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蒼穹のイカロス  作者: レイチェル
第三章 ケモノの軍団VSヴァリバルト傭兵団っ!
32/60

さぁ、反撃開始だっ!――ラムザ編

「えぇ、そうですね」


 カイトとの、鍛錬の日々がフラッシュバックしていた。


 厳しい日々だった。

 それも血反吐を吐くほどに。技術面や心構えなどを、鍛錬を通りして学んだ。地に伏しても、決して槍を離さなかった。そういう毎日だった。

 

 それでも、もっと強い奴がいる。


 このケモノもそうだ。力もスピードも、間合いの把握も、全てラムザよりも勝っている。あの鍛錬でも、敵わない敵もいる。


 既に、ケモノは攻撃に転じていた。

 

 もう様子見もない。

 攻撃を繰り出す、一定の間合いも読まれてしまっている。


 だかこそ躊躇なく、連続で、しかも恐ろしく早い猛攻を繰り出しているのだ。


 でも、この状況ですら――。

 

 ラムザは笑っていた。


 あの人は、いつも最後に一番重要なことを教えてくれる。

 

 だからこそ、血の滲むような鍛錬にも付いてきた。


「だからこそ、どんな敵でもっ! 最後まで、諦めずに立ち向かえられますっ!」

 

 そうしてラムザは、ケモノの目掛けて突きを繰り出した。


「ら、ラムザっ」

「まさか……副隊長から仕掛けた」

 

 咄嗟に周囲のモノが叫ぶも、もう後の祭りだった。

 

 これも読まれているのだろう。

 

 相手は間合いの達人だ。今までの攻撃で、身体を軸に動かす軌道は全て把握されている。


 だからこそ、その突きと同時に相手の懐に飛び込めば――。


 突き出した槍の穂先を横から叩かれ、ラムザの身体が僅かに傾いた。


 このままでは————。

 

 横から回り込まれ、鈍い音と共に、ラムザは吹っ飛ばされる。

 

 最初にケモノと対峙した時と、同じだ。

 誰もがそう予想した。突く瞬間を狙われて、体勢を崩したところから、攻められる。そんな同じ光景を、周りにいた誰もが想像してしまった。

 

 やられるっ!

 

 そう誰もが、思わず目を瞑ってしまいそうになった。

 

 しかし……。

 

 あのケモノが、真っ二つに叩き切られていた。

 

 これには、周囲にいたものもどよめいた。


「な、バカな……攻撃が防がれたのに、なんでケモノを叩き切れるんだ」

「生きるか、死ぬなんて……最後まで分からないものなんですよ」

 

 そうして、ラムザは槍でケモノの血を払いのける。


「最後まで、諦めずに立ち向かう。これは、カイト殿に教わったことです。どんな状況でも、勝敗なんて最後の最後で決まる。だからケモノとはいえ、あそこで勝利を確信してまった。それがあなたの敗因です」

 

 槍の穂先を叩かれた瞬間——。

 

 ぐるっと、槍が一回転した。


 まるで反動を利用するように。


 そのまま槍の切っ先がケモノの横腹に目掛けて叩き切ったのだ。

 

 それは、一瞬だった。

 あのケモノでさえも躱すことできないほどに。


 ケモノが槍を払った後では防御も間に合わず、その横腹に直撃していた。

 

 そうして、あのケモノは真っ二つに両断されていたのだ。

 

 それは、まさしく真剣勝負だった。

 

 お互いの命を賭けての、殺し合い。

 

 最後の最後まで、勝負の行方が分からないほどに。


「まずは、一歩ですね」


 まだ……遠い。

 少しはあの人に近づけただろうか。この緊迫とした一線を乗り越えたことで、また一歩と。それが千歩の中の一歩であったとして、だ。

 

 そう、まだまだ戦いは始まったばかり。

 

 だからこれは、ほんの一歩に過ぎない。だけどその一歩が時には力にもなる。


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