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商談

 おはようございます。はじめまして。


 もう少し、お付き合いください。

 よろしくお願いします。

 「イチャついてるとこ……申し訳ねぇんですが……」

 「イチャついてなどおらんわ!」

 男の言葉にマーテルは即答で否定する。

 『まぁ……まぁ姉さん落ち着いて』男はマーテルをなだめると、今度は俺に声を掛けてきた。

 「……兄さん……大丈夫ですかい?」

 ……大丈夫に見えるか?

 マーテルの一撃はうまい具合に俺の鼻を捉えたらしく、痛くて涙が止まらない。

 「あぁ……ごめん、説明の続きを……」

 『へぇ〜それじゃあ』と男はブーメランを手にすると、俺たちの脇を通り過ぎて店の外へ出ようとする。

 それにしても……女がグーで殴るか……普通……。

 俺は殴られた箇所を撫でる。

 「自業自得じゃ!」

 マーテルは鼻息荒くそう言い捨てると、頬を膨らませそっぽを向いてしまった。

 「あの……付いてきてもらえませんかね……」

 店の出入り口で男が、げんなりした表情を見せていた。







 ……すっかり日が落ちたな。

 赤みを帯びはじめた空がそう告げている。

 男の後に続いて店を出た僕たちの前で、男は周囲に人がいない事を入念に確認すると、向き合いこう言った。

 「……では、始めやすね」

 男は腰を落としブーメランを引き気味に構える。

 「説明するまえに、どんなもんか実際見てくだせぇ」

 言うが早いか男は前方へと、ブーメランを投げ飛ばす。

 投げられたブーメランは、きれいな弧を夕焼け空に描きながら飛び続け、やがて……男の手元へ再び収まった。

 「おぉ~!」

 マーテルの興奮した声が響く。

 「ヒロ!ヒロ今のを見たか!お主はすごいと思わぬか?」

 おっ……機嫌が直ったのかな。

 上気した笑顔で傍に寄ってきたマーテルだったが……

 「そうじゃった!」

 キッと俺の事を睨みつけると胸を両手で隠しつつサッと距離をあけてしまった。

 「……で、どうやったんだ?今の」

 マーテルの事が気にならないわけではないのだが、今はブーメランという武器の事も気になる。

 「へへへっ……これが、ブーメランって武器の特性なんでさぁ……」

 ここから男による、ブーメランの説明に移ったのだが……。

 要約すると……。

 木製の本体内に内蔵された回路に魔力を流し、投げつける事で回路に刻まれた『弧を描き飛び手元に戻る』という動作を行う武器との事だ。

 「で……ここからが応用ってやつでね」

 男はそう言うと、先程と同じ構えをとり……再び前方にブーメランを投げつける。

 なにが変わったんだ?

 飛んでいくブーメランの軌道を見るかぎり、何かが変わったようには見えない。

 「では……いきやすぜ」

 男がそう言った瞬間……。

 さっきは弧を描いてと言っても、真っ直ぐな軌道で飛ぶだけだった。

 それが突然軌道を大きく変えたかと思うと、縦横無尽に飛び回りだした。

 「ほほぉ~こりゃすごいの」

 「おぉ~!なかなかのものじゃな!」

 爺さんとマーテルが同時に歓声をあげる。


 ――なんだ……あれは?


 ――あれは……武器なのか?


 いつの間にか、周囲に人が集まりつつある。

 「……とっと……これがブーメランによる応用術ってやつでさ」

 手元に戻ってきたブーメランを受け取りながら、男は説明を続ける。

 ブーメランと所持者は、離れている間も魔力の見えない糸で結ばれている。

 本来は、ブーメランが所有者を見失わないための機能なのだが、その機能を利用してこういった応用的な操作も可能だという事らしい。

 「わしはこれが気に入ったぞ!」

 男の説明を熱心に聞いていたマーテルがいきなりそう叫んだ。

 「のう?フーベルもそう思うじゃろ?」

 また……こいつは……回路内蔵の武器なんて買えるわけがないだろ……。

 回路には晶石が使われている。

 そして……一般的に、晶石自体がすさまじく高級品なのだ。

 家庭向けの回路内蔵機器が一般人に揃えれてるのも、文化水準をあげたい国からの支援制度があるから安く買えてるだけで、本来なら、一般人に回路内蔵製品は手に入るような代物ではない。

 武具などには国からの支援も当然適用されないので、全額自腹となる。

 「ふむ……そうですな……しかし、値段にもよりますからな……」

 爺さんも、その辺りの事情は知ってるのか、返答もはっきりとしない。

 まぁ……金を出す方とすれば、そうなって当然だろうな……。

 今回の武具の代金も爺さんが持ってくれる事になっている。

 いくら、昔の馴染みに似ているからと言っても……そこまでするか普通と思ってはいるのだが、爺さん自身からそうさせて欲しいと頭まで下げられてしまっては、それ以上俺も何も言えなかった。

 「一万ガルドでいいでさぁ……」

 「なんじゃと?」

 男が唐突に告げた金額に、爺さんは訝しげな表情で聞き直す。

 「鎧一式に、盾も付けて……全部で一万ガルドでいいでさぁ」

 男はそう言うと、ニヤ~とした笑みを浮かべた。

 最後までお付き合い頂きありがとうございます。


 無事、買い物も済みました。

 ちなみに、鎧の説明は書いてないだけです。

 書き損じてません。

 次回更新13日5時です。

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