戦略的撤退
意を決して飛び込むと、目に広がるのは一面の青
まるで海のど真ん中に落とされたかのような、そこはかとない恐怖心を煽られる。
「うわぁ、こういうタイプのダンジョンかぁ……」
私とベリルはもちろん、サフィでさえも一歩目を躊躇っている様子。さすがに危険を感じられるよね……
一口にダンジョンといっても様々なタイプがある。
私達がこの前入ったダンジョン……かの勇者達と邂逅したダンジョンは、一本道ダンジョン。
攻略としては、奥に向かえば向かうほど強力なモンスターが出てくるという非常に単純明快なもの。
他には迷宮ダンジョン、崩落ダンジョン、そして箱庭ダンジョンがある。
たった今入ったのが、その箱庭タイプなのである
このタイプの特徴としては、まずボスの位置がわからないという点。一般冒険者にとって、初回でクリアを目指すのは無謀すぎるダンジョンなのである。
そして次に、ダンジョン内部が非常に広い場合が高いのである。大規模な探索隊で攻略するか、クリア目的ではなく、定期的な資源集め場所として扱われる場合が多いのだ。
パっと見、辺りすべてが水。
果て、と言えるような場所が全く見えない。
すぐ周りにモンスターや宝物など、オブジェクトが特に無い状況。
幸い空からの光で目の前が見える程度には、深過ぎないのが救いかな。
これらから察するに……非常に広いタイプの箱庭ダンジョンだ。
「ルベリーちゃん。これ、いつもだったら一旦帰るやつだよね……?」
「そうなんだよねぇ……」
目立った建物と言えるモノがなく、水中という目印をつけ難い場所なのも非常によくない。
当然一度ダンジョン外に戻るつもりではある。そう!戦略的撤退である!
「い、行きたい、けどっ、さすがにダメ、だよねぇ」
そんな唇を噛むほどイヤかな?
イヤだよね。わかるよサフィ。
ベリルも含め、私達三人全員ダンジョン攻略がしたい派だった……
ここでなんの成果もナシに引き返していいのだろうか?いや、そんなことはない!
「水面上がって確認くらいはしてみたくない?」
うんうんと頷くサフィ、少し考えてからこちらを見るベリル。
「ダンジョンの入り口……わかんなくなったりしない?流されたらわからなくなっちゃうよ?」
「それなんだけど……ベリル、また頼んでいいかな?」
私の作戦はこう!
ベリルがダンジョンの入り口で強い光魔法を使う。
サフィが上にあがる。私はベリルの護衛をする。
万が一でも明かりを目印に戻ってこれる。
正直穴だらけの作戦だけど、今すぐできることって言ったらこれくらいのはず……
「それじゃあ、照らすね」
ベリルが詠唱を始める。水中に明かりが広がっていく。
視界が広がっていくと同時に、身の回りの状況が把握できるようになる。
否が応にもわかってしまう。海中のモンスターに囲まれていたことに……
「退却!退却退却ー!!!」
先に照らしておいてよかったと、心の底から思った……
次回、ダンジョンから上がるとそこには長身のふたり組
彼らは木でできた弓矢を構えており
どう見ても穏やかではないご様子……
「い、命だけは……」
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