エピローグ/エピソード1「学校帰り」
私には見える。
家族や友達には見えない、私だけに見える存在――妖。
彼らはただそこにいるだけで、人間を困らせたり脅かしたりする。
正直、厄介だと思うこともあるけれど、妖そのものが嫌いなわけじゃない。
むしろ、陰湿さを感じることは少なくて、助け合う姿だって見たことがある。
それに比べて、人間はどうだろう。
身内同士で悪口を言ったり、陰口を叩いたり――そんな姿に、私は時々嫌悪感すら覚える。
もっと素敵な世界があればいいのに、なんて思うけれど、きっとそんなのは夢物語。
だけど、妖と人間の狭間で生きる私は、その夢を諦めるつもりはない。
この物語は、そんな私の小さな希望から始まる。
エピローグ
私には見える。
それは家族や、友達には見えず私にしか見えない。
そいつらはただそこに居て人間を脅かしたり、困らしたりしてくる。
正直うんざりしている
でも妖そのものが嫌いな訳じゃない。
妖から陰湿さを感じるものは少なく、陰湿な妖が時はおばらってくれる。
それよりも身内同士で悪口や陰口を言っている人間の方が嫌悪している。
もっと素敵な世界を私は望んでいるのに..
エピソード1
学校帰り
いつもの学校帰りの道。河川敷のベンチに座って、物思いにふけたり勉強したりするのが彼女の日課「今日は何の勉強しようかなー」
ベンチまで数十メートルのところで、急に足元から霧が立ち込めてきた。一瞬これは夢?と感じるほどの現実離れした感覚。
普段妖怪慣れしている私でもこれはまずいと無意識に感じるレベルだ。
「まずいかも…」陰湿な空気を肌で感じると同時に、妙に足取りが思くなる。ふと足元から目をあげると、そこは人がいない路地だった。彼女は妖怪の仕業であると確信した。
そしてはっきりと空気で感じる、人間を恨んでいる何かがこの路地にはいる。
逃げたくても足がすくんで動けない
絞り出した声で、「助けて…」と思わず口から溢れる
次の瞬間!「バコっ!」と叩かれた感触
地味に頭がかち割れそうだ…
ジンジンと痛むを後頭部を抑えていると、そっと私の頭に冷たいが手が触れた気がした。
そしてそのまま私は眠ってしまった。
ただそこには彼女を眠ったのを確認するやいなや、彼女を帰り道の河川敷のベンチにそっと座らす妖の姿があった
足先まですらっと長く、高身長の男の妖。
それは見るのもを魅了する高貴な見た目をしており、袴を姿をしている。
また足元が、足袋のままで歩くのが人間ではなく妖であることを強調している。
その妖怪はどうやら彼女を助けたらしい。
それに彼女を助けるのは1度だけでない。もう1年もほぼ毎日助けている。
桜が満開のあの日から、今日までずっと..ただ毎日同じくらしなら飽きたりうんざりするのもの、
彼の中では大切な日常となっていた。「お前がここにこない日は、休日だけだな」と彼は言い放ちそっと笑顔を歯に噛んで、元来た路地に戻っていった。その後その路地は、暗い霧と一緒に静かに消えた。