シモーネの街が燃えているっ!——③
「全く、仕方のないお兄さまですね」
複数の光弾を発射し、周りの煙さえも霧散させるシオン。重々しい空気が消し飛び、周囲の火さえも消滅させた。
と、後方から声が聞こえた。
「誰かいますかっ! 声が聞こえていたら、返事してくださいっ!」
「あっ、カイトの兄貴っ! そこにいたんすかっ!」
「ふむ、どうやら子供が埋まっておるようじゃなの。老体に鞭打っても助けなきゃならんのぉ」
そうして、総勢五〇人もの隊員がカイトの周りに集まってきた。
「……なんでここに?」
「そりゃ、カイト殿。貴方と同じ考えですよ」
「もちろん、逃げ遅れた市民がいないか確認するためっす」
「市民の避難は大方済んだしのぉ。しかし子供がいないと、母親が騒いでおったしのぉ」
まるで、火中の栗を拾う。そんな危険な行為だ。
敵はシモーネを燃やし、鎮静化したら突入してた可能性だってある。普通なら、住民と安全なところに避難するべきだ。それなのに。
「皆、馬鹿なの?」
「カイト殿に、言われたくないですよ。全く」
「あぁそうっす。なんせ兄貴が一番乗りだったんすから」
「お主が一番のバカよのぉ」
「バカを通り越して、お兄さまはお人好しなんです」
「あっ、シオン殿っ! 棺桶から出られたのですねっ!」
「どでかいヤツ、敵にぶち込んできたよっ!」
「あのバカデカい爆発は姉貴かっ! 敵のヤバい兵器だと思いましたよっ!」
「アレは凄かったのぉ。避難所まで、地鳴りが響いてきたわい」
そうこう話しているうちに、瓦礫が撤去されていく。
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