表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬換武装ディールナイト  作者: 庵字
第1話 ディールナイト誕生!
1/414

運命の日(プロローグ 1/25)

 いよいよ明日、〈向こう〉へ行ける。


 私、叢雲亮次(むらくもりょうじ)の心は高ぶっていた。


 モニター室から、カメラを通して見る〈遺跡〉の姿は、私の目には未だに異様に映る。


〈遺跡〉と呼ばれるその部屋は、日本家屋にして十畳ほどの広さ。

 その灰色をした四面の壁、床、天井は、出入り口となる扉を除けば、ほぼ意味不明のレリーフや操作パネルのようなもので占められており、そして、部屋の中心の天井と床を透明なチューブが貫いている。


 あの中に明日、私は入る。そして行くのだ。〈向こう〉へ。


 部屋の上の四箇所全ての角にはカメラが備え付けられており、透明なチューブを二十四時間監視している。

 部屋には元々照明がなかったため、明かりとして二基の照明スタンドが持ち込まれている。

 今は誰もいない〈遺跡〉の部屋をモニターしているカメラ映像を、私は飽くことなく見続けていた。


「まだ起きていたのか」


 背後から声を掛けられて振り返った。

 そこに立っていたのは、私の伯父である、叢雲業蔵(ごうぞう)だった。


「明日に触るぞ、もう寝なさい」


 伯父は髭を蓄えた口を動かして、私に告げた。


「はい」


 私は素直にそう答える。


「行こう」


 伯父は私の答えを聞くと、背中を向けてモニター室の出入り口に向かった。私もその背中を追って歩いた。

 途中、壁に掛かっているカレンダーに目が留まった。二ヶ月で一枚綴りのそのカレンダーは、五月三十日の日付にペンでバツ印が重ねられていた。

 私はカレンダーに近づきペンを取ると、三十一日の日付の上にバツを付け、そして、視線をその翌日、すなわち明日である六月一日に向ける。


 六月一日。

〈向こう〉へ行く日。

 私と、その周囲の人たちの運命を大きく変えたその日が、あと数時間と迫っていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ