表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そうだ!TRPGをやろう!!  作者: ashrelly
プリプレイ//準備をしよう!
1/3

00 切っ掛けは"沼"

どうして、セッションやろうと思ったのか?まで。

 日本でテーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG,世界的にはRPGと呼称)と呼ばれる遊びがある。いわゆるビデオゲームのRPGとは一線を画す自由度の高さがあり、基本的な枠組みすらも変えられる懐の深さもある。夢のようなゲームだ。

 ただ、ゲーム機の代わりを人がやるので、"全て"のキャラクターは"誰か"の意思を持って動くことになり、人の悪意と経験に極端に弱いという側面もあったりする。

 TRPGは成否を判定するルールと、そもそもの舞台(世界)設定で出来ている。これを基本ルールと呼ぶ。

 私は、この基本ルールを幾つか組合せ、お互いの穴を埋めたり、世界設定を補填し合う様に運用して遊んでもらうのが好きで、よくプレイヤーを募って、それを披露した。

 この時の私の様に、ゲーム機やゲームソフトの代わりをし、お話の筋を用意し、世界の有象無象を動かす役割のプレイヤーをゲームマスター(GM)と呼ぶ。対して、GMが用意した舞台で自分だけの"物語"を紡ぐキャラクター(PC)を操る役割をプレイヤー(PL)と呼ぶ。

 世のGMはモノプレイ(所謂ゲームブックの様な遊び方)やテストプレイを繰り返し、基本ルールへの理解を深め、よりドラマチックなシナリオにすべく添削を行い、PL達を迎えうつ。そういうことに楽しみを見出して居た。


「つい最近までは……ね。」

 私は黙って、インターネットブラウザのタブを閉じる。そこに在ったのは140字限定でいろんな人とやり取りする"キツツキー"の画面。時代は変わった。

 18年近くゲームをやっていると、色んな主張に出会う。やれゲームバランスが悪いだの、制作会社が気に入らないなど。それでも、内容がビデオゲームであるのなら"レベルを上げて物理で殴ればいい"だとか"次元の壁を超えればいい"で、Wikiが賑わい、解決されていく。ゲームクリアをするだけなら、大して困ることはない。

 だけど、TRPGはそうはならなかった。"悪意に弱い"構造を持っていたから。やれ、ボスに勝てないバランスにしたGMが悪いだの、趣味で組んだPLが悪いだの、データがあるのに倒せないのはおかしいだの。なまじっか自分の要求を通せる隙間があるだけ、泥沼の議論が終わることはなく、色んな派閥を作っていってしまったのだ。これがTRPGを遊ぶ者がたびたび耳にする、"沼"という表現を生んだ。「この基本ルールで遊びたいのだけど、君はどこの"沼"の人?」だとか「あー、その基本ルールは"沼"が深いからパス」とか言われる世界になってしまったわけである。

 "沼"の発生が、全て悪い方に進んだかと言えばそんなことはない。好きな遊び方でプレイグループが細分化されたので、合致する人にはとても快適な環境になったことだろう。しかし、私には悪い事しか起きなかった。

 もとより、複数の基本ルールを組み合わせて遊ぶという"プレイ人数の母数"が少ないところのGMだったので、この騒動を皮切りに遊んでくれる人が居なくなってしまったのだ。色々手を尽くしたが、かつての勢いで遊ぶことはもう出来ないのだなと自覚できる程度には、打ちひしがれる結果に終わった。


 カチカチとマウスをクリックし、"まいつべ"に繋ぐ。SNSで受けた"ゲーム性の違い"なる沼発祥の用語で受けた傷を回復すべく、適当な動画を摘まむ。何かないかと、熱にうかされたように、動画一覧を掘り下げていく。2分ほど、動画一覧を眺めたところで私の手は止まった。


「TRPG、プレイ動画?」

 そこには、ライブノベルの形式で展開される、TRPGでプレイヤーが作った"物語"を主軸に展開する光景があった。TRPGの動画があるのは知っていた。知っていたけど、あまり好きではなかった。何故か。それは"遊んでる風景"を主軸に据え、悪意をネタに作られたものが多かったからだ。

 しかし、今日見つけた動画は違った。たった一つだけ違うところがあった。その動画は、"物語"だけを不器用に訥々と描写していたのだ。主流ではないのだろう、再生数もお気に入りも多くなかったが、私の胸には来るものがあった。


「私もやってみよう。」

 幸い、TRPGのプレイ履歴は売るほどある。これを動画にしてもいいだろう。でも、ただ動画にするんじゃなくて……欲はいくらでも湧いてきた。

 これが、私が一人のキャラクターを演じきる切っ掛けとなったのだった。


 キツツキーを立ち上げ、無心にイベント募集の旨を打ち込んだ。


---

【急募】TRPGリプレイ,動画化セッション参加者募集。キャンペーン。

 使用ルールは、○○,△△,××。サプリメント全載せサクサク。

 PL同時参加8人まで。ロールスタートします。詳しくはhttp://...

---


 この時のことを、私は今でも覚えている。まさかこんな企画に、13人も集まるなんて思っていなかったんだ。

誤字、脱字等あれば適宜ご指摘頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ