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蒼穹のイカロス  作者: レイチェル
第三章 ケモノの軍団VSヴァリバルト傭兵団っ!
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新しい魔法使い その名もミツルギ・シオンっ!――②

 次第に増えていき、群れをなして迫ってくるケモノたち。黒い点が無数となって、カイトたちに集まる様は異様だ。まるで地面を這う蛆虫のようだった。

 

 そう、蛆虫なのだ。

 

 このミツルギ・シオンの前では――。

 

 地を這う蛆虫に過ぎない。


「私の力ではお前ら如き、ただの虫けら同然っ!」

 

 それは眩い光。その光の前では、どんな無数の点も圧倒されるようだ。その輝きの前では、暗闇も光に染まるのだろう。一切の塵一つ残さず、無に帰するのだろう。


「アインハルトッ!」

 

 光弾っ!

 

 それは天高く放った、大きな光の弾。

 

 雲まで届くんじゃないかと思われるところまで飛び、そして勢いがなくなった所で、爆発した。

 

 爆発した光弾から、地に降り注ぐ光の雨。

 

 光弾が無数となって、大地に降り注ぐ。その一つが一つが、あの鋼鉄の肉体をも貫く威力だ。


「いけいけ、どんどん射抜けっ!」

「あのさ、シオン。その光弾……僕たちの方まで来てない?」

 

 そうして、カイトの眼前で光弾が被弾した。

 

 まるで目の前で核が爆ぜたようだった。

 一つ一つがミサイルのように威力が高く、ケモノの肉さえも穿つような光弾。その一つ一つが草原に容赦なく降り注ぎ、大きなクレーターを作っていく。


「これはヤバいです、兄様っ!」

「やり過ぎだって」

「存分にやれっていうからっ!」

「それでもやり過ぎっ!」

「退避っ! 退避っ!」

 

 咄嗟に、カイトとシオンは森の中に逃げ込む。それでも広範囲の光弾が木々に注ぎ込み、その衝撃が傍にいたカイトにも伝わっていく。


「うおっ!」


 近くで被弾したらしい。

 カイトの身体が突き飛ばされた。受け身を取りつつも、大木に打ち付けられて胸が圧迫された。思わず咳き込んでしまう。


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