表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼穹のイカロス  作者: レイチェル
番外編——幼少期の兄上(朧げな夢の中で)
53/60

カイトの兄上――②

 師範代は反撃せず、兄上は打ち込みを続ける。

 

 まるで掛かり稽古だった。

 打ち手が基本的な技を反復する。こうして刀の扱いを稽古を通じて学ぶ。それは実戦さながらの真剣同士の稽古だった。

 

 実際に、刀と木刀では、全く違う。


 まず、踵は浮かせてはいけない。

 木刀は軽いから踵を浮かせてもいいが、真剣はそれよりも重い。だから、両足は地面にピッタリと付けるようにしなければいけない。

 

 そうでなければ真剣の重みで、前方に身体が傾き、安定しなくなるから。


 そして、剣筋も荒くなる。

 初めは肩に余計な力が入ってしまい、腕に疲労が溜まりやすい。実際、兄上の呼吸は乱れていた。数十回振っただけでも、滝のような汗が道場を濡らす。


 対して、指南役は全く動ずることなく、悠々と受け流し捌いていた。


 その呼吸に一切の乱れはない。まさに堂々とした構えだった。

 

 そんな指南役から、くぐもった低い声が発せられた。


「もう終わりか?」

「違います」

「ん?」

「刀の扱いは、もう分かりましたから」

 

 兄上の脚が一歩、前に出る。

 

 空気が変わった……。


面白いと思って頂けた方は、ブックマークと評価をして頂けると幸いです!

何卒よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ