表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼穹のイカロス  作者: レイチェル
第三章 ケモノの軍団VSヴァリバルト傭兵団っ!
40/60

蒼穹のイカロスっ⁉

 それでも気圧されないよう、カイトはとりあえず口を開いた。


「なぁ、お前の目的は何だ?」

「面白いことを言うの。そりゃぁ、侵略行為だろうが」

「普通、もっと慎重に事を進める。個人の強い執念的なものを感じるけど」

「早く手柄を立てたいと思っているからね。私たちが先行して攻めているの。あの海辺の町を支配すれば、国も重たい腰を上げてくれると思っているし。拠点にして攻められるしね」

「へぇ、そうなんだ」

 

 そう言いつつも、カイトは一歩後退った。

 

 適当な話でその場をやり過ごし、隙を見つけて逃げよう。

 今、敵の大将とやり合う時間はない。そうこう話しているうちに、他のケモノたちが集まっているのだから。


 しかし銀髪の女性は、好戦的な眼を向けたまま、カイトを視線から外さなかった。


「私からも、一つ聞いていいか」

 

 そうして、ニヤリと笑う。


「蒼穹のイカロスを、知っているか?」

 

 ドクンと、カイトの心臓が胸打った。

 

 カイトは知っている。

 

 その名を――。


 だから、聞いた。


「どこで、兄さんを知った?」

 

 蒼穹のイカロス。

 それはミツルギ家当主であり、カイトの兄でもあった人物。いつからかそう呼ばれるようになり、カイトは兄をよく知っていた。

 

(一度も勝てなかったな)

 

 何度挑もうが、返り討ちにされた。

 それくらいに強く、ミツルギ家一番の実力者。そんな兄の二つ名を聞いて、カイトの全身が粟立った。


「ふっ、我らは力を授けれたの」

「……」

「この光をなっ!」

 

 そうして、銀髪の女性は前に手をかざした。


 眩い光。太陽のような眩しさで、暗闇を切り裂くように輝いている。それは鋭利な牙が闇夜を切り裂いているようで、そこには獰猛さが見え隠れしているようだ。その威厳に、その恐怖に、圧倒的な力を示すのだろう。


 それは、カイトと同じ創造の魔法——。


「アインハルトっ!」

 

 そう叫んだ瞬間、カイトの死角からケモノが飛び込んできた。


 鋭く重い一撃。


 刀で受け止めた腕がみしりと軋しむ。


 しかし逆に勢いを殺してしまえば軽い。

 

 わずかに下がって勢いを殺し、向こうの勢いがなくなった所で力任せに切り返す。


 そうしてカイトは、ケモノは真っ二つに切り伏せた。


「もう奇襲は受けないよ……えっ⁉」

 

 一匹のケモノを切り伏せた、その刹那。


 気づけばすぐ真横に、ケモノが迫ってきた。


 それも通常のそれとは全く違う。


 通常の三倍のデカさっ! 

 ケモノ一体でも熊みたいな大きさなのに、それ以上の体格差があった。この銀髪の女性が生み出したものだろうか。それくらい規格外だった。


「くっ‼」


 無造作に振り下ろされたケモノの狼爪。

 

 鋭さはもちろんのこと、まるで巨大な柱がのしかかってくるような迫力があった。


「アインハルトっ‼」

 

 カイトは叫び、一本の刀が光から生まれる。


 そして慌てて刀の腹で受け止めるも、勢いは殺せず、五メートル後方までカイトの身体が突き飛ばされた。

 

 そのままカイトは踵を返して、大型のケモノに背を向けると――。


「逃げるか?」

「まぁね」

「セシルカット・ニムバス。私の名だ、覚えておけ」

「僕は、ミツルギ・カイト。ヴァリバルト傭兵団の隊長」

「この程度でやれてくれるなよ? お前の力はこんなもんじゃないだろ」

「……さぁ、どうだか」

 

 そうして言い残し、カイトは大型のケモノと共に、闇夜の森の中に消えていった。


面白いと思って頂けた方は、ブックマークと評価をして頂けると幸いです!

何卒よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ