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蒼穹のイカロス  作者: レイチェル
第三章 ケモノの軍団VSヴァリバルト傭兵団っ!
38/60

策とは意表を突くことなりっ!

 ――ひょう。

 

 と、空気を引き裂くような音がラムザの耳に届いた。


 それは後方から射られた矢で、暗闇のどこかに消えていった。


 だけど、その矢が放たれた意味は分かる。


(カイト殿がいる、それが分かっただけで十分っ!)


「総員反転っ! このままケモノの群れどもを一掃します!」

 

 その一声でラムザたち率いる五〇の軍勢は、クルッと馬を半回転させ、横一列に並んだ。

 

 挟撃っ! 


 ケモノの後方から、カイト率いる五〇の軍団が現れた。


 前方からはラムザも槍構えて突撃する。


「全て狩りつくせっ! 遠慮は無用ですっ!」

 

 虚を突かれたケモノは、振り返る暇もない。

 

 どんだけ肉体が鋼鉄できていようと、五〇対五〇の前後の槍撃には耐えられまい。


 弾かれても、弾かれても、絶え間なく槍が突撃してくる。


「グルッ!」

 

 唸り声は、それだけだった。


 五〇のケモノがいたのだ。


 それが、この一瞬で息絶えたのだ。


 あるのは、ケモノの返り血を浴びたカイトたちだけだった。


「全く、ラムザ。追いかけるのが、精一杯だ」

「……すみません、突っ走り過ぎました」

「まぁ、囮になってくれたからいい」

「囮?」

「ケモノの数がどんどん増えて言った。あちこちに潜伏していたんじゃないかな? ラムザたちが暴れてくれたおかげで、それが一か所に集まって叩きやすくなった……てか、よく僕たちがくるって分かったね」

「そりゃ、信じてましたし」

「……キモいよ」

「ド直球じゃないですかっ! 流石に傷つきますっ!」

 

 そんなやり取りをしているうちに、また地鳴りのような響きが大地を伝ってきた。

 

 ケモノの大群がまた迫ってきているのだろう。


「まだいるのか」

「流石の機動力です。ケモノの、後方部隊がもう追い付いてきました」

「カイトの兄貴っ! 俺たち、まだまだやれますっ!」


 赤髪の青年が槍を掲げる。

 そして次々と他のモノも、高々に槍を天に向かって掲げだした。総勢一〇〇名の隊員たちの闘志はまだ燃えている。むしろこの無数のケモノに対して、燃え盛っている。

 

 そんな部下に対して、カイトは小さく首を振った。


「ラムザたちには、まだやってほしいことがある。それに……」

「それに?」

「ここからは、僕たち魔法使いたちの戦いだ」

 

 カイトの後方から、ビュンと棺桶が飛び出した。

 まるで氷の上でも滑っている様。車輪もついていないのに、地面を蛇のように素早く滑走している。そのまま、ケモノが複数いるであろう林の中に飛び込んでいった。

 

 そんな生きた棺桶の後を追従するように駆けるカイト。

 

 それから思い出したように振り返った。


「ラムザ、後のことは任せたっ!」

「えぇっ! 全部私に丸投げですかっ!」


そうして森の奥へと、消えていった。

残されたのは、呆けた一〇〇の隊員だけ。


「……あやつ、清々しいほどの笑顔だったのぉ」

「五〇のケモノじゃ満足しねぇのか。やっぱイカレてやがるぜぇっ!」

「私たちができるのは、ここまでなのでしょう。後はカイト殿に任せて、私たちはは自分らのできることをしましょうか」


 そうして、ラムザたちは馬腹を蹴って、一気にシモーネへと走り出した。


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