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大隅諸島

作者: 時田柚樹

種「はい、どーも。種子(たねが)でーす」


屋「屋久(やく)です」


二人「大隅諸島(おおすみしょとう)です」


屋「口永良部(くちのえらぶ)君と馬毛(まげ)君がおらんがな」


種「あー彼らは今日、結婚式に行ってるらしいで」


屋「じゃあ、今日は僕らの名前だけでも帰ってもらいましょ」


種「細長く平たい僕が種子です」


屋「丸くて高いのが僕、屋久です」


種「丸くて高いって怖ないか?」


屋「本当のことやん。ペラッペラのお前とは違って、九州最高峰1936メートルに1000メートル級が連座。洋上アルプスって俺のことやぞ!」


種「二つ名がデカイ! 僕より半分の人口のくせに」


屋「僕には世界中からお客さんが来はるんや。世界遺産やで。樹齢7000年の縄文杉やで。あの『もののけ姫』の舞台っていわれてんぞ、どや」


種「どやって、そこ行くまでに10時間以上歩かなあかんねんやろ? キッツイわぁ。それよか僕の方は、歴史に名が残ってんで。教科書にババーン「火縄銃伝来」ってな。それに、あの『宇宙兄弟』や『秒速5センチメートル』に『ライフ・オン・ザ・ロングボード』とかの舞台になってるし」


屋「最後のなんやねん」


種「なんやねんって、失礼やぞ」


屋「すんません。勉強しときます」


種「他にもな、有名な岩があんねん。えらい仲ええ夫婦がおってな、ある日波にさらわれてお亡くなりになってもうてん。その2人がずっと仲ようおれるように、雄龍と雌龍って岩が2つ並んでんねん。ええ話やんか」


屋「そんなん僕にもあるし。仲ええ夫婦が手を繋いでるように枝を伸ばして並んだ夫婦杉ってやつがあるもん」


種「どうせそれも何時間もかかって、やっと見れるんやろ? 国道もないし、ひと月に35日は雨が降るし。最悪やんけ」


屋「それな。ひと月って絶対35日ないやんか。例えってわかってても、おかしいやんな」


種「そんだけ降るから、キミの森が保ててるんやろ。って、なんで僕がフォローしてんねん」


屋「温泉もあるし、食べ物も空気もうまいし。僕のとこはサイコーーでっせ!」


種「うちも綺麗な砂浜に全景を見渡せる高台あるし。結構ええで!」


屋「高さ282メートルな」


種「うっさいわ」


屋「で?」


種「で? ってなんやねん」


屋「オチないやんけ」


種「おちたら困るやんか。これからロケットの打ち上げがあんねんから」


屋「ほんま、それ先言えや。お前んとこのメインやないかい。みなさんすんまへん。急いでフェリー乗ってきますわ」


種「ほな、お先ぃ。時間あったらみんな来てや。僕んとこは雨少ないんで」


屋「もう、ええわ」


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