ノーム
おはようございます。はじめまして。
最初、城を出る時はただ流されるまま嫌々と言った感じのヒロだったのですが、ここで出会う人物に関わる事で……。
よろしくお願いします。
アルファポリス重複投稿
「まったく……お主という奴は……」
「まだ……怒ってるのか?」
「当たり前じゃ!」
マーテルはそう言うと、戦士像の方へと目を向けた。
「あれは……なんじゃ?」
「銅像……だけど」
「そんなぁ……事は分かっとるわ!わしが聞きたいのはあれは誰の銅像かという事じゃ」
「あぁ……あれは、この世界……っていうか、正確には人類を救った救世主アーサーの像だよ」
「ほほぉ……アーサーのねぇ……ずいぶんと男前に造っとるように見えるがの」
「それは……男だからだろ?」
こいつ、たまにおかしな事を言うよな。
「男ねぇ……まぁ、確かに男らしくはあったかの……」
「マーテル、お前……アーサーの事を知ってるの?」
「逆に……お主に聞きたいんじゃが……お主はアーサーの……歴史の事はどの程度知っておるのじゃ?」
おいおい……俺の質問は無視かよ……。
「……学校で習った程度には……」
「……ふむ、その『習った程度』とやらを聞かせてくれんかの?」
俺はマーテルに学校で習った範囲の、俺の知る限りの事を教えた。
世界が危機に陥った事。アーサーという英雄が世界を救うため立ちあがった事。
最終的に魔族を率いる魔王ロウを打ち倒し、世界を救済した事を。
「なんというか……まぁ……長生きはするもんじゃのぅ……」
それまで静かに俺の話しに耳を傾けていたマーテルが、突然大笑いをし始めた。
「ど……どうしたんだよ……急に……」
笑う要素なんてどこにもないぞ……今の話に。
「あぁ……わるい……わるい……」
涙目になるほどに笑っていたマーテルが涙を拭いながら話しを続ける。
「いや……なに……歴史というのはじゃ、勝者が作るとはよう言うたものじゃと、そう思うただけじゃ」
「それって、どういう意味……」
「あぁ……もし……会話の腰を折ってすまんが……」
俺がマーテルに問いかけようとしたその時、いきなりしわがれた声が俺とマーテルの会話に割って入ってきた。
俺は素早く声が聞こえた方へと顔を向けてみたが、声の主だと思えるような人間は見当たらない。
「ここじゃ……ここじゃよ」
ズボンをくいくいと引っ張られる感触に、自然と俺の視線も下がっていく。
小柄な老人?が俺のズボンを握りしめていた。
身長はギリギリ俺の腰に届くかぐらいしかない。人目を避けるためか、目深にフードを被った姿をした明らかに不審な人物だった。
「お主……何者じゃ?『会話の腰を折ってすまんが』と言うたな……わしの偽装を見抜くとは只者ではあるまい」
そうだった……マーテルの姿も声も俺にしか聞こえないんだった。
それが、聞こえてるって事は……俺は無意識に目の前の不審人物から距離を空けようと、2・3歩後ずさってしまった。
「そう……警戒せんでくだされ……わしはフーベルトゥスという、しがないノームの年寄りですじゃ」
そういうと、不審人物はフードを捲り上げて素顔を晒した。
ゴツゴツとした顔立ちに優しい穏和な目をした年寄りが、ニコニコと微笑んでいた。
「フーベルトゥス?はて?どこかで聞いたような……」
「マーテル?いったい……どう……」
突然、首を傾げ何事かを考え始めたマーテルに話しかけようとした途端、俺の腹が再び盛大な音を立てた。
「まったく……お主の腹は空気を読まんのう」
悔しいが言い返せない。
「ほっほっほ……ここで立ち話もなんですから、食事でもしながらお話しでもしませんかな?」
俺の腰を叩くと、フーベルトゥスと名乗ったノームの爺さんは朗らかに笑った。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
嫌々で、流されるまま動いているヒロも、そろそろ自分で決断しないといけない場面が以降ちらほら見られはじめます。
次回投稿7日19時です
よろしくお願いします。




