シモーネの街が燃えているっ!——①
それは悲惨な光景だった。
眩しい炎の輝きが夜空をバチバチと照らし、煙が立ち込めている。黒く焦げた建物や焼け跡で、もう既に街は瓦礫の山になっていた。
幸いなことに、住民は逃げ切っており、悲鳴などは聞こえない。
「……良かった、逃げ切ったんだ」
「ユリアーネたちが頑張ってくれたから。ほとんどの住民は避難できているみたいですね。でも兄さま、わざわざ訪れたのは何でですか?」
「最悪の状況になってほしくなかったから」
「最悪の状況……? ケモノたちと争っている間に、シモーネの人々は全滅っ! これじゃぁ戦い損っ! 何も救ってねぇっ! ってことですか、お兄さまっ!」
「分かってるのにいうな、シオン」
「さっきまで焦っていたのが、馬鹿みたいだからですか?」
「別に」
「兄さまのそれ、もう馬鹿を通り越してます。ちなみに、住民が残っていたら?」
「残っていたら、救助しようかなって」
「さすが甘ったるいくらいの、お人好しですねっ!」
「……少し黙ってくれない?」
「むぅ、うるさいから棺桶に閉じ込めたんですか?」
「……」
「確かに、身を隠すとは、普通ならお兄さまの傍を離れるという事。でも最愛の妹ながら、それはできません。なぜならシオン、お兄さまの隣にいてのシオンですの。だから断腸の思いですが、ひんやりとした棺桶の中を選びました。分かりますか、お兄さまっ!」
「……シオン、聞こえないか?」
「ん? 最愛の妹の告白がっ!」
「気のせいじゃないか」
遠くから、微かにカイトの名前を呼ぶ声が聞こえてくる。カイトはその声に引き寄せるように駆けっていった。
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また……。
キャラの会話が多く、シモーネの街が燃えているっ!は、細かく分かれてしまいました。
見せ場があまりないのに、分割して投稿して申し訳ございませんm(__)m




