2019年12月2日
2019年12月2日
その男はさも当然の様にマクドナルドの俺の座っている対面に座った。手にはコーヒーを持っている。
高そうなスーツを着た40代くらいの男だ。
そして、無言で俺を観察するように見た。
「山本高志君だね」
男の声は自信に満ちていて、俺は萎縮せずにいられなかった。
自分が酷く惨めで仕方ない。
「ええ、そうですけど・・・なんで、僕を知っているんですか?」
「まぁ、そんな事は些末な事だ、君は金が欲しいかね?」
「ええ、そりゃ、欲しくない人間なんていないでしょう?」
男はフッっと失笑して馬鹿にしたような顔をして俺をみた。
「貴方は違うんですか?」
「いや、同じだよ、みんなお金が好きさ、当たり前だ」
「はい・・・・」
「で、今の生活から抜け出したくないかね?山本君」
「できれば・・・」
「金は保証するよ、月に何十万欲しい?」
男は馬鹿にしたように言った。
「20万くらい?」
「分かった、40万出そう」
「え、そんなに?」
「まぁ私というか、我々に従っている限りはね」
「危ない事なんですか?」
「いや、危なくないよ、簡単で楽な仕事だ」
「・・・・・是非、お願いします」
男はニヤっと笑い、携帯電話を取り出した。ボタンを軽やかに押す。
「山本君は同意してくれた、車を寄越してくれ」