表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/64

実力

 おはようございます。はじめまして。

 今回の内容は作者がよく鉈を使い山で(自分とこの所有)枝打ち伐採をしていた時の経験を元に書いています。

 なので、この表現は適切ではないのではと思われるかもしれませんが、御容赦ください

 よろしくお願いします。

 「ヒロよ……わしは、さっきから非常に気になっている事があるのじゃが?」


 「いきなり……どうしたんだよマーテル」


 町の南側の通りを、武具屋を目指して俺たちは歩いて行く。


 先ほどまで居た北通りと違い、人もまばらで静かなものだ。


 「お主……なぜ、そんなものを腰に差しているのじゃ」


 「これから戦いに行くからに決まってるだろ」


 なぜもなにもくそもないと思うが……俺は腰に差しているパチモンの聖剣に手をやる。


 「ほほぉ……それでお主は、その剣を使って何をどうするつもりじゃ?」


 「何をって……フーベルさんのお孫さんを救出するんだろ?」


 こいつは、正面から堂々と『返してください』とでも言いに行くつもりなのだろうか。


 「そうじゃ。ヒロ……お主はそこまで分かっていながら、何故そんな物を持って行こうなどと思うのじゃ」


 「お前こそ……何を言ってるんだよ――行けばすんなりと返してくれる――なんて事になるわけがないだろうが」


 マーテルは俺の言葉にひとつ大きなため息を吐くと、ゆっくりとした口調で話しはじめる。


 「お主……剣の腕前の方は、どの程度のものなのじゃ?」


 「……学校で習った程度……だよ」


 俺がそう言った瞬間、マーテルはやれやれといった仕草をみせた。


 「お主の18番『学校で習った程度』が出たな……」


 ほっとけ……だいたい、俺はウソはついていない。


 そもそも、誰のせいでこんな事になったと思うんだ。


 「お主……自分の実力に自信がないからこそ、あからさまに……フーベルの頼みを引き受けるのを渋ったのではないのか?」


 マーテルの言いたい事は分かった――実力がないと自覚しているのに、なぜそんな物を持って行こうとしている――言いたい事はこんなところか。


 「じゃあ……お前は俺に、素手で突撃しろとでも言うのか?」


 「誰も……そんな事は言うとらん。お主は口で言うておるよりも、自分の実力を理解しておらんのでは?と思っただけじゃ」


 「……?」


 理解できてない?俺が?素手よりは断然マシだと思っているんだが……。


 「分からんか……」


 そう言うとマーテルは、突然その場で足を止めてしまった。


 「おい……どうしたんだよマーテル」


 「え~い!うるさい、少々黙って……」


 そう言いながら、俺の方へと視線を向けたマーテルの瞳が大きく開かれる。


 「おぉ!これじゃ!」


 叫びながら、マーテルは俺を追い越し駆け出していく。


 「なんなんだ……突然」


 意味が分からず、俺はマーテルの動きをただ目で追う事しかできない。


 街道には景観を良くするための樹が等間隔で植えられている。


 マーテルは、その樹の一本へと駆けていくと周囲ををぐるりと何かを探すようにまわっていく。


 そんな事を何本かの樹で続けていたが、やがて一本の樹で動きを止める。


 「うむ!これでいいじゃろう!」


 なにがいいんだかさっぱり分からんが、マーテルは樹の幹をうれしそうに何度も叩き……。


 「ヒロ!この枝を、その腰の剣でスパッと切り落としてみよ!」


 ……俺の方へ振り向き、胸を張ってそう叫んだ。


 「はぁ?」


 そんな簡単な事でいいのか?俺にはマーテルの考えがさっぱり分からない。


 「ほれっ……ぐずぐずせんと、さっさっとせんか!」


 「やるよ。やるから、そう焦らせるなよ」


 枝そのものの太さは素手でへし折るには難しそうだが、この剣なら……。


 俺は腰から剣を抜き放つ。


 触れるだけでスパッと切れそうな程に滑らかな刃と、それを支える美しい装飾の柄。そして……柄の中央部には翡翠に輝く美しい宝玉が埋め込まれた……素人の俺から見ても物はいいように思える。


 ただし……俺に使えてしまってる時点で、伝説の武器では絶対ないのだが。


 ――ほほぉ……。


 ――小僧の方はともかく……。


 ――相当な業物だな……。


 「うっ……」


 声がでかいんだよ……マーテル。


 いつのまにか、周囲の注目を集めてしまっていたらしい。

 

 周りの目は、もっぱら俺の手にしている剣に注がれているようだ。


 「何をしておる……周囲の目がうっとうしいでの。早うしてくれんか」


 そう……思うなら叫んだりするなよ。


 俺はそんな事を考えながら、マーテルが指定した枝へとゆっくりと近づいていく。


 近くで見てみると、枝は思っていたより太いのでは?という印象を受けた。


 「いくぞ!」


 俺はゆっくりと振りかぶると――間髪いれずに刃を振り降ろす。


 「えっ……」


 次の瞬間……俺は体がふらつき、バランスを崩して尻もちを突いてしまった。


 「どうじゃ……これが、今のお主の実力じゃ」


 マーテルはこうなる事が分かっていたかのように、たんたんとしている。


 これが……俺の実力……。


 枝は落ちなかった――俺の降り降ろした一撃は、枝の一部をえぐるのみに留まり……切り落とすどころか、折る事さえも出来なかった。

 最後までお読みいただきありがとうございます。

 そろそろ、新しい展開が見えてきます。。

 次回更新11日5時になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ