さぁ、反撃開始だっ!——老兵とラムザ、他の隊員たち
ラムザを含めた三人編成で、素早い攻撃が、ケモノを追い詰める。
隊員の一人が、左へ回り込みながら斬りつけていく。
ケモノをそれを避けるようにしながら、反対方向へと退いていく。
また別の隊員が、ケモノの攻撃を受け止めると、それをはじき返す意おいでカウンターに転じる。
辛うじて防がれたものの、その凄まじい威力に、またケモノは大きく後退した。
そうして、二体のケモノが一か所に集まった。
「ラムザ、そこじゃっ!」
「はい、任せてくださいっ!」
老兵の一人の合図で、真っすぐにラムザが二体のケモノ目掛けて駆ける。
咄嗟に退いていた二体が、ラムザ目掛けて追撃の突進を食らわせたそのとき――。
「なんてね。フェイクですよ」
ラムザは、その二体の追撃をあっさりと避ける。脇をすり抜けるようにして、完全に二体のケモノを無視した。
それどころか、無防備にラムザに飛びついた二体のケモノ。
その隙を逃すわけもない。
左右から二人の隊員たちが、ケモノを側面から思いっきり薙ぎ払う。
「おっしゃっ! 一体やったっ!」
「ワシもじゃな」
無防備な側面からの攻撃に成すすべもなく、致命的な一撃を与えることに成功していた。
二人の隊員は、軽くグーで小突き合う。
息はぴったりだった。ラムザと他の隊員たちとの、連携はばっちりだ。
「頭は鉄みたく堅いけど、横っ腹はまだ斬れるな」
「しかし骨が折れるわい。若者に付いていくのが、精一杯じゃな」
「それでも、鋼鉄のケモノを斬れるんだから、凄いもんだよなぁ。全然老いぼれてない」
「……それでも老いたと言っておるのじゃがな」
「うわっ、ラムザの兄貴だけじゃないっ! 他の人たちも、倒せてらぁっ!」
赤髪の青年が喚いた。
一個人でも、倒せるだけの力はある。
例え変則的な攻撃だろうが、隊員たちはそれを捌いて返している。それもただやり返すだけじゃなくて、それを通せるように反撃している。それだけの力があるのだ。
そして立ち回りや連携も上手い。
自分や他の隊員までの、一歩すらも把握していた。その一歩がどこまで届くのか、距離と速度を全て分かっているからこそ、何も言わずとも連携の位置取りができる。
それもこれも、稽古の賜物。
それも血反吐を吐くほどに。それが染みついているせいか、頭で理解するよりも、先に身体が反応するようになっていた。
だからこんなに混戦状態になっても、見事に皆捌いて見せている。
それでも隊員たちの中から、ふと気になることがあった。
「……ちなみに、ラムザの兄貴は?」
「私は、もう五体ほど倒したましたよ」
「くそっ、一体じゃ足りないねぇっ!」
赤髪の青年は、自分の未熟さを思い知った。
さすが、その中でも別格だった。
その戦闘力は、規格外だ。もうラムザから積極的に攻撃を仕掛けていってる。やはり、副隊長をやっているだけのことはあった。
面白いと思って頂けた方は、ブックマークと評価をして頂けると幸いです!
何卒よろしくお願いします。




