心(キモチ)
おはようございます。はじめまして。
いろいろある回です。
表現したい事が出来てないかもです。
よろしくお願いします。
「兄さんらは恋仲ではないんですかい」
「当然じゃ!」
「まぁ……落ち着けってマーテル」
マーテルは依然として鼻息荒く、すぐには落ち着きそうにはない。
「へ〜こんないい女に手出してないなんて……兄さん正常なんですかい?」
男がマーテルの方へと近づいていく。
マーテルの方は拗ねたような表情でそっぽを向いているが、怒っているという感じではない。
「まぁ……姉さんも機嫌直して……ね?」
そう言うと、男はいきなりマーテルのお尻をわしづかみにした。
「ひゃっ!?」
マーテルの体が前方へと飛びあがる。
「へっへっ……思った通りの手触りだぜ」
「い……い……いきなり何をするか!」
「別にいいじゃねぇか……姉さんフリーなんだろ?」
涙目で抗議するマーテルの腕を、男は卑猥な表情を浮かべて捕まえようとする。
「……やめろ」
「……ヒロ?」
俺は男の手を乱暴に払いのけると、マーテルを背に男と対峙する。
「兄さんの恋人じゃないなら……別に関係ないでしょう」
「……無関係なんかじゃない」
俺自身考えて動いたわけではなかった。
「じゃあ……どう関係あるって言うんですかい?」
マーテルの涙と、嫌がるその腕を強引に捕ろうとしている男を見た時……俺の中で何かが弾けてしまった。
「うまく……言えないけど、大切な人なんだ」
マーテルは、これから一緒に旅をしていく俺にとって大切な仲間だ。
「とにかく……俺のマーテルに手を出すな!」
「はっはっはっ!兄さんやっぱりそうなんじゃないですか」
「??」
俺……おかしな事を言ったか?
「いや〜青春だねぇ〜……姉さんも怖がらせて悪かったな」
男に声を掛けられて、マーテルは怖いのか俺の背中に抱きつくように隠れてしまう。
「すっかり嫌われちまったな……」
男は苦笑いしながら頭を掻くと……。
「……兄さんの恋人にはもうちょっかいは出さないから、兄さんも機嫌直して……ね?」
恋人……こいつはいったい何を言ってるんだ?
「なぁ……マーテル、このおっさんは何を言ってるんだ?」
「わ……わしを……こっちを……見るな!」
そんなにも……怖かったのか。
背中越しにマーテルの体の震えが伝わってくる。
「……ぜったいに、こっちを見てはいかんぞ」
「あぁ……それは、もう分かったから……」
「なにやら騒がしいと思ったら……ヒロ殿ではないか」
ノンビリとした口調で、爺さんが通りを飄々と歩いてくる。
そう言えば……爺さん居なかったな。
「ん……なにやら、マーテル殿の様子がおかしいが……なんぞあったのかの?」
口調こそ穏やかだが、その目は男を見据えたままだ。
「お……俺はなんもしてねぇよ……なっ兄さん?」
いや……何もしてないって……よく言えるなこのおっさんは……
「……本当ですかな?ヒロ殿」
「まぁ……尻は撫でたけど、危害は加えられてないよ」
「お主……今の話は……本当か?」
ドスの利いた静かな声で話し掛けながら、爺さんは男の方へとゆっくりと近付いていく。
「ちょ……ちょちょちょっと、ほんのあいさつ……いや……冗談なんですって!」
男はそう言いながら、両手を勢いよく振り回す。
「あいさつ……とな。では、お主はなんの用があってそのような挨拶をしたのじゃ」
すごい威圧感だ。傍から見ている俺にまでピリピリとしたものが感じられる。
「お……俺は武具屋の客引きをするのに、その兄さんに声を掛けたんだ。決して……やましくはねぇよ」
「途中……マーテルに対する態度も……客引きだったって言うのかよ」
男のくだらないいい訳に、俺は段々イライラが募っていく。
「……もう、悪かったって……ふたりして苛めないでくださいよ……」
男はそう言うと、その場に両膝を付いて両手を顔の前で組み合わせてきた。
「……ね?この通りですから……ダメ?」
俺と爺さんは、思わずお互いに顔を見合わせてしまった。
なんというか……急にばかばかしくなってきてしまった。
「もう……わかった。とりあえず、その格好をやめい。周りから、わしらがお主を一方的にいたぶっているように見られてしまうわい」
どうやら、爺さんも俺と同じ気持ちらしい。
「へっへっ……恩にきりますぜ。ダンナ」
調子のいいやつだな……。
爺さんの言葉で、急に態度を変えた男に俺は呆れてしまう。
「それはもうよいが……そんなことより、お主さきほど……武具屋の客引きを……と言うておったな?」
「へぇ~確かに言いやしたが?」
「店は近いのかの?」
「へぇ~そりゃ……もう、すぐそこでさぁ」
男の言葉に爺さんは顎に手を充て少し考えると。
「ふむ……では、その店に案内せい」
おいおい……爺さん本気かよ
こんな訳の分からない男なんて、信用出来るとは思えないんだが……。
それに……第一マーテルが承知しないだろう。
「おぉ!いや~ありがてぇ話だ」
「ただし……いろいろサービスはしてもらうからの……」
「へへっ……ダンナ、おてやらわかにお願いしますよ」
爺さんの言葉に、頭をぼりぼりと掻きながら『こっちにでさぁ』と、爺さんとふたりでさっさっと歩き始めてしまった。
「マーテル……おまえはこれでいいのか?」
「いい……」
そう言ってマーテルは俺の服の裾をぎゅっと掴んできた。
「……わかった、じゃあ……一緒に行こう」
俺はマーテルに歩調を合わせながら、ふたりの後を追いかける事にした。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
感情を表現するのは難しいですね。
次回更新12日12時です。




