解剖:僕の未来は最悪かもしれない!
占いの館へようこそ。私が未来を占ってあげる。
どこか薄気味悪いテントの中で水晶に手を当てながらそう言うババアがいた。
信じられない。が、しかし余命宣告をされた僕はどうしたら死を避けられるのか、藁にでも縋る思いなのだ。
「おいババア。俺が死なない未来はあるのかい?」
「ババアって……まだ八十だよ!」
「くそババアじゃん」
「口の悪いガキだねっ。まあ、良い。信じていないのだろう?では教えてやろう?」
ババアは水晶に当てていた手を離してから今一度水晶を隅々まで撫で回した。
水晶が可哀想。
「ほうら、見えてきた」
水晶をのぞき込むババアに習って水晶を覗いてみるが、なんも見えん。
「む、お前は死を避けることが出来ない」
「おいおい、じゃあそのまま死ねってか」
「だかしかし、安心しろ。お前の行く未来は天国だ」
「なにを根拠に……」
「根拠?そんなものは無い。信じられないと言うなら信じなくてもいいだろう」
「……」
「ただの未来予測だ。これからどうなるのか、これからどうしていくのか。お前がこの先死ぬ運命は変わらんだろう」
「死にたくないって言っても俺は死ぬのか」
「そうだ」
「じゃあどうすればいいんだよ……」
「知らないよ」
「僕が死なないためにはどうれば良かったんだよ」
「自分で考えてみな?思い当たる節があるだろう?何故お前は死ぬ運命になったのか。何が原因か。予測して生きれなかったお前が悪い」
どうしてこうなったのか……?
なんでだ?何をした?俺が……。
「あれ?それ占いで分からないの?」
「あ、はい!占い終了!お代、十万な」
普通に詐欺かよ。
その後ベッドで考えた。
人はどうして病気になって死に行くのだろう。
人はどうして人を殺して行くのだろう。
人はどうして事故をして死ぬのだろう。
いや、今更考えたって仕様がないんだろう。
本当にでも、病気になったのは自分のせいなんだろうな。
コンビニで弁当ばっか食べて、夜更かしして…。多分それのせい、かな?
違ったら疑問すぎて死ねないんだけど。
ほんの些細な事だったかもしれない。けれどもそれが招いた結果。
数万人に一人出るか出ないかの病気。
それも僕が体を大切に出来なかった故の結果。
後悔は先には立たない。
あの詐欺ババアの話じゃないけど、予測して生きるべきだったかなあ。
何でも小さいことが後で後悔を招くかもしれない。
今更だけど予測って何だ?
未来予測?
一瞬イラッとしたからって感情任せに接客したらあとからクレームが来て怒られるかもしれない。
自分のスピード違反のせいで誰かが事故を起こすかもしれない。
自分が健康で笑っていられれば……、死なずに、済んだのかもしれない。
そういうことか?
まあ、今更か。
本当に悔やまれる。もっと考えて、生きていればよかった。
誰かを幸せにするならその人のことを考えて生きればよかった。
当たり前に生きていることは本当に当たり前なんだろうか。
何か、恐怖が潜んでる。
短編として毎週水曜日に出そうかな、と考えております。
私の脳内の思考を物語にと考えたものです。
人それぞれ捉え方があると思います。
賛否両論あるのが世の中でしょう。ぶつかり合ったって解決はしないでしょう。
みんなでいい所を持ちあって幸せに行こうや。