表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/72

第23話 フラれた理由は・・・

 薬湯というのでてっきり苦いのかと思っていたが、ほんのり甘くて飲みやすいお茶だった。温かいそのお茶に、ようやくほっと息を吐ける。身体を起こすと、ごくごくと飲み干していた。

「鈴音様。お口に合いましたか?」

「うん、ありがとう」

 心配そうなユキに、鈴音は大丈夫と笑顔を向けた。するとユキはほっとした顔になる。どうやらもの凄く心配を掛けたらしい。それが解って、鈴音も申し訳ない気持ちになった。

「それで、ええっと」

 しかし、心配を掛けたことは解ったが、どうして自分は冥界に戻って来ているのだろう。しかも服も、あの健星に渡された巫女装束とは違って旅館で見るような浴衣になっている。

 困惑してユキを見ると、ユキは何故か顔を伏せてしまった。鈴音は困って横にいる紅葉を見る。

「ユキの変化を見て気絶したのよ、あなた。そして、自らの中に封じられていた力を解放してしまったの」

「気絶。封じられた力」

 どういうことと鈴音は首を傾げた。自分がユキと同じ顔になるらしいことは思い出したが、九尾狐に変化していた記憶はすっぽり抜けている鈴音だ。全く解らない。

「そうねえ。どこから話したものかしら。まず、お母さんがここ、冥界に戻って来た理由からかしら」

 鈴音の反応に、紅葉も先ほどの記憶がないことは理解出来た。となると、どう説明するのが適当なのか。悩んでしまう。

「それも気になるけど、お父さんとどこで出会ったの?」

 しかし、鈴音は説明してくれるんだったらその前から頼むと、そう口を挟んでいた。すると、紅葉はそれもそうねえと笑顔だ。

「あの人と出会ったのはたまたまよ。まさに一目惚れだったわ。ああ、泰章さんは今でも素敵なんでしょうね」

「す、素敵かどうかは解んないなあ。渋いおっさんだとは思うけど」

 娘に何を訊いてるのよと、鈴音は泰章の顔を思い出し、素敵かどうか解るわけないと呆れてしまった。

「あら、小さい頃はパパ大好きだったのに」

「いや、それは誰だってそうでしょうよ」

「そうねえ。もう十七才だものねえ。パパ以上に素敵な男性を見つけても当然の年頃かしら」

「ぐほっ」

 思わぬ形に話が変化し、鈴音は謎のダメージを食らってしまう。基準が泰章というのもツッコミを入れたいが、素敵な男性は見つかっていません。まだ誰とも付き合ったことさえありません。彼氏がいない事実がいつになく重い。

「す、鈴音様。まさか心に決めた方がおられるのですか?」

 しかもダメージを受ける鈴音を勘違いしたユキの発言に、余計に頭痛がしてきた。なぜいる方向で話を進めるんだ。

「い、いないわよ。恥ずかしながら付き合った男子もなし。去年のバレンタインに・・・・・・フラれたし」

「あらあ」

「鈴音様を振るなんて、なんと罰当たりな」

 すっと目を逸らす鈴音に、紅葉は女子のような声を出し、ユキはよく解らない怒りを発露する。だ、誰か助けて。しかし、この二人に意見を求めたいことがあった。

「そういえば、告白した男子が、お前って可愛いんだけど、なんか怖いんだよって言ってたのよね。あれって半妖だからかしら」

 鈴音がどう思うと訊くと、そうねと二人揃って頷いてくれた。

「その子、霊感があったんでしょうねえ」

「やっぱ、そうなんだ」

 半分狐が混ざった顔を思い出し、ひょっとしてあいつにはその顔が見えていたとかと青ざめる。

「大丈夫よ。直感的な、人間の危機回避能力みたいなもので、あなたの変化を見たわけじゃないわ」

「そ、そうなんだ」

 でもそれって、あの顔になるって肯定されたも同じよね。鈴音は紅葉とユキの顔を見比べ、はあっと大きな溜め息を吐いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ