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青春桜花  作者:
2/2

始業式(前)

眠い…そして煩い…


ただ睡眠不足なだけなのか?夢の続きが気になるからなのか定かでは無いが


少し苛立ちを覚えながら乱暴に携帯電話のアラームを消す。


少なくとも今起きたばかりの頭の中に夜遅くまで遊んでいたからだ、という自責の念は無い。


「面倒くさいし、学校サボろうかな…」


一瞬、悪魔の囁きが聞こえたものの、すぐに思い出す。


「あっ、今日は始業式か。」



春休み中の生活リズムを修正出来ずに今日は4月7日。


昨日も何時まで遊んでいたか覚えていない。


が、とりあえず俺の頭は最低限、始業式というイベントを辛うじて覚えていた。



のそのそと布団から這いずり出し、ダラダラとカーテンを開ける。


太陽もびっくりする程の快晴。


しかも満開の桜とリンクして


始業式の日としてこれ以上無い光景だ。


『…やっぱりもう一眠り…』


自分でもビックリするほどにダメ人間である。


===============================================


唐突だがそんなダメ人間である俺の紹介を少しさせて頂く。


名前は『柳瀬 悠輝』(やなせ ゆうき)


どこにでもいる普通の男子高校生…だと思う。


学校をサボりすぎて出席日数が微妙だったが


無事進級でき、本日から2年生である。


通っている学校は地元でもそこそこの進学校であるが


決して成績はよくない。(下の上か下の中)


親父の仕事の都合で高校入学まで全国を転々としており


高校入学の際に親父の地元に帰ってきた。


幼稚園まではこちらに住んでいたらしいがもう10年以上前の話。


もちろん周りに小、中学時代の友人は皆無である。


全国行脚中は1箇所に留まる期間は長くても2年程度。


短ければ半年というのもあったほどだ。


そんな経験上、人付き合いはそれなりに上手く今の高校で友達を作るのに


時間はさほど掛からなかった。


しかし浅く広い交友関係の為、親友と呼べる人物は少ない。


===============================================


少し長くなってしまったが、以上で自己紹介は終了。


シパシパする目を擦りながら、まるでルーティンワークの様に


シャワーを浴び、朝食を作る。


さぁ食べようというタイミングで聞きなれた情けない声が聞こえてくる。


「おぉ…おぉはぁよぉう…」


寝起きの親父である。


「あぁ…おはよう…」


別に親父の事が嫌いなわけでも、反抗期な訳でもない。


ただ、親父とは最低限の会話しかしない。


たぶんそれは過去親父の都合で転校を繰り返し、幼い自分が苦労した記憶。


基、潜在的に溜め込んでいる親父への不満に他ならない。


「…じゃあ俺学校行ってくるから、食べ終わったら洗物しておいて…」


そう伝えると逃げる様に家を出る。


いつもの事と言えばいつもの事だがこの親父との距離感が苦痛だ…


今日の晴天と反比例した暗い表情で登校する。


現時刻は8時00分。


HRが8:30からで家から学校まで歩いて15分。


この少し後ろめたい気持ちを少しでも改善できる様に


満開の桜を眺めながらノタノタと歩く。



……


………


何事も無く学校に到着。


校門を跨いですぐにある中庭に今年のクラス分けが張り出されている。


そこには無事進級が出来た生徒が働きアリの如く集まっている。


「やべぇ、俺のクラス担任が高畑だorz」


「やったぁ!私真鍋君と同じクラスだ!」


遠目からその光景を見つめながら内心思う。


『よってたかってそんな事で騒ぐなよ…』


一歩引いた所から中二病的な発想をしながら自分の名前を探す。


『あった、2年2組か。』


『担任は高倉教諭か』


高倉教諭は1年時の担任であり、社会(日本史、世界史)の担当でもある。


少し抜けた所があるが生徒思いで、まじめな教員である。


教員で苦労することは無いなと、ホッとしながら教室へ向かう。


下駄箱にスニーカーを入れ、上履きに履き替えていると後ろからチャラい声が。


「おはよう、悠輝!」


振り向くと詐欺師もびっくりの胡散臭い笑顔の男が立っている。


「おはよう、大翔たいが


こいつは佐藤大翔さとうたいが


1年時に同じクラスで今年も絶賛クラスメイトな男だ。


ちなみに補足すると男友達で一番仲がいい。


「今年も高倉教諭だな」


「それどころがクラスの面子があんまりかわってないし(苦笑)」


「へ~そうなんだ~」


そういえばクラスメイトはあまり興味が無かったのでほとんど見て無かったな。


「酷い奴だね~(苦笑)」


『そう言われてもお前の胡散臭い笑顔に比べれば…』


さすがにそう言い返すことはしなかった。

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