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異世界転生が闇すぎたんですが ?(キレ気味)  作者: 鹿里マリョウ
プロローグ 強制転生 TO THE FIRST DAY
2/23

002 白髪無表情少女?完全に作者の趣味じゃねえか

なんでこんなに遅くなったか?ふふ、言わせんなよ恥ずかしい。



書くのが遅いからです。(ごめんなさい)











「おはようございますっ!!・・・・・・どこだここは」


 カッと目を見開き飛び起きる。そこはまさかの天蓋付きキングサイズベッドの上だった。天蓋は閉められていて薄い光のみ入ってくる。

 汚れどころかシワの一つもない真っ白なシーツと青い毛布。

 ・・・・・・シワつけてやろ。

 渾身の力でシーツを握りしめる。しばらくして手を離すと、美しい白い平地に谷の多い山脈が作られていた。


「クックック」


 自分でも身震いするような悪行に酔いしれる。

 これをもってあの忌々しいクソ女神へのささやかな反撃としよう。


 ・・・・・・さて、俺は本当に転生してしまったのだろうか。

 俺としては全部夢でしたーwwwプギャーwwwなんてオチを期待したいのだが。

 しかし悲しきかな。未だウルカヌスと出会う以前の記憶が無い。


 いや、少しは思い出せるのだ。記憶にかかったモヤにも濃さがあるようで、どうでもいい記憶は比較的簡単にモヤを払える。

 対して重要な記憶、例えば親とか友人とか・・・・・・あと死因も、そういう類のものはより深層に眠っているようで、全くと言っていいほど思い出せない。


「oh, I am 記憶喪失」


 まあ何が言いたいかと言うと、俺は本当に異世界転生した可能性が高いということだ。


 ベッドに座って意気消沈していると、強い光が瞳を刺す。


「──起きた?」


 天蓋が捲られ現れたのは、椅子に座った純白の女だった。


 淀みひとつない神秘の白髪、まつ毛までも白い。

 白磁の肌は触れれば砕けてしまいそう。

 華奢な体躯は、何故だろう、見た目に相反する強者のオーラを纏っていた。


 そしてもう一つ目を引くのが、彼女の表情だ。

 無表情。

 興味がないと言うよりも、まるでその顔で固定しているかのようだ。

 

「あなた・・・・・・清水、蒼流?」


 ぽつりぽつりと紡がれる言葉は、静かな鈴のように透き通っていて。

 呼び掛けに我に返り咄嗟に頷く。


「──やっぱり・・・・・・あなたが、世界を救う、勇者様」

「・・・・・・勇者?」

「うん、勇者」


 勇者、数多くの童話で主人公として魔王含む悪鬼と死闘を繰り広げる存在。



 ムリムリムリムリ!!死ぬじゃーん!死んじゃうじゃーん!


「俺、実は清水じゃなくて田中っていうんだ」


 逃げの一手ぇ!!どうだ白髪美少女たん!この嘘、君に見抜けるかな!?


「──ううん・・・・・・あなた、清水蒼流」


 見抜けちゃった!


 少女は、眉一つ動かさぬ無表情のまま、ゆっくりと告げる。


「私、神託者。・・・・・・夢で、赤髪の、神様・・・・・・教えてくれた。・・・・・・特徴、同じ」


 ブチりと、俺の頭の奥で何かがちぎれる音がした。


「ウゥルカヌスゥウウウウウウウウウウウウウ!!!!」


 天に吠える。

 憤怒と悲痛を孕んだ叫びは、きっと天蓋も天井も空すら突き抜け、あの女の元へ届いたことだろう。


 ──ちなみに、脈絡のない叫びに白髪美少女たんは身体をビクリと跳ねさせ、反動でそのまま椅子ごとひっくり返った。

 あぅ、という悲痛な声が可愛かったです。






 ■■■






「失礼、少し取り乱した」


 一度叫んだことによりかえって冷静になった。雨降って地固まるというやつだ。


「・・・・・・少し・・・・・・?」


 何故か後ろに倒れた状態から一向に起き上がる気配のない白髪ryが、無表情を保ったまま不服の視線を向けてくる。

 器用だね。

しかし少女の警戒心が高まってしまった。雨降って地ネッチョネチョだ。


「──それで、ここ何処ですか?」


 丁寧な物腰を忘れない紳士なのだ俺は。


「キャメロット、王城・・・・・・あなたの部屋」


 既に用意されている恐怖。

 それにしても王城。確かに下に感じるベッドは身体を優しくつ受け止めてくる。それでいて天蓋付きなのだから余程高級品なのだろう。


 ベッドの感触を掌で楽しんでいると、ふと服の袖に目が止まる。

 確かあの異空間では見るも無残なボロきれだったはず。しかし今はどうだ。

 白を基調としたシンプルな、それでいて品があり高級さも携えている。


 ・・・・・・ちょっと待って誰が着替えさせたの?


「──だい、じょーぶ?」


 桃色の妄想を膨らませていると、椅子を戻した少女が話しかけてくる。

 まさかこの娘が!?


「お嬢さん、あなたは?」


 そっと彼女の手を取ってお名前を伺う。そしてありがとう。


「──?私、は・・・・・・神託者・・・・・・」


 彼女は微かに目を見開きながら、静かに答えた。


「違う違う。名前だよ、君のね」


 そしてありがとう。


「────シルヴィア。・・・・・・シルヴィア・アン・ローズリー」


 こてん、と首を傾げさせ、不思議そうに名前を紡ぐ、彼女改めシルヴィア・アン・ローズリー。


 なんだそれ超可愛いじゃねえかお金払っちゃうぞ。そしてやっぱりありがとう。


「ところで、俺の服が変わっているんですけど」


 いやまあ、答えは分かってるけどね?口から聞きたい時ってあるじゃん?ポッ///


「──ソウレスさん、着替えさせてた」

「誰やねん」


 全然違った。感謝を返せ。


「長年・・・・・・王族の、専属執事、やってる」


 ハッハッハ、おじいちゃんですねそれは。


 シルヴィアが自分の服を脱がせている妄想が、全てしわくちゃの老人に差し変わる。うーん、吐き気☆


「・・・・・・じゃあ、着いて、来て」


 立ち上がるシルヴィア。

 追従すべく天蓋をめくった。

 広い部屋だ。普通に前世の教室くらいはある。

 壁に沿って配置されている家具も見事なもので、至る所が黄金の光を帯びている。

 しかしまだ家具がそこまで置かれていないのが救いか。ギリギリくつろげるくらいの質素感。


 開いた窓に爽やかな風が入る。

 揺れたカーテンから現れたのは、おとぎ話のような風景だ。

 中世の西洋を彷彿とさせる、朱色の三角屋根が街を彩り、屋台に活気づかれた通りを人々が笑顔で行き来する。


「──ぉぉ、ぉおおおおおおおお!!」


 思わず身を乗り出して眼下の街並みを眺めてしまう。

 胸の奥が高鳴る。

 こんな状況でも、どうしようもなくワクワクしてしまう自分がいた。男の子って単純ね。

 沸々と湧き上がってきた期待感をそのままに、


「異世界、スッゲェエエエエエエエエエエエエ!!」


 未だ不安は拭えないが、清水蒼流の異世界転生の景気づけに、一発全力で叫んでやった。

















ヤンデレまではちょっと待ってくだせえ。4、5話目くらいになると思います。

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