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安堵

 おはようございます。初めまして。

 マーテルとの絡みの続きです。

 よろしくお願いします。

 アルファポリスと重複投稿

 「さてと、これからどうするかな……」

 本当にどうしたものかと、俺は考えてしまう。

 マーテルの相手をしていたせいで、俺は自分の抱えている問題をすっかり忘れてしまっていた。


 「どうするも何も、飯を食いに行くんじゃないのか?」

 なんて……目まぐるしい奴だ。さっきまでぶつくさと拗ねたような態度をとっていたと思ったら、次の瞬間には態度が変わってる。


 「……何を見とるんじゃ……」

 「いや……何というか、悩みがなさそうでうらやましいなぁと」

 「お主……わしに喧嘩を売っておるのか?」


 お前はオヤジか……と言いたくなるような仕草で、俺を挑発してくるマーテルの姿に思わず吹き出しそうになってしまう。

 いや……ほんとに……見てて飽きない奴だよ。


 「まぁ……いいじゃろ。それよりお主『悩みがなさそうで』とわしに言ったな」

 「そんな事言ったっけ?」

 「とぼけても無駄じゃぞ。確かにお主は言った。間違いなく言った。わしは確かにこの耳で聞いた」

 「あぁ……わかった……わかった。確かに俺は言いましたよ」

 何が言いたいんだかこいつは……。


 「だいたい、ひとにそういう事を言うやつにかぎって問題を抱えてたりするもんなのじゃよ」

 「するどい……」

 「……お主の目下の悩み……当ててやろうか?」

 「……わかるのか?」


 よく考えたら、俺はひとりじゃなかったんだ。

 こんなちんちくりんでせわしないやつでも、俺が抱える問題を解決してくれるかもしれないと思った。


 「う……うむ、当然じゃとも」

 俺の反応が以外だったのか、少し面食らった表情をしたマーテルだったが、すぐに気をとりなおすとわざとらしい咳払いをひとつした。


 「お主……先程から腹の音を盛大に鳴らしながらじゃ、この広場に至るまでの道中で食べ物を買う素振りもみせなんだ……」

 「それで?」

 「……今だってそうじゃ。腹は空いとるはずなのに、なかなか動こうとはせん所を見るに……お主……金をまったく持っておらんじゃろ」

 「だから?」

 「えっ……」


 俺のそっけない切り返しに不意を突かれたのか、それまで勝ち誇った表情を見せていたマーテルは、声を詰まらせてしまった。


 「えっ……じゃなくて、そこまで分かってるんならさ……このピンチを乗り切るための解決策をだしてくれないとさぁ……」

 俺は大げさなため息を吐きながら、ちらっとマーテルの様子をうかがって見る。


 「そ……そんな事は分かっておるわ……解決策じゃろ……まぁ、見ておれ……」

 真剣な表情で考え始めたマーテルの様子を見て、内心してやったと思った俺の耳に、花火の音が聞こえてきた。


 広場は相変わらず、通りから流れてきた人々で賑わいを見せている。

 親子連れや恋人達……みんな幸せそうな表情で、この祭りを楽しんでいる。

 俺は急に虚しいというか、悲しい気持ちになってしまった。

 ひとり空腹を抱え、いつ生命を落とすかもしれない旅に出ようとしている。

 それも逃げるようにしてだ。


 「ヒロっ!」

 いきなり耳元で叫ばれ、考え事をしていた俺は驚きのあまりむせてしまった。


 「お主……よくも……よくも……」

 やっと気付い……。


 「いっ……痛ってー!」

 俺は耳から発した痛みに思わず悲鳴をあげてしまった。


 「まっマーテルさん!ちょっ……ちょっと本気で痛い……痛いってば!」

 「お主……次、わしの事を引っ掛けたら……その時は、耳を捻りあげてやるからの!」

 「いや……もう……捻ってる……捻ってるから!」

 あまりの激痛に、周りの目を気にしている間もない。


 「まったく……どうしようもない奴じゃ……」

 ようやく解放された耳をさすりながら俺は笑っていた。


 「ヒロ……お主……何を笑っておる……もういっぺん捻ってほしいんか!?」

 こいつが……マーテルがいてくれて本当に良かったと、俺は心からそう思っていた。

 最後まで読んでくださりありがとうございます。

 次回辺りから、雲いきが怪しくなってきます。

 次回投稿7日12時。

 よろしくお願いします。

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