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蒼穹のイカロス  作者: レイチェル
第三章 ケモノの軍団VSヴァリバルト傭兵団っ!
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目深にフードを被った謎の二人

「ふぅん、お忍びで来ていたけど……面白いところに出くわしてしまったわね」

「面白い? ヤバいじゃなくてか?」


 広場の集会を、離れていた所から見ていた。


 そんな男女が二人。フードを目深に被って顔も分からないが、明らかに女性は楽しんでいて、隣にいる男性は呆れたようにため息をついた。


「だってそうよね? ヴァリバルト傭兵団の戦力が知りたくて、こんな南方の港まで足を運んできたのよ。こうじゃなくては、困るの」

「まっ、確かに。そうだけどさ」

 そうして、二人の男女は遠巻きに、中心になって指揮するユリアーネを見た。

「皆、だんだら模様の羽織を着てっ!」


 浅黄色にだんだら模様の羽織。それは戦闘衣装。ヴァリバルト傭兵団が決死の覚悟を示すときに着る羽織だった。


 それを見た住人は、途端に叫び合った。


「おい、あのヴァリバルト傭兵団がっ! あの死装束をっ!」

「あの死を恐れない奴らがっ! それほどヤバいってことかっ!」

「おい、逃げるぞっ! 他の奴らにも、言って回らないとっ!」

 

 たちまち周囲にいた住人は、蜘蛛の子散らすように散って、必死な表情で逃げる支度をした。


「死装束……⁉ なんか納得いかないですけどっ! まぁ、説明して回る手間が省けたからいいですけどっ!」

 

 ユリアーネは、肺に詰めた空気を全部ため息で出す。


 それから隊員たちに指示しながら駆けっていった。


「スゲェな。迫真だったぞ、周りにいた人たち」

「それくらいイカレっるってことよ。見ものじゃない、今後のことが」

「ほら、俺たちも避難するぞっ!」

「えぇ、そうね」

 

 そうして、目深にフードを被った二人は去っていった。


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