第05話 水槽は何処へ行った!ごまさんツーリング!?
花梨のほぼワガママ……我が道を行く志により新潟『アクアリウムギャラリー』への合宿という建前の旅行することになった。
高野山で事前準備の為に、七海の取得後のツーリングも兼ねて来ていた。
いつもの日花梨お手製の美味しいお昼ご飯を食べた後……。
「……ふむ、お腹もイッパイになった事だし……コーヒーでも飲みに行くか……」
日花梨と愛芽の表情が硬くなった……。
そして……準備を始める……。
七海がジト目をキメて……。
「高野龍神スカイラインですか?」
「制限速度は50キロですよ?判ってますか?」
「……何を言っている!七海!!我々水槽楽部は法令遵守だ!」
「やだなーナナちゃん!法律を守らないのはダメダメだよん!」
「あ!もしもし……県警ですか?え?今から昼食?そうでしたか?」
「おやつのカステラ送りますよ!是非ごゆっくりしていて下さい」
「花梨さん、日花梨さん。ルートはグリーンですね」
「……ふむ!良かろう、ごまさんスカイタワーまでコーヒーを飲みに行くとする!」
3人はヘルメットとグローブ、そして皮つなぎに素早く着替えた!
「……野郎共!吹奏楽部、管楽器の演奏に行くぞ!」
「アイアイサー!」「イエッサー!」
七海は吹奏楽部の爆誕を高野山で観た!?
「いや……何ですかその本気装備……」
「何と戦っているのですか……」
「……勿論……龍神の主討伐だ!」
龍神の主を討伐するらしいので、七海は『龍神の主』への直通電話した。
「心桜ちゃん、今どこに居ます?」
「んん?七海ちゃん、今ね……奥の院の駐車場でオレンジジュース飲んでるよー」
――運の良いのか悪いのか……龍神の主はオレンジジュースをこの高野山で飲んでいた。
「心桜ちゃんはバイクで来てる?」
「うーんとね……禁則事項DEATH!」
――どうやら本気モードらしい?
花梨ちゃん先導でバイクに乗り探偵事務所を出発することになった。
食後の缶コーヒー1本飲むために、片道42kmのプチツーリングを開始した。
七海達は『奥の院駐車場』を曲がり高野龍神スカイラインへと向かった。
――スカイラインに入った瞬間……。
花梨、日花梨、愛芽の三人のバイクは一瞬で視界から消えた……!?
「……お巡りさんあの3人射殺するべきです!」
七海はジト目をキメていた!……一人トコトコ走行することにした。
しばらくワインディングを楽しんでいると……。
比較的心地よいサウンドを効かせて近づいてくるバイクをサイドミラーで確認した。
――ガシュィィィィン!
スーパーチャージャーの音だ!
七海の後ろに付いたと同時に。
――ピピ!
インカムがコネクトした!
「おーーー!七海ちゃん!カッコいいねー!私と違ってスラッと背が高いから似合うね!」
「心桜ちゃん……実際走っているところ見るの初めてだから……というかそのバイク何処に置いてるの?確か、家のガレージには私のバイクと車だけだったよね?」
「へへへ……禁則事項DEATH!」
七海は本日2回デスを食らった!
「でもでも、こうやって七海ちゃんと二人でツーリングできる日が来るとは思ってなかったよ!それもこれも、水槽楽部のみんなのおかげだね!」
確かに、七海がバイクに乗るきっかけになったのは水槽楽部……特に花梨の影響が大きかった。
水槽楽部員の行動力を支える重要な要素だ。
「七海ちゃんは花梨ちゃん達と一緒に走らないの?」
免許取り立てで……ベテランでも花梨たちのスピードは異常だ!
「だって、ぶっちゃけ時速3桁出てるでしょ……」
「うーん……どうだろ?カーブで80キロぐらいかな?七海ちゃんの乗ってるバイクなら余裕だとおもうけど」
「……あのう……私は安全協会の会員です!ちゃーんとゆっくり走りますよ」
「ええ!七海ちゃん免許取ったときに騙されたんだね!」
七海は安全協会の会員に言われるがままに入会していた。
免許取得したその足で神社にお参りに行き交通安全のお守りを購入してきた。
七海自身は、宗教とかには興味は無かったが……水槽楽部員に『死神様』が御在籍の関係で、やはりお参りは大事だなと思った。
――黒龍会的にはお礼参りか?
「それで、心桜ちゃんは今日は龍神攻めないのですか?」
「何のことを言っているかワカラナイナー」
――龍神の主は、お休みらしい。
朝から数本走り込んでいるのは確かだ!
七海が家を出発したときには既に心桜は外出していた。
「七海ちゃん、景色を楽しみながらゆっくり走るのはいいねー」
犯人は、高野龍神スカイラインを景色を楽しみながら走行していないようだ!
「でも、道が意外とボコボコですよね?よくこれで公道レースできるよね?」
「うんとね、最近のバイクはトラクションコントロールとABSとか付いているからねー」
犯人は最強の馬力に安全装備がてんこ盛り仕様のようだ!
「うーん、でも、何で水槽楽部なのにバイク?って思うんだよね……」
「奈良さんは、自然のことを考えたりしながら旅してる」
「ゆっくり景色を楽しむなら自転車とかの方が良いと思うんだけどね」
「価値観なんて人によって変わるって思った」
「実際、私だって色々趣味持ってるし、アクアリウムに熱心な水槽楽部だし」
七海は数ヶ月の間に全く興味を持っていなかったアクアリウムに魅了された。 彼女なりに面白さを見つけたのだった。
入部の動機はやや怪しいが……。
――「パァァァァアアアンン!」
治安の悪い音が鳴り響く。
だが、聞き覚えのあるサウンド?
「教習所サウンド!」
「スーフォアだね!でもVTEC入ってるねぇ」
……七海はサイドミラーを覗き込むと……!
スーフォアとは違うように見えた……一瞬で!?
――ズキューーーン!!
「は、は、は早い!ホントにアレ!教習車!?」
七海には信じられないくらい早かった!
「って!早い!スーパーボルドール」
心桜が驚いている!
「あれ……相当早いよ……うーん、私でも多分無理かな……?」
何が無理だ!?
しかし、七海は先ほどのライダーを知っている気がした……。
そんなはずは無いが……?
「七海ちゃん、もしかして知り合い?」
「……違うとは思うんだけど……あのパーカーが、シズクちゃんのパーカー……に見えた」
シズクとは、柊シズク。
七海のクラスメイトで図書委員兼文芸部員≪在籍1名≫のシズクのことだ。
珍しい本を教えてくれる『絵に描いたような女子高生』だ。
彼女は、留年して1年生ではあるが、1つ年上だ。
留年した理由だが、生死を彷徨うほどの大病を煩った。
だが、奇跡的に助かったらしい……。
――らしい……。
そして、彼女の書いた『ファンタジー本』が有名文学賞を去年取った。
七海は覚えていた。
TVやネットで大賞を取ったことが報じられたからだ。
その時の報じられ方が――。
病院のICUでアラートが鳴り響く状態の彼女を放送されたからだった。
一見繋がりが無いように思えるが……最近、図書室へ『アクアリウムの本』を借りに行くようになった。
その際色々と参考になる本を的確に見つけてくれる。
彼女とは『本』繋がりでクラスメイトとして付き合いがあった。
双葉以外での『友達』と呼べる相手だ。
そして、1学期の期末試験で彼女が二位、七海が学年TOPを取った。
アクアリウムに関しても色々と相談をした間柄だった。
今年の秋の文化祭で『水槽楽部の展示』に関しての相談もしている。
……だから……バイクで暴走は考えられなかった。
しらばらく走っていると……大体3分くらいだろうか?
インカムの電話の着信音がなる。
――ピッ!
インカムの着信ボタンを押すと――!
「なななななちゃん!龍神の悪魔がでた!かなかな!」
七海は超遠距離のジト目を日花梨にキメた……!
……いや、貴方も同族みたいな存在だと。
「……いまのボルドール?ですか」
相当飛ばしているであろう『東高校吹奏楽部のお三方も驚いたようだ!
「……うむ……あれは龍神の主……いや!高野山の亡霊と名付けよう!」
花梨が亡霊を目撃した!
「……むむ!亡霊が『ごまさんスカイタワー』に停車したぞ!」
「……我々も休憩する!」
……そこが、目的地です。
七海はツッコミすら入れる事も無かった。
水槽楽部改め、ローリング族に鞍替えした方がいいようだ!
10分遅れ位で七海は『ごまさんスカイタワー』に到着した。
日花梨、愛芽と花梨と一緒に立っている『絵に描いたような女子高生』と一緒に立っていた。
クラスメイトで友達の『柊 シズク』だった!
彼女はお手製のパーカーを身に纏い可憐な姿で立っていた。




