エピローグ3
一章完結しました。この約一カ月ほど投稿させて頂きまして、一章完走出来たことを嬉しく思っています。今見返しても、文章がまだまだで勢いだけで書きあげた感じになってしまいました。
ここで、みなさんにお願いがあります。
一章のここまでを読んで頂いた時点での、この作品への評価を頂きたいのです。
文章力、ストーリー性、2章以降へのみなさんの期待値を一度見たいと思っております。
勝手なお願いかとは思いますが、今後の参考までにみなさんの生の意見をよろしくお願いします。
爺さんの家は、エルツ・フォレストの奥深い所。光と影が交わる木立の中で静かに佇んでいた。
「なるほど、宿の部屋に対してのフーベルさんの認識が分かった気がするよ」
俺はリリイに手を引かれ歩きながら、家の中を歩いていた。
天井が高い。だだっ広い部屋には物が少なく、木製の家具がちょこちょこと置かれているのみだ。まめに掃除がなされているのか、きれいな室内にはホコリひとつ落ちておらず、何か香でも焚いているのか、いい香りが部屋中を満たしていた。
「……ヒコ様、こっち」
相変わらず表情にあまり出ないが、リリイがすごく嬉しそうなのが俺にも分かる。
「……ここ、リリイの部屋」
部屋と部屋をつなぐ木製のドアを開けると、リリイは俺を急かすように腕を引いてきた。
「リリイや、食事の支度が出来たら呼ぶでの」
「……わかった」
爺さんの声にそう返事をしながら、俺を部屋に押し込めドアを閉める。
「ほほぉ~」
部屋に入った瞬間、マーテルが関心したような声をあげた。
さっきまでの部屋と打って変わり、リリイの部屋は物で溢れていた。溢れているといっても散らかっているという感じではなく、かわいらしいぬいぐるみや衣服がまるで展示されるかのように並んでいた。
「すごいな、これ全部リリイのもの?」
「……全部、作った」
「これを、リリイがひとりで?」
「……誰かに見せるの初めて」
照れくさいのか、リリイは頬を赤く染めてうつむいてしまう。
「リリイが着ている服も、自作の物?」
青を基調としたモフッとした衣服は、色素の薄いリリイによく似あっている。
「……そう、似合う?」
「うん、よく似合ってるよ」
「……うれしい」
そう言ってリリイは嬉しそうな笑顔を俺に向けると、そのまま俺の胸に抱きついてきた。
「なにをしておるか!」
マーテルが俺の胸に顔を埋めるリリイに、すかさず抗議の声をあげる。
「……ヒコ様、リリイの事抱きしめた」
リリイが熱い視線を俺に送ってくる。
「……いい加減ちがう。ヒコ様そう言った」
「ヒロ!お主~、どさくさに紛れてこやつに何をした!」
マーテルは怒髪天につくような怒り顔で俺の耳を捻りあげてくる。
「ちょっ……マーテル、話しを……痛っ痛いって」
お前、俺の傍につねに居たろ……俺はそん事を考えながら、マーテルをなだめようと必死になる。
「……ヒコ様、だいすき」
ボソッとつぶやいたリリイの声を、俺は聞いている余裕はまったくなかった。
なんやかんやで、昼が過ぎ夕食時となった。
それにしても、量が半端じゃない。リリイも爺さんの血を引いているのか、その食べっぷりは普段の大人しいイメージからは想像できないほどのものだった。
「いやぁ、うまかったのう」
「……おいしかった」
マーテルはすっかりと機嫌を直して、テーブルの上でのんびりとくつろいでいる。リリイは、俺の横で体をくっつけてまどろみ始めていた。
「さて……ヒロよ一服出来た事じゃし、タブレットを更新してやるゆえ、ここに広げるのじゃ」
「タブレットの更新?」
俺はなんのことか分からないまま、マーテルの言われるままにタブレットをテーブルの上に広げる。
「これでいいか?」
「うむ、これで良いぞ」
そう言うと、マーテルは歌声のような声を室内に響かせ始めた。
――絶望と悲しみに沈みし子よ。汝を封じし、大樹の枝が命じる――
――契約者彦麻呂に科した封印の一部を解き放ち、この者に力を与えん事を――
タブレットが輝きを放ち、やがて……マーテルが静かに俺の方を見あげてきた。
「ヒロ、終わったのじゃ」
そう言われて、俺はタブレットを手に取ってみる。見た目的には何も変化がないように見える。
リリイが左腕にしがみついているため、少々操作しづらかったが、なんとかステータスの数値を表示させる事が出来た。
名前:彦麻呂
職業:魔王
LV:5
HP:518/818
MP:65535
ちから:9
すばやさ:11
たいりょく:13
かしこさ:58
うんのよさ:255
スキル:投擲LV1・ズィーガー
魔法:
「あがってる!」
「そのようじゃのう……」
LVが5つもあがった。しかも、かしこさの数値の伸び幅がすごく大きい。
「マーテル、かしこさがすごくあがってるんだが、これは数字分かしこくなると思っていいんだよな?」
「たわけ……かしこさはLVの上昇ではあがらん。そもそもわしが封じたのは、お主の能力や力の部分だけで、お主のかしこさには一切手は加えておらん」
それって、どういうことだ。
「お主……今回の騒動だけで、このかしこさの伸び幅……この16年間いったい何をしていたのじゃ」
なにをって、普通に生活をしていただけなんだが……。
「正直言って、お主はアホじゃ。リリイにひっつかれて鼻の下を伸ばしておるだけの、ただの変態じゃ」
こいつ……まだ怒っていたのか。
「まぁまぁ、マーテル殿も抑えてくだされ……」
爺さんが見かねて、怒り騒ぐマーテルをなだめてくれた。
「さてと、ヒロ殿」
マーテルは騒ぎ疲れたのか、しばらく俺の事を罵るとおとなしくなった。リリイも疲れたのか、静かな寝息をたてながら寝てしまった。爺さんとふたり向かい合う形で座っていた俺に、爺さんがおもむろに話しかけてきた。
「リリイの事なのですが……このまま、ヒロ殿の旅に同行させようと思うておるのじゃが」
「それは、どういうことですかフーベルさん?」
「そうじゃ、どういう事じゃフーベル」
せっかく大人しくなったと思ったマーテルが再び気色ばむのを感じる。
「はい、リリイはヒロ殿をどうやら……生涯の伴侶として認めたようでしてのう」
「えっ!?」
伴侶って、夫婦とかの伴侶だよな。でもどうして、いきなりそうなる。俺のすぐとなりで、可愛らしい寝息をたてているリリイの顔を見つめる。今日出会ったばかりのノームの女の子。この子が俺と結婚!?
「なんで、そうなるんですか?」
「ヒロ殿がリリイに触り、リリイがそれを受け入れたからじゃよ」
「えっと、意味が分からないんですが……」
爺さんは、俺の様子を見て少し困った顔をして、その後でこう続けた。
「ノームの女は、未婚の間は異性に絶対に体を触らせないのですじゃ……」
爺さんはそう言うと俺の瞳を真剣に覗き込んできた。
「……いきなり結婚と言うても、ヒロ殿にも心の準備が必要じゃろう。とりあえず、このままではリリイはヒロ殿がここへ戻るまで、寂しい想いをさせてしまう。連れてやってくだされ……この通りですじゃ」
いきなり……そんな事を言われても。俺はマーテルに視線を向ける『勝手にせい』と言わんばかりにマーテルはソッポを向いてしまう。
「分かりました……結婚はともかく、リリイさんは連れて行きます」
「おぉ……引き受けてくださるかヒロ殿」
よかったよかったという表情で頷く爺さんに対して、マーテルの機嫌は非常に悪くなってしまう。
「後ですな……ヒロ殿、今後どこへ行くかとかは決められているのですか?」
「えっ……特に決めてませんが」
いきなり話しが変わってしまったが、たしかに今後どうしたらいいかとか、全然考えてなかったな。
「では、ロウ様の遺跡へ足を運びなされ」
「ロウって、あの……アーサーに倒された魔王の?」
「そうですじゃ、ここから南西へ行ったところにウナという名の村がありますのじゃ、そこから更に西へと行った先に、ここと似たような森があるのじゃが、そこにロウ様の遺跡があるのですじゃ」
「ロウの遺跡じゃと?」
「はい……そうですじゃ。正確な場所はリリイに伝えておきますじゃ、かなり奥深い森ゆえ、リリイがきっとお役に立つ事でしょう」
「お主もうまい事言うようになったのう」
「はい、伊達に年は取っておりませんわい」
マーテルと爺さんは、ふたり顔を見合わせて笑いあう。
「ヒロ、次の目的地が決まったぞ」
俺にはさっぱり状況が見えてこないが、魔王ロウの遺跡へ足を運ぶ事になってしまったみたいだ。
「では、ヒロ殿。明日も朝早いゆえ、今日はもう休みなされ……」
なんというか、いろいろありすぎて混乱している部分もあるが……とりあえずは、進めるとこまで行くしかないよな。
俺の旅の終着点がどうなるかは、今はわからない。けど、俺はひとりじゃない。
俺はマーテルとリリイを見ながら、そう思うのだった。
―― 一章 終 ――
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
次回の更新はしばらく、夕方に一本あげるという仕組みでいこうと考えております。
みなさんから頂いた一章での評価を元に見直しなどをしつつ投稿したいと考えているからです。落ち着き次第、投稿ペースは戻そうと思います。
では、今後とも『それでも俺はくじけない』をよろしくお願いします。




