道具1
おはようございます 初めまして。
なんか、つまらないコントみたいな展開になってますが、もうちょいお付き合いください。
序盤はどうしてもこういう書き方しか出来ず、ここいらを過ぎてからは、溜まってたのを吐きだすかのように展開が早く進み始めます。
それではよろしくお願いします
アルファポリスと重複投稿
「じゃあ……流すぞ?」
「うむ……よし……わしの方も準備万端じゃ!いつでも魔力を流してもよいぞ」
俺はそれを聞くと、木製の枠にあてがった右手に神経を集中させようとした。
どんな構造の建物でも、魔力を流す伝達部は木製と決まっている。
細かい事は俺にも分からんが『魔力には木』というのが、世間一般での常識だ。
「じゃあ……始めるぞ……マーテル」
「笑っとらんで、早うしてくれ!」
それは無理ってもんだ。
マーテルが必死になるほど、俺は笑いをこらえなければならなかった。
俺の右手の甲にマーテルは立っている。
人さし指と中指に両腕をからみつかせ、上半身を前かがみにお尻を突き出すような姿勢でだ。
「マーテル……お尻をもうちょっと引っ込めて……お尻にばかり目がいって全然集中できないんだが」
「な……どこを見とるんじゃ!この変態!これ以上体勢はどうにも……出来んわ!」
怒鳴りながらも姿勢をなんとかしようとマーテルはもがいている。
だけど……俺から見るとお尻を左右に振って踊っているようにしか見えない。
「マーテル……もういいから、お尻を動かさないで」
これ以上……俺の笑いのつぼを刺激しないでくれ。
「もう……あかん!いやや!お尻ばっか見んといてぇ~」
あっ……もう、俺ダメだわ……。
マーテルが顔を真っ赤に、お尻を抑えながら手の甲をすべり落ちるのと、俺が大笑いするのがほぼ同時だった。
「いつ……明かりは点くのかの……」
爺さん……すまない。しばらくは無理だ。
「まぁ……これでも飲んで気を落ち着けられよ……ヒロ殿」
心を落ち着けれるようにと、爺さんが淹れてくれた茶をすする。
なんの匂いかまでは分からないが、湯気とともに立ち昇ってくる香りに実際だいぶ気持ちを静める事ができた。
「ありがとうございます。フーベルトゥスさん」
「わしの事はフーベルでよいぞ」
爺さんはそう言うと、人懐っこそうな笑顔を見せる。
結局あの後、爺さんは燭台に火を灯した。
部屋の広さに対してあまりにも小さな灯火は、明るくしたというよりは部屋の薄暗さを際立たせているだけのように見える。
まだ陽の高い時間帯で窓から射し込む光の方が、燭台の灯りよりも役に立っているように感じてしまった。
マーテル……まだ、怒っているのか?
マーテルはあれから、俺に背中を向けたまま返事ひとつしようとしない。
燭台の側であぐらをかいて腕組みをしたまま、そっぽを向いているのだった。
「尻ぐらいでいつまで怒ってるんだか……」
「尻……ぐらいでじゃと」
マーテルはそっぽを向いたままだ。
「俺は可愛いと思ったけどな……さっきのマーテルは」
俺も少しやりすぎたしな……機嫌をとっておくか。
「なっ……なっ……何を言うておるか!この……鈍感!変態!金欠男!」
機嫌が直ったな。
俺からはマーテルの表情は見えない……が、俺はそう確信していた。
顔を真っ赤にし照れながら、頬を膨らませてるマーテルの姿を容易に想像する事ができた。
「ごちそうさまでした。フーベルさん」
機嫌も直ったみたいだし――とりあえず、マーテルの事はこれで大丈夫だろう。
「気分は落ち着いたかの」
俺はひとつ頷くと、カップを机の上に置く。
「さてと……じゃあ……さっさっと明かりを点けますか」
明かりひとつに俺は何をやってるんだか。
そんな事を思いつつ、席を立とうとした――その時だった。
右手に強い違和感を感じて、俺は思わずため息を吐いてしまった。
「マーテルさん……あなたの辞書に『懲りる』という文字は存在してないのですか?」
「だって……だって……見たいんじゃもの……仕方がなかろう!」
マーテルは半泣きだった。必死に右手の甲にしがみ付いて離れようとしない。
「お前さぁ……」
取り敢えず、そのままでは体勢が辛いだろうマーテルの身体を手の平へと移す。
甘えるような上目遣いで見つめられ、俺はその後の言葉を飲み込んでしまった。
「ヒロ~……」
「わかった……わかったから」
なんか……俺、こいつに振りまわされっぱなしだな……。
「よし!よう言うたヒロ!それでこそ、わしが選んだ男じゃ!」
一転して元気になったマーテルの態度を見て、俺は苦笑するしかなかった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
しばらく尻ネタが続きます(マーテルは今後もそういうのが多いかもしれない)
なにせ、表情豊かでよく動くキャラで、書いてて楽しくこれでも大分削った方です。
次回更新8日12時です。
よろしくお願いします。




