」


 こころが聞き返すと、


「うん、そうなんだ。気を失ってる間、喧嘩してる夢を見ていたような……まあ、今となってはそんなこといいんだけど」

「せっかくの修学旅行だったのに、災難だったわね」


 美波の言葉に木暮は、


「いえ、俺は結構満足でしたよ。かわいい好みの女の子と出会えたし。あー、電話番号だけでも聞いておけばよかったな」


 木暮の言葉を聞いて、翔虎はますます俯いた。


「じゃあ、俺はこれで」


 木暮は部室を出ようとしたが、翔虎に目を向けて足を止めた。

 翔虎は、ちらり、と上目遣いで木暮を見る。


「……」


 木暮も翔虎の顔を見て、


「君、一年? 何? 俺の顔に何か付いてる?」

「え? い、いえ、その……」

「何だよ」


 木暮は屈み込んで翔虎の顔を正面から覗き込む。翔虎は、わっ、と声を出して戸惑うような表情を見せた。隣では直も不安そうな顔をしている。


「お前、もしかして……」


 木暮は屈み込んで翔虎の顔を見つめる。

 翔虎はうっすらと汗をかき、わずかに顔を紅潮させ、ごくり、と喉を鳴らした。


「……もしかして、その()があるの? 俺の顔見て赤くなって」

「は?」


 翔虎は目を丸くした。


「やめろよな。俺にそっちの()はないからな。気持ち悪いやつだな」


 木暮は立ち上がって、それじゃ、失礼します、と部室を出て行った。

 翔虎は、はあ、と深い息を漏らした。


尾野辺(おのべ)、お前、どうしたんですか?」


 こころが尋ねると翔虎は、


「な、何でもないです。はい。はは……ぼ、僕、もう帰ろうかな」


 椅子から立ち上がった。

 私も、と直も立ち上がり、二人は帰路に就いた。



「木暮先輩。京都、奈良で会った美少女と翔虎が同一人物だって、気付いてないわね」

「うん、助かった」


 バスを降りた直と翔虎は歩きながら話していた。


「こころ先輩もわからなかったくらいだもんね。うん、なるほど、なるほど……」


 直は、いつの間にか取りだしていた携帯電話の画面と翔虎の顔を交互に見ている。


「……まさか、直!」


 翔虎が直の携帯電話を覗き込んで、


「や、やめろよ!」


 携帯電話を取り上げようと手を伸ばしたが、直はその手をするりと抜けて走り出し、


「翔虎、かわいー」


 画面を見つめて微笑んだ。

「消せよ!」と言いながら追いかけてくる翔虎に、いいじゃん、と笑いかける。

 画面には、引きつった笑顔で白いワンピースの裾を摘んで持ち上げている翔虎の姿が写っている。持ち上げられたスカートの下から、黒いボクサーブリーフの裾が少し覗いていた。


――2016年10月11日

現在、ディールナイトとディールガナーが使える武装は……


スペード 2 ???

スペード 3 ショートソード

スペード 4 レイピア

スペード 5 ジャベリン

スペード 6 ロングソード

スペード 7 バトルアックス

スペード 8 ???

スペード 9 ハルバード

スペード 10 ???

スペード J ???

スペード Q ウイップソード

スペード K ???

スペード A ???


ダイヤ 2 小型リボルバー銃

ダイヤ 3 小型オートマチック銃

ダイヤ 4 大型リボルバー銃

ダイヤ 5 ???

ダイヤ 6 ショットガン

ダイヤ 7 サブマシンガン

ダイヤ 8 ???

ダイヤ 9 ???

ダイヤ 10 対物ライフル

ダイヤ J ???

ダイヤ Q ???

ダイヤ K ???

ダイヤ A ???


クラブ 2 ???

クラブ 3 トンファー

クラブ 4 ???

クラブ 5 チェーンハンマー

クラブ 6 チェーンソー

クラブ 7 ドリルアーム

クラブ 8 ???

クラブ 9 大型ブーメラン New!!

クラブ 10 ???

クラブ J バイク

クラブ Q ???

クラブ K ???

クラブ A ???


ハート 2 小型シールド

ハート 3 ???

ハート 4 ワイヤーアーム

ハート 5 ???

ハート 6 ???

ハート 7 シザーピンチ

ハート 8 フレキシブルアーム

ハート 9 ???

ハート 10 パワーブーツ

ハート J ???

ハート Q ウイングユニット

ハート K ???

ハート A ???

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