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世も末子さんの観察  作者: めいめい
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孤独と言う名の楽しみ

 人生なんてつまらなくて残酷だ。夢もなければ輝く光の様に照らしてくれる希望なんてありはしない。そんなものに元から期待なんてしてないけれど。



 時が経つのは本当に早い。気がつけば高校生になって2ヶ月程経っていた。ここはエリート高でも無ければ誰でも入れる偏差値が低い馬鹿高でもない。普通の高校とでも言えばいいのだろうか。



 普通って何?と聞かれてもちゃんと説明できる自信はないし困った時とか適当でいいやって投げやりになった時に私は良くこの言葉を使う。



 とりあえず普通と言っておけば大抵は良くも悪くも捉えられず自然に流されて行くだろうし結構便利。



「おはよ〜」


「おは〜学校だりぃ」


 無論私が会話している訳ではなく校門の前でたまたま会ったのか、友達同士で高校生あるあるにありそうな定番の会話を後ろで繰り広げている。


 友達同士と勝手に決めつけたけど多分そうだよね。知らないけど。



 私は友達何てもの中学1年生の時には既に捨ててきた。何かカッコつけて言ってるように聞こえるかも知れないけど心の底からいらないと思ったんだ。



 みんな孤独というモノを恐れているけど私は結構いいものだと思う。ストレスがほとんど溜まることはない。

 だってストレスがたまる原因、その根っこのような部分は全て人間だ。人と人が関わることによってストレスは発生する。なら関わらなきゃいいだけの話じゃないか。



 除け者にされ孤独で悲しんでいる人達みんなに拡声器でも使って言ってやりたい。



「孤独は自由だ!」と



 拡声器使ってまで言う事じゃないか。何か厨二病臭い気もするけどまぁ…それはいいとして。



 人間なんて自分が1番可愛くて大事に決まってる。いざとなれば平気で相手を裏切る事ができる恐ろしい生き物だ。


 別にこの事に関してはまぁそりゃそうだよね。って感じだし反論する理由も特にない。何年か前からこの世は腐って濁って穢れていると思っていた。こんなに若い女の子がそんな事を思っていたらやっぱりおかしいのかな。どーなんだろ。



 とは言え1人でずっと居るとさすがに暇な時間がかなり多い。長時間寝れば起きた時頭がガンガン痛くなるし両親とどこかへ出かけるなんて事も年に1回くらいしかない。




 何か面白い暇つぶし…趣味に出来そうな事はないかと部屋のベットで仰向けになり天井の照明をぼーっと見ながら考えた。


 読書は悪くないが漫画はあっという間に読み終わり喪失感に襲われるし小説は読んでいるとたまに頭が痛くなったり同じ所を2度読んでしまい自分にイラついた時もあった。そしてあまりに普通すぎるから却下。



 料理はめんどくさいしこれも趣味あるあるにありそうだから駄目。却下。



 なんて言うんだろ。こー私だけの趣味と言うか新しい刺激を貰えるものと言うのか…説明が難しい。



 照明に答えを聞いても教えてくれないしなぁ〜と思いつつゴロンっと横向きになった時、たまたま本棚にあったある物に目がいく。


「ん?あれって…」


 見つめる先にあったのは植物観察日記とカラフルな色で書いてあった本だった。



 これは小学生の時自由研究で私が作った物だ。確か観察したのは向日葵やチューリップなど。


 今では考えられない可愛げのある事をやっていた。


 まだこんなの残ってたんだーと思っていた時、ふと閃いてしまう。


「人間観察…」



 ぶっ飛んだ発案すぎたか。

 趣味は何ですか?と聞かれた時人間観察です!何て答えたら頭が少しおかしな子と確実に思われるな。いや少しじゃなくかなりか。


 というかこれを趣味と言ってもいいものなのか?まぁ趣味って言葉に囚われすぎても意味が無い気もするし…いいか別に。




 面白そうだと思ったのは事実で今の時代の世の中の人間はどれほどの腐り具合を見せてくれるのか。人間関係はどれくらいドロドロしているのかとか、その他もろもろ間接的に人というものを見てみたいと思った。


 植物観察日記を見てからこの流れに何故なったのか自分でもイマイチ分からないがそれはまぁいい。


 けどこれは変態になっちゃうのかな?それならそれでいいのだけれど。



 私は相手にどう思われていても何を言われてもまったく気にしない。鋼のメンタルとはまた違う何か強固なモノ。自分の事はほんとうにどうでも良くて…興味がないのだ。



 人間観察は勉強になるとも言える。私みたいに感情がほとんど無い壊れかけのロボットのような人間には特に。観察するだけだし直接関わることはできるだけ避けたい。だって糞めんどくさいし。



 例えば普段すごく優しい人が裏では超が付くほどの毒舌野郎で喧嘩上等タイプとか?うん、すごく面白い。



 ただいい人だなーって観察しても息が詰まるほどつまらないだろう。中途半端にいい人ぶってる奴も絶対つまらない。



 人間観察をしようとしょうもない事を決めた私はそれからの高校生で色々な刺激を受けることになる。

 いや、ホントくだらない。

 でも人生自体くだらないと思ってたし結局くだらない事に変わりはない。



「キンコンカンコーン」


 チャイムがなり4時間目の授業が終わり昼ご飯の時間になった。食べる時も当然私は1人。そもそも食べる時にわざわざ他の人と食べる必要があるのか?



 みんな食べながら高校生あるあるの会話をしている。話して笑って食べてスマホいじってって随分忙しそう。笑った時とかに食べてるものが飛び散ってそれがスマホの画面について知らずに指でなぞってる。とても下品。



 ここまで繊細に目で追えるこの視力は中々凄い。さすが視力検査でずっとA判定だけはある。もしかして人間観察するために産まれてきたのかな?なんてお気楽茶番は置いておくとして。



「え、てかさ、彼氏とどこまで言ったの?」


「どこまでってそんなの教室の中で聞かないでよ〜」


「いいじゃん!誰も聞いてないし?多分」


「んー。どこまでって言うか昨日初めて泊まりいったよ。彼氏の親にも遭遇しちゃった」



 はぁ。これは高校生あるあるなのか知らないけどあんまり面白くない会話だ。点数を付けるなら23点ぐらい。はい赤点補習確定〜何てね。


 どこまで言ったのかって聞き方がイマイチよく分からない。何故どこかへ行かなきゃ行けないのか…ってそういう話じゃないか。相手が教室の中では言いずらそうにしている事を考えると。



「あぁ…下ネタ系ね、昼間から随分と元気なことで」


 つい独り言をボソッっと言ってしまった。

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