表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/64

ライバル

 おはようございます

 あとちょっとで一章終わりです。

 予定を変更しまして、今日中に一章完結させる事にしました。

 明日は、一章のまとめを投稿します。

 「ヒロ!しっかりせい!」

 「あぁ……マーテル?」

 いったいなにが……アズレトとリリイの間に、強引に飛び込んだとこまでは薄っすらと記憶に残っている。

 俺は意識のハッキリしない頭で考えてみるが、そこから先の事が思い出せない。


 「俺は……どうなったんだ?」

 「お主、何も覚えとらんのか?」

 マーテルが心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。

 「アズレトとリリイの間に飛び込んだまでは……」

 俺はそこまで口にした所で、飛び起きる。そうだ……リリイは?アズレトはどうなったんだ?

 転がっていた剣を拾い上げると、俺は周りに素早く目線を送る。


 「ちっ……ゾンビ野郎、もう起き上がったか」

 周囲をあわてて見回す俺の耳に、アズレトの言葉が飛び込んでくる。

 アズレトは、地面に腰を付けてあぐらをかいている。見た目、そんなダメージを受けたようには見えない。回復が早いのか、自分を燃やした時に出来た火傷の傷も消えつつあるようだ。


 「ヒロ殿、よく頑張りましたな」

 爺さんが朗らかな笑顔で近づいてくる。

 「……ヒコ様」

 その後ろを少し遅れて、リリイが歩いてきた。


 「リリイ、怪我は大丈夫?」

 「……大丈夫。ヒコ様は?」

 リリイは俺の側に寄り添うように近づくと、俺の右腕に両腕を絡め体を預けてきた。


 「何をしておるか!」

 「……うるさい」

 リリイとマーテルの間に、一瞬険悪な雰囲気が流れる。


 「俺は大丈夫。リリイ……危険な目に合わせてごめん」

 俺は自然を装い、リリイとマーテルの間に入るように、リリイに話しかけた。

 「……へいき」

 そう言うと、リリイは騒ぐマーテルを無視して、俺の右腕に絡めた両腕に力を少し込めた。


 「おい!ゾンビ野郎」

 さっきから、ゾンビ野郎って俺の事を言ってるのか?俺はそんな事を考えながら、アズレトヘ視線を向ける。

 「ふん……ゾンビ野郎、お前いったい何者だ?最後の一撃……認めたくねぇが、マジで死ぬかと思ったぜ」

 「最後の一撃?何の事だ?」


 「覚えてねぇとはな……まぁ……いい、そんな事より……こいつをどこで手に入れた?」

 俺の言葉に、一瞬アズレトは呆れた表情を見せながら、手にしていた鉄の小箱を俺の方へ示してきた。

 「あぁ!それは、その箱はわしの箱じゃ!」

 さっきまでリリイに絡んでいたマーテルは、アズレトの持つ箱を目にすると、箱を指差し騒ぎ始める。

 どうやら、戦闘中に落としてしまった物を、アズレトに拾われてしまったようだ。


 いやいや……マーテル、厳密には俺たちの物でもないと思うぞ。ブローカー拠点内で偶然拾った物の所有権なんて、実際誰にあるかとかは俺にも分からんが。

 「チビは黙ってろ……俺様は、こいつがなんなのかが知りたいだけだ」

 「さっきから……チビチビと、わしは頭にきたぞ!」

 そう言うと、マーテルは爺さんの方へと視線を向ける。


 「フーベル!あの小僧を、ボコボコのギタギタにしてしまうのじゃ!」

 「マーテル殿……」

 そりゃ……困るわな。俺は爺さんのなんとも言えない表情を見ながら、そう思う。

 「ちっ……分かったよ。俺様も、今の身体の状態でその爺さんとはやりあいたくないしな」

 そう言うと、アズレトは小箱を俺の足元へと放り出す。


 「ヒロ!」

 「はいはい……分かってるよ」

 まったくこいつは……俺は内心呆れながら、箱を拾い上げると懐にしまう。


 「おい、ゾンビ野郎」

 「なんだよ!」

 「その箱、かなり強力な呪力を感じたぜ。まっ……中身がなんなのかは知らんが、気を付けた方がいいんじゃねぇか」

 強力な呪力?マーテルはそんな事、ひと言も言わなかったけどな。


 「どういう風の吹きまわしだ、アズレト」

 「どういうも何もないが、まぁ……強いていえば、お前は俺様に、強烈な一撃を食らわせた男だからな。俺様がリベンジしに行くまで、くだらない事で死なれちゃ困るんだよっと……」

 アズレトは、そう言って立ち上がると再び空中へと浮かびあがる。


 「ゾンビ野郎……」

 「まだ、なにか用か?」

 「最後に、お前の名前を聞いておきたい」

 「彦麻呂……俺の名は彦麻呂だよ」


 俺の名を聞いた瞬間、一瞬アズレトはキョトンとした顔を見せた。

 くそ……笑いたければ、笑えばいいだろ。俺が、アズレトの反応にそんな事を考えた……。

 「なっ……なんて、洗練された名なんだ。くそ……ゾンビ野郎のくせに」

 「えっ……」


 アズレトの見せた意外な反応に、俺はとまどってしまい、すぐに反応を返す事が出来ない。

 「まぁ……いい。彦麻呂!次会う時はお前に勝つからな!」

 そう言い残すと、アズレトは体をフラつかせながら飛び去っていった。


 「いったい……なんだったんだ、あいつは」

 「ヒロ殿、これを……」

 呆然と、遠ざかるアズレトの背中を見送っていた俺に、飛び去っていたはずのブーメランを持った爺さんが、話しかけてきた。


 「戻ってきてたんだ……」

 俺は爺さんからブーメランを受け取る。

 「ヒロ殿、アズレトの事なんじゃが……」


 爺さんが言うには、アズレトは口こそ悪いが根は悪人ではないらしい。

 俺が気を失っている間に、爺さんから事情を聞いたアズレトはあっさりと、俺たちへの敵意を引っ込めたそうだ。

 純粋に森を荒らす人間への憎しみから、ブローカーに対して襲撃をした。俺たちも最初はブローカー連中とグルだと思っていたと、爺さんは俺に話してくれた。

 「……てかげん」

 リリイが、俺にそう言ってきた。リリイに対しては相当手加減をしていたらしく、実際派手に飛ばされた割にダメージはなさそうだ。


 「でも……だからと言って、許される事でもない」

 俺は、アズレトが飛び去った方角を睨みつける。

 「左様。アズレトのした事は、許される事ではない。ヒロ殿、力ある者が感情のままに動く事がいかに罪深い事か、心に留め置いてほしい」

 爺さんは真剣な表情でそう語る。


 「うむ……あと、ヒロ……お主はもっと頭を使え!これを見てみよ!」

 マーテルはそう言うと、少し怒気を含んだ声で話しながら、俺に小型タブレットを突きつけてきた。

 「マーテル見せてくれるのはいいんだが、字が見にくい」

 俺はポーチからタブレットを取り出す。

 HP18/350……。

 

 「なっ……ギリギリじゃないか」

 「そうじゃ、ギリギリじゃ。お主、もう少しで喰われて消滅する所じゃったぞ」

 俺はとつぜん、全身から力が抜けたように座り込んでしまった。なんとなく空を見上げてみる。

 相変わらず晴天の空だ。

 

 「……ヒコ様、つかれた?」

 「うん、なんか急に体から力が抜けちゃったよ」

 「ここから少し森の奥へ入った所に、わしの家があるのじゃが、一旦そこで休息を取りなされ」

 爺さんが、俺のそんな様子を見て話しかけてきた。


 俺の体は至る所に傷があり、だるく疲れもあった。

 「お言葉に甘えます。フーベルさん」

 俺は、ここから来た道を宿まで戻るよりは、その方がいいかもしれないと、爺さんの申し出を受ける事にした。

 最後までお付き合い頂きありがとうございます。

 アズレトに勝たせないような、幕引きを考えるのが非常に難しかったです。

 ヒロの得意不得意、魔力は強いがコントロールが利かない所などを描きたかった、一章終盤でした。

 次回更新今日の16時までに投稿します。

 よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ