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City Of Fury  作者: Mateo
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第11章 – 次の犠牲者

シーン1:新しい朝

耳障りなビープ音が静かな朝を引き裂いた。

半分眠ったまま、Kaitoは手を伸ばしてアラームを止めた。しばらく目を閉じたまま静寂に耳を傾け、それからようやく起き上がり、キッチンへ向かった。

コーヒーメーカーのスイッチを入れると、淹れたての香りが部屋に広がる。Kaitoはテレビを点け、朝のニュースを流しながらも、内容にはほとんど注意を払っていなかった。交通事故や地元政治の話題が流れていたが、彼の頭の中は昨夜の出来事でいっぱいだった。

路地での襲撃、逃げた一人、そして手に入れた携帯電話。

「偶然なんかじゃない…あの携帯は指示を受けるためのものだったはずだ。」

コーヒーを一口飲んだところで、テーブルの上の携帯が震えた。画面を見ると、Satoruからの着信だった。

「はい?」と低い声で出ると、Satoruの声が緊迫していた。

「Kaito、今すぐ来てくれ。昨夜渡された携帯を解析してたんだ。」

「何か見つけたのか?」

「見つけた…だが気に入らない内容だ。暗号化されたメッセージを解読したら、今夜九時に次の襲撃が予定されてる。場所は祇園、東山地区の近くだ。」

Kaitoの視線が鋭くなる。「すぐ行く。」

―――――――――――――――――――――――――

シーン2:準備

Satoruの家は相変わらず紙とコードで埋もれており、複数の画面に京都の地図と暗号解析結果が映っていた。

「見せろ。」

Satoruは椅子を回転させ、スクリーンの一つを指し示した。

「携帯のロックは簡単だった。中には暗号化された会話があったが、単純な置換式だったからすぐに解読できた。」

スクリーンにはチャット履歴が映し出される。

「これが最後のメッセージだ。『ターゲット確認済み。土曜、21時。京都・祇園。クリーン。』」

「『クリーン』?」とKaito。

「警察の目がない、もしくは既に抑えてあるって意味だろう。どちらにせよ、処刑の合図だ。」

Kaitoは腕を組んだ。「逃げた奴か、その上の連中…俺が手がかりを握っていることを知っている。」

「だろうな。」

「つまり…今夜は罠の可能性が高い。」

「あるいは好機だ。」Satoruは肩をすくめる。「だが一人で行くなよ。」

Kaitoは首を振った。「俺はその方が動きやすい。」

Satoruは深いため息をついた。「せめて携帯は繋ぎっぱなしにしろ。馬鹿な真似はするな。」

「善処するよ。」声の調子は何も約束していなかった。

―――――――――――――――――――――――――

シーン3:偶然の出会い

Satoruの家を出て車へ向かう途中、Kaitoは胸の奥に重く沈む不安を感じていた。その時、曲がり角の先で見覚えのある人物に出くわす。

「Aiko?」驚きが声に滲む。

カジュアルな服装にヘッドフォンを首にかけ、小さな買い物袋を持っている。

「こんにちは、Kaito。なんだか…緊張してるみたいね。何かあった?」

「心配することじゃない。」彼は視線を逸らした。

「最近ずっとそんな感じよ。」Aikoは首をかしげる。「本当に大丈夫?」

「複雑な案件なんだ。」

しばし見つめた後、Aikoは優しく笑った。「今日は休みなの。少し食事でもしない?気を紛らわせた方がいいわ。」

断ろうとしたが、真剣な笑顔に押され、Kaitoはため息をついた。「…わかった。」

―――――――――――――――――――――――――

シーン4:率直な会話

小さなラーメン屋。温かい湯気と香りが漂う。向かい合って座り、Aikoは彼をじっと見つめた。

「疲れてるみたい。」

「大したことじゃない。」Kaitoの声は機械的だった。

「Kaito…」Aikoは肘をテーブルにつき、真剣な口調で続けた。「犯人を捕まえたいのはあなただけじゃない。皆、そのためにいるのよ。一人で抱え込む必要なんてない。」

Kaitoは言葉を失った。その一言が胸に刺さる。

「考えておく。」と、感情を抑えた声で答える。

Aikoは微笑んだが、瞳にはまだ心配の色が残っていた。「それで十分…今はね。」

二人は軽い話題に切り替え、食事を終えると別れた。Aikoは「トラブルに巻き込まれないで」と言い残して去っていった。

―――――――――――――――――――――――――

シーン5:運命の約束

自宅に戻ったKaitoはソファに沈み込み、Aikoの言葉と自分の孤独なやり方を思い返していた。

だが時計がアラームを鳴らす。20時20分。

「くそ…」

コートを掴み、拳銃を確かめ、Satoruが伝えた住所へと車を走らせた。

祇園は提灯の灯りが揺れ、伝統家屋が並ぶ静かな通り。Kaitoは現場から一本外れた路地に駐車した。

20時55分。指定された家の前に立つ。ベルを鳴らす。反応なし。もう一度鳴らす。沈黙。

「嫌な予感がする…」

五分後、決断したKaitoはロックを外し、静かに中へ。暗闇の中、唯一光を放つのは青白く点滅するテレビ。

ソファには女性が座っている。スクリーンの光が不気味な影を落とす。動かない。

Kaitoはドア口で立ち止まり、手を銃に近づけた。

「何か…おかしい…」

「大丈夫ですか?」慎重に声をかける。

返事はない。

次の一歩を踏み出そうとした瞬間、背後の床板がかすかにきしむ音。Kaitoの心臓が跳ね上がる。



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