表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/64

封印

 おはようございます。はじめまして。


 今回はステータスに関するネタばれがあります。


 よろしくお願いします。

 「まったく……なんという……くしゅん」

 マーテルは可愛らしいくしゃみをすると『なんという風じゃ』とぶつぶつ文句をつぶやく。


 「まぁ……町中と違って、遮るものがないからな」

 「お主がわしの風除けになればよいのじゃ」

 一瞬、いつものマーテルに戻る……が。


 「冗談はさておき……わしは未熟な者に……未熟な精神の者に、いきなりこの力を与えてはいかんのではと思ったのじゃ」

 「俺と会う前からか?」

 「会って……そうしたのは間違いなかったと確信したがの」

 マーテルにじと目でそう言われて、俺は言葉につまってしまう。

 くやしいが、言い返せそうにない。

 実際、最初から力が与えられていたら……間違いなく浮かれてしまっていただろう。


 「じゃが……それもまた、お主の可能性に対してわしが勝手に道を引いておるだけにすぎんかもしれん……」

 「マーテル?」

 いつになく……いや、出会ってから初めて見るかもしれない。

 マーテルの表情は緊張で強張っていた。


 「お主が……ヒロが望むなら、わしは……いますぐにでもタブレットの……お主の全てを解放しようと思う……」

 そう言って、じっと見つめてくるマーテルの目は、俺に『どうするか決めろ』と訴えかけてくる。


 「いや……やめておくよ」

 正直、解放された力に興味がないわけじゃない。

 でも……それは選択してはいけない様な気がした。


 「そうか……」

 マーテルはホッとしたのか、その場に座り込んでしまった。


 「では……このままで本当によいのじゃな?」

 「あぁ……それでいい」

 俺は心からそうなんだとマーテルに伝えるために、マーテルの瞳に訴えるように見つめた。


 「わかった……」

 マーテルは短く答えると、少しの間押し黙り……おもむろに口を開いた。


 「お主は……アーサーやロウのようになってほしくはない」

 「えっ?」

 マーテル?さっきまでの諭すような口調ではない。悲しい響きがそこにはあった。


 「結果が……どうなろうとも……お主は常に自分自身で正しいと思える道を選べ、よいなヒロ……」

 「マーテ……」

 『マーテルいったいどうしたんだ?』俺はその言葉を口にする事は出来なかった。

 マーテルは泣いていた。

 声を出す事なく……ただ涙を流し、それを拭おうともしない。


 「なんじゃい……じっと見つめよって、きしょくのわるい」

 マーテル……泣いてる事に気づいてないのか?


 「いや……だって、お前……涙が……」

 俺に言われてはっとした表情をしたマーテルは、


 「こっちを……見るな!バカ者が!」

 そう言って慌てて涙を拭い始める。


 「そういえばお主……『恩恵はないのか』と聞いておったな?」

 涙を拭いながら、とつぜんマーテルはそんなことを言い出した。

 あぁ……そういえば、そんなことを口にしてたな。


 「言ったけど……とつぜん話を変えるなよ」

 涙を見られた事に対する、マーテルなりの照れ隠しなのかもしれんが……。


 「タブレットをよ~く見てみよ」

 言われて見てみるが、俺にはマーテルが言わんとしていることがわからない。


 「見たけど……で、何?」

 「あぁ~もう!運の項目を見てみい!」

 運の項目は255になっている。


 「255って表記されているな」

 「それが、わしからの恩恵といやつじゃ」

 マーテルは得意そうに胸を張ってそう答える。


 「意味がわからんし……そもそも、なんで運なんだ?」

 高くするなら力とか、直接実感出来るところにしてくれよ……。


 「理由を知りたいか?」

 「知りたくない」

 言いたそうに体をうずうずさせているマーテルに、俺はろくでもない予感を感じてしまう。


 「そうか……そうか、そんなにも知りたいなら仕方がないのう」

 「いや……結構です」

 俺の再三の拒否を無視しマーテルはさらに続ける。


 「理由はの……わしじゃよ」

 「ごめん……さっぱりわからん」

 得意げに自分を指さしていたマーテルは、俺の答えを聞いて一転して頬を膨らませた。


 「わしのような可憐で可愛い美少女!に出会えた『幸運』がお主には理解できんのか!」

 あぁ……だから、運が255と言いたいわけか……可憐で……えっと……まぁ、なんでもいいか……ともかくマーテルと出会えた事そのもの以上に幸運な事はないだろうと、こいつはそう言いたいんだな。


 「あのな……マーテル……」

 俺が、人のステータスで遊ぶなと、マーテルに言おうとした時だった。


 「ヒロ殿……森に着きましたぞ」

 爺さんの声で俺は前方へと目を向けた。

 マーテルとの会話に夢中になっている間に、どうやら目的の場所に着いたらしい。


 「ここが……」

 「そう……ここがエルツ・フォレスト、宝石の森と呼ばれる場所じゃ」

 爺さんはそう言いながら、険しい表情で森を見あげるのだった。 

 最後までお付き合い頂きありがとうございます。

 成長に関しては、読んで頂いたように強くなっていくというよりは、強さを取り戻していくという形で進んでいきます。

 本来ならタブレットとの契約時に与えられていたはずの能力の全てをマーテルに封じられたヒロが、どう成長していくかが見せどころとなってきます。


 次回更新15日5時です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ