向かった先は、森の中
私達三人は、夜道を馬車で進んでいる。
──勇者からの忠告を受けた私達だったが、彼を信じきれないでいた。
その場に来訪者が現れ、サフィが同じように対応する。そこにいたのはなんと教会の人物。
サフィは驚きつつも冷静に、まだこの家にルベリー……『私』は帰って来ていないと伝え、難を逃れた。
それからは慌ただしい時間だった。
シスターのサフィは何食わぬ顔で教会に戻り、最低限の荷物を持って教会を離れることに。
シスターなのが功を奏したのか、幸い荷物は少なかった。
だがしかし、その明るい性格から友人の多い彼女にとって、夜逃げのような形でその場を離れるのはだいぶ堪えたのだろう。いつもよりも口数が少ない……
ベリルは唯一の肉親である母親に事態を告げた。
母親は故郷に戻ることを即決したようで、問題はなかった。
ただ魔導書を山ほど持っていこうとし、街の人に少し怪しまれたり
多すぎる荷物は旅の邪魔となるとして、あえなく断念することに……
渦中の人である、私、ルベリーは家から外に出ずに待つことに。
次の目的地……いわば逃げ先を考えることにした。
何も考えないでいると、どうして私がこんな目に……
といった暗い気持ちに覆われそうになるから……
どこまで逃げればいいんだろう。
勇者が言うには、街から離れて数年も経てば問題も矮小かするだとかなんだとか……
あ、そういえば勇者だけど、結構な額の金貨をくれた。
さすが勇者、儲かってますねぇ……とは思いつつ、改めて勇者の言動に違和感を覚える。
どう見てもダンジョン内での彼と、私の家にひとりで訪れてきた彼とでは、別人にしか見えないからだ。
「今は何も言えないが、ボクは別に悪いことをしたいわけじゃあないんだ☆」
などと言ってはぐらかされ、そのまま隙を見て帰って行っちゃった。
まあ詫びのお金をくれるならなんでもいいけど。
勇者からもらったお金で馬車を買い、ある程度の旅の荷物と、いくつかの魔導書と、あの聖剣と思われる剣……
これらだけを持って、私達の旅は唐突に始まった。
いつだったか三人で冒険について語り合ったこともあると思う。
旅に夢を見て、けれどどこか夢見心地のままであった、私達の冒険譚。
こんな始まり方になるとは思わなかったけどね……
──馬車に揺られ続け、夜が更け朝日が昇ってくる頃。
それまで元気のなかったサフィが声を上げる。
「なんか、あたし結構ワクワクしてきたかも……っ!冒険の始まりだー!」
「ふふっ、今さら実感したの?ベリルちゃんなら喜びそうな展開だなー、って思ってた」
「えへへっ、ごめんごめん。せっかくの旅立ちなのに辛気臭いと面白くないよね!」
「サフィ、まだ明け方だから。あんま大きな声出さないの」
「え~?教会ならもう起こされる時間だからいいの~」
まったく……元気になったと思ったらすぐうるさくなるんだから。
それでこそサフィだよ。
「じゃあじゃあ掛け声言っとく?」
「あ~、あの掛け声?最後にしたの、まだ最近のはずなのに随分遠いことに思えるね~」
「でしょでしょ?今こそやっとくべきじゃない?それじゃあ、いっくよ~?」
「……あ、待って?一応ワタシ達って追われてる身だし、やめた方がいいと思う」
……。
私達三人の旅は、なんとも言えない雰囲気で始まった。
次回、いざ冒険に出た三人娘!
逃亡中の身って言った方が正しいような……
ま、そこは気の持ちようってことで!
「エルフって……あのエルフ?」
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