第6話 避けられない運命(入部) 水槽楽部へ
桜の花びらが舞う見慣れた通学風景を自転車で爽快に走っていた。
そして、見慣れた東中学校を通り過ぎ、東高校へ今日も通う……。というのも、中学と高校は同じ通りに面しているので、途中……ほぼ9割は中学と同じ通学路である。
昨日は特に気にしてはなかったけど、意外とバイク通学の学生が多かった。
学校に来る途中凄まじいスピードで追い抜いて行った。生徒会長と金髪美少女(アリスと命名)の二人が爽快に追い越していった。
あれはOKなのか?
JKが乗ってるバイクのイメージと異なる風景でもあったが。去年1年間、中学時代の登校中にも毎日見ていた気がした。通学路が一緒なんだから不思議でもない光景と感じた。
学校に到着した時には既に駐輪場にはアリス(妄想)ちゃんは既にいなかった。残念……。
そして、昨日と同じように駐輪場に自転車を置き教室へ向かう。
二葉が朝練中の体育館前を通り過ぎ、体育館隣の元吹奏楽部の「水槽楽部部室」を遠目で見てみると……早朝にもかかわらず、水槽楽部の部室前にネコの配送トラックが横付けされていた。
生徒会長が何やら大小の保冷に使う発泡スチロールを宅配業者に受け渡していた。
「……魚だけに……まさか市場に出荷!?」
そんなはずはないと自分で自分にツッコミをとりあえず入れておいた。あの水槽楽部との関わりも今日の放課後で終わるし、あまり気にも留めないでおいた。一応とはいえ、今日の放課後約束してしまったので放課後あの「綺麗なハサミとガラス細工」を見学させてもらって「す……っと帰る」こととした。
教室に到着したが、まだ8時回った位なので一番乗りである。主人公でよくある「遅刻魔」は嫌いな私は、中学時代より日直より早く登校していた。
暫くすると、クラスメイトも登校してくる時間帯に二葉も教室に入ってきた。
「はよーん!ナナ」
朝からさわやかである親友の笑顔が眩しい……。
「はよーん!二葉、元気だねぇ……」
「朝練で先輩と初対戦したからちょーー……とアドレナリンが出ちゃって///」
「先輩の半分以上、中学時代から練習してたし、春休みから来てるからねー」
二葉はインターハイどころか、五輪代表もあり得るかもしれない才能は多分ある……東京の全寮制学校などの多くのスポーツ推薦を断って、私と近所の学校に来た。二葉は「楽しみたい」だけなのだ。しかし、彼女の実力なら間違いなくインターハイでいい結果を収めるのは確実である。私と違い彼女の凄い所は「楽しむ」以上に「人の数倍の努力家」でもある。その点ではとても尊敬できるところである。時間的には実力校から比べてとても少ない普通の部活ではあるが、限られた時間目一杯「楽しむ(頑張る)」のである。
……インターハイ出場自体は、ライバルの北高にしかフェンシング部が無いのでこの学校でレギュラー取り、1勝で近畿大会出場できるけど。
何気ない会話を続け、1限目がスタート。学業自体は特に……平均値の学校なのでスムーズに……6限目まで終わった。授業自体まだ2日目なので先生の自己紹介と、さらっとした内容で終了。
……さて……水槽楽部の生徒会長との戦いが!……!……は置いておいて、あの職人魂を感じる「ハサミとガラス細工」の話を聞きに行くことにした。
水槽楽部部室前まで来たが……また猫の配送業者さんが止まっていた。今度は大きな段ボールを複数個荷下ろししていた。段ボールを部室2階に手際よく運搬する「日花梨」さんがいた。
私と入れ違いに猫の配送業者さんは帰っていった。
「こんにちは……朝も来てましたね。なんか商売みたい……」
「ハロハロ!ナナちゃん」
……昨日からちょっと引っかかってたけど、会長さんは時々、会話に2回リピートする単語がある……不思議ちゃん的口調する人だ。
「この段ボールの山は何なんですか?」
「今週のチャー○便だねぇ……毎週の恒例かな」
毎週この段ボールの山が届く部とか資金源がやはり怪しい……。
「会長さん、部長さんは来られてますか?」
……なんかサラリーマンの会話のようだ……!
「???なんかビジネスっぽい会話過ぎ!」
会長も思ったようだ……!
「私のこと、ヒカリでいいよ!」
「普通に神畑先輩とお呼びします……。」
「ええー!ヒカリでいいよ!もう深い中なんだし!」
……深くもないし、関わりたくないタイプでもある。
「部長さんは来られてますか?」
さらっと流すことにしたが……。
「花梨ちゃん???そんな人しらないなー、川崎後輩よ!(プンプン!)」
……うざ……!仕方がないので言い直した……。
「ヒカリさん……部長さんは来られてますか?」
「花梨ちゃんなら丁度、ナナちゃんの10メーター程後ろにいるよ!」
振り返るとそこには、
「え!」
「……。」
昨日駐輪場で会った金髪美少女が立っていた。
「昨日バイクに乗って帰ったアリスちゃん!」
思わずアリスと言ってしまった……!
「……。」
何も言わず部室棟へと入っていこうとして、スルーされた……!
「す、すみません!か、部長の……花梨さん?ですよね!」
「……。」
返事がない……以下略
「あ、あのう……。」
「……。」
……某ミナミの悪徳業者なみのグッドタイミングで、すっ……と横から日花梨さんが入部届が出てた!
そして花梨さんが一言
「……入るの?入らないの?」
「もちろん入ります!」
花梨さんに言われたら入るしかなかろう!選択項は一つしかなかった……!
「なーんか……ヘコヘコ(凹む)」
っと日花梨さんショボーンとしていた……!