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蒼穹のイカロス  作者: レイチェル
第三章 ケモノの軍団VSヴァリバルト傭兵団っ!
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カイトVS大型のケモノ――①

「……逃げ切れるかな?」

 

 木の間を縫うようにして、カイトは下りの森を駆けっていた。

 

 対して、大型のケモノはというと――。


「ガルルルルッ!」


 木々をなぎ倒して、そのまま一直線にカイト目掛けて駆けってくる。


 あの巨体に対して、もはや周囲の全てが障害物。まるで巨大な岩が転がってくるが如く、一向に止める様子はない。周囲のモノをぶっ飛ばして、突き進んでいく。


(このままじゃ、追いつかれるな)

 

 それに、この林の中では満足に刀を振れない。振ろうにも、周囲の木々が当たって邪魔をする。このままでは、まともな攻撃ができない。


「なら、森を抜けるしかないか」

 

 カイトは大地を踏みしめ、大きく跳躍する。そのまま坂道になっている地面にダイブし、受け身を取りつつ転がるようにして滑り落ちる。そのまま平地に付いたらすぐさま駆け出し、森を抜け出した。


「……全身泥まみれだ」

 

 カイトが独り言ちるも、敵は待ってくれない。既に大型のケモノが後ろから迫ってきて、カイトはすぐさま振り向き構える。それから刀を振るった。


「はっ!」


 最初は、脇腹から斜めに上げる逆袈裟斬り、次に振り下ろして唐竹斬り、下から鳩尾を狙うような水月斬り。瞬きする間もなく三撃が走る。

 

 しかし、全て無意味だった。あのケモノを一刀両断した、この刀がだ。手応えなく、刀が滑るようにケモノの肉を滑った。


「なら、これだったらどうだろう」


 カイトは半身を取って腰だめに構える。


 刀は鞘に納めたまま。


 そして神速の放つ刀によって、あの鋼鉄の肉を切り伏せる。

 

 大型のケモノが近づいてきた瞬間、カイトは腰の刀を鞘走らせて――。


「居合斬りっ!」


 額の命中を確認して、カイトは軽く地面を蹴って再び間合いを保つ。抜いたはずの刀も、いつの間にか鞘の中へ戻されていた。


「……これでいけたかな」

 

 ケモノの額からは、プシュッと血が溢れ出した。あの三連撃の猛攻をものともしなかった、あの鋼鉄の鎧。閃光のような一撃で、ようやく傷一つ入れられた。


「ガルルルルッ!」

 

 しかし皮の一枚切れただけのようで、ケモノは低い唸り声を上げる。

 

 そうして、ケモノはこちらを警戒するように間合いを取った。


 居合抜刀術。相手が攻撃を仕掛けてから、後の先によるカウンターで打ち取る。これが一般的なスタイルで、基本的に防御の型とも言ってもいい。


 だから好機が訪れるその時まで、じっと耐える必要があった。


(でも、そんなに余裕はないしな)


 こうしている間に、他のケモノたちがカイトを取り込まんでしまう。


 それに、ここは平原。逃げ間もなく、囲まれたら集団リンチだ。


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