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次生  作者: るゐ
1/1

生まれ変われなくたって人生は楽しい

変なところで終わります

「受付番号45番でお待ちの方、窓口まで」


どうやら寝てたらしい。

ここは、、、?

ビニール張りの長椅子が

まるで病院の待合室とか市役所みたいに

ズラリと並べられとる。

んで、僕はその一番右奥の端っこに座り込んで寝てたらしい。

「お!起きた起きた~!君、死因なに~?ずいぶん若いから、事故?あ、自殺とか?」

隣の爺さんがめっちゃフランクに話かけてきた。


あ、僕、死んだんやった。


話は生前に遡る。

僕ん家は俗に言う「エリート一家」だった。

なんで、僕に与えられた使命はとりあえず名門大学に入学すること。それ以外は、どうだっていいらしい。

僕は与えられた使命をこなすべく、寝る間を惜しんで勉強しまくった。その結果、惜しみ過ぎて突然死とゆー、なんとも残念な死因である。


隣の爺さんが笑った。僕の死因がかなりツボだったらしい。

「マジかよ~兄ちゃん~死因が勉強て!

勉強に殺された人初めてみた~笑」


(、、、いや、笑じゃねぇし)


その後、爺さんがガトリング砲のごとく喋り倒した。

「いや、君見かけたときさぁ、君、死んだの気づいてない感じの顔してぼーっとしてたんだよね~。んで、不安になってさ!役所までの道分かる~?ってきいてもこたえないし~。だから、役所までつれてきてあげたんだよ?感謝してよね~。」

「はあ。すんません。」


しばらくして、僕の番号が呼ばれた。(整理券?みたいなのを無意識にずっと握りしめてたらしい。)

ベテランオーラのあるおばちゃんが「ここに名前と簡単な死因、お願いします~。」と言った。

記入して用紙とボールペンを渡すと、おばちゃんがなにやらパソコンに打ち込んで、

「はい!手続き完了でーす。ではよき次生を~。」と言った。


(、、、次生ってなんだ?)




市役所を出ると、爺さんが待ってた。

「よ!お疲れさん!」

「、、、待ってて下さったので?」

「いや~、人に死因訊いといて自分の答えるの忘れとったなと思ってね~。」

「はぁ、そうでしたか~」

「そうそう、名前言っとらんかった。わし、高野っつーんだけども、死因は至って平凡な老衰~。だから、ま、語るほどのことはないんだけどね~」

「今のご時世で老衰は逆に珍しいんじゃないですか~?だって、癌とか病気で死ぬ人のが断然多いと思うんですがね~~!」


歩きながら話してたら、さっきのとこから随分ときたみたいだ。元いたところは、どうやら市役所の屋上らしい。

「市役所の屋上とか、僕、初めて行きました。」

「そら、そうやろ。だって、死者用の役所やからね~。生きてるうちは室内しか用ないし。」

「ってことは、事務処理してたおばちゃんも死んでる?」

「いや!神田さんは天国から出向して来てるエリートさんやから!」

「、、、つまり、天使?」

「そうとも言う」

「おばちゃんが?」「そう」

現実を突きつけられてガックリきた僕を尻目に高野さんはスタスタ歩いていく。そしてふと気づいたように立ち止まり僕が追い付くのを待って、また、歩き出した。

「、、、えっと、隣の区の受付さんに美人さんが来てるらしいから、今度いってみれば?」

「、、、ありがと」


歩いてくうちに葬儀場の近くにきた。

おじさんの遺影を抱えて号泣するおばさんがいる。んで、そのおばさんの真ん前に遺影のおじさんがかなり全力の変顔して立ってる。

、、、かなりシュールな絵面だ。

めっちゃ遺族の方、空の方見上げて感動的なこと言ってるのに、おじさん変顔のクオリティ下げる気ゼロっぽいし。



「高野さん、ちょっと聞いていい?」

「ん~?」

「さっき、手続きのときによい次生を!って言われたんだけど、次生って何するん?」

「んとね、まずさっき書いた書類が次生の君の戸籍ね!んで、僕らは生きてる人には通常見えない。たまに見える人いるけど。そして、三大欲求ってか、まあ、体がないからそういうのがない。そんな感じかな~?」

「なんの欲求もなしに、何するん?」

「何をするのも自分次第だよ~。なんかチートっぽいけど 小遣い稼ぎにテレビ局のエキストラ行く人もいるし。」

「そうなんや~。(あっさりと心霊番組のヤラセ発覚しとるし)でも、ちょっと意外なんだよね~。だって、死んだら天国とかにいって生まれかわるもんだとおもってたから。」

「あ~、あるある。死んですぐあるあるだよね、それ。天国は毎年、抽選当たった人しか行けないんだけど、その当たる確率って宝くじ一等を5連続当てるよりも難しいとか言われちゃってるから。毎年、天国行きの船でるんだけど、生物の種ごとに定員が決まってるもんだからね~。まあ、そうなっちゃうよね~この人口増加のご時世!」


ひとしきり喋って、僕はとりあえず自分の家に行くことにして、家の前の公園あたりで高野さんと別れた。

家につくと、(ドアはすり抜けられたが、結構へんな感じだ)母親が1人だけいた。どうやらもう葬式は済んでたらしい。リビングで母は、ぼーっと僕の小さいころの写真を眺めていた。泣き腫らしたのか、目が厚ぼったい。僕はそれ以上はここにいたらいけない気がして、僕の部屋に行った。物を触れないので、なんも出来ないが、特にこれといって後悔するような物もなく。無機質に並んだ参考書たちとにらめっこしながらぼーっとしていた。すると、父さんが帰って来たようだ。久々に父さんの顔も見ておこう、と思ってもう一度リビングへ。父さん、なんだかふけたなぁ、こんな感じの顔だったかな~?



続きは思いついたら書きます!

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