祝祭
おはようございます。 はじめまして。
前回からの続きになります。
アルファポリス重複投稿
よろしくお願いします。
「らしい……とはずいぶんと自信なさげな事じゃのぅ……」
「だから、俺は詳しくないんだってば……」
俺に何を期待してるんだか……不服そうな表情をみせるマーテルから一瞬目を逸らした。
あれ……なんか俺見られてる?
中央広場は通りほどの人だかりはない――が、人が居ない訳でもない。
それまで、俺はマーテルとの会話に集中していてまったく気にしていなかったのだが、なんだかチラチラと、周りに見られているような気がしたのだ。
「ヒロ……急に何をソワソワしておるんじゃ」
「いや……なんか……さっきから周りから注目されているような気がして……」
俺の話の何が可笑しかったのか、突然マーテルは腹を抱えて笑いだした。
「……いつ気が付くかと思っておったが……やはりお主鈍感じゃのぅ」
「やっと……って、マーテル……お前気付いてたのかよ……」
「当たり前じゃ、少し想像力を働かせれば分かるじゃろ……今のお主は周りから見たら、ひとりで声をだして騒いでおる変人にしか見えんだろう」
言われてみれば確かにそうかもしれないが……でも、俺の肩にはマーテルが乗っている。
フェアリー自体は珍しい種族ではあるが、それでも珍しいというだけの事だ。
まぁ……人と慣れあって会話をしているフェアリーというのは、確かに目立つかもしれんが……。
しかし、俺が『独り言を言って騒いでいる』っていうのは納得がいかない話だ。
何故なら、肩の上のマーテルを見れば何と会話してるかぐらいは周りからもすぐに分かる事だからだ。
「……言い忘れていたが、わしの姿はお主にしか見えんぞ」
はぁ!?心を読み取ったような、マーテルの盛大な後出しに俺は心の中で叫び声をあげてしまう。
「お……お前なぁ……」
「まぁ……まぁ……そう怒るなヒロよ……これにはな、ふか~い理由があるのじゃ」
そう言うと、マーテルは神妙な顔つきで考え込むような仕草を作る。
「ほほぉ……それは……また、どんな理由ですかな?マーテルさん」
深い理由……ねぇ……。
「うむ……それはの……」
「それは?」
「わしは人見知りな上に、人混みがきらいなのじゃ」
さんざん……もったいぶった言い方をしといて……理由はそれかよ。
こういう事には……こういう事には慣れてる方だけどさ、あぁ……くそ……なんか、だんだん腹がたってきたぞ。
「おまえなぁ!いい加減に……」
声を張り上げた瞬間、俺の腹の虫が盛大な音を立てて鳴り響く。
「ヒロ……腹の虫が鳴っておるぞ」
なんだか……馬鹿らしくなってきた。
「怒ったのか?」
「別に……」
「怒っておるな」
「だから、別に……」
目線をマーテルに向けた俺は思わず大きなため息を吐いてしまった。
肩の上でちょこんと正座をし、微かに目を潤ませるような仕草で俺の顔をじっと見つめるマーテルと目が合ってしまったからだ。
「……怒ってないから」
「本当か」
「全然、まったく、これっぽっちも……」
俺が怒っていない事に、安堵したような表情を一瞬見せたマーテルだったが……。
「まぁ……なんだ、元々の原因はお主が鈍感な事なんじゃからな」
さっきまでのしおらしさはどこへ行ったのやら……。
「あぁ……はいはい『俺が悪うございました』これでよろしいですか?お嬢様」
「……まったくなげかわしい。わしをいったい誰だと思っておるのか……」
実際、お前っていったいなんなんだよ……。
ぶつくさ言っているマーテルを見ながら、俺はこれからどうしようか……漠然とそんな事を考えていた。
差後まで読んでくださりありがとうございます。
しばらくこのやりとりでストーリーが進んでいきます。
次回更新12/07/5時(予約済み)




