第04話 新潟弾丸ツアーのお宿を決めよう?決まっていた?
毎度お馴染みになりつつある高野山に水槽楽部のメンバーは向かっていた。
「な、ナナちゃん!免許昨日発効されたばかりだったよねよね!」
日花梨は七海のライディングテクに驚いていた。
「私のバイク……教習車より断然乗りやすいですから……」
「……ふむ……、だが、高野山の峠はそう簡単には……おっと!」
花梨も七海のライディングに置いて行かれそうになっていた!
「花梨ちゃん!ぜっーーたい!バイクの性能差だよねだよね!」
付け加えるが、この物語は『アクアリウムを愛する者たちの冒険活劇』である!
「公道デビューしていきなり1時間半程……走るとか無茶苦茶……かと思いましたけど、よく考えたら、教習所でも2時間以上乗っていましたからね。以外と余裕です」
七海は、爽快に風を切って走っていた!
「あ!大門見えてきましたね!花梨ちゃんの後ろに乗っていたときより近く感じますね」
「……うむ!自分で運転していると、高野山は近いのだ!」
「でも、これ毎日通っているんですよね?さすがに毎日往復は辛くないですか?」
「ああ!私と花梨ちゃんは、『ドコデモ○○』があるからね!20分程で学校行けるよん!ワープできるのだ!」
――ワープできるらしい!……が、七海がいるとワープできないらしい!
名水探偵事務所に到着する頃には、『高野山の夏』を感じ取れた。
7月に入り、熱中症になるほど暑い日々が続いているが、高野山は十分に行動できる程よい温度だった。
「花梨ちゃん、探偵事務所涼しいですね!」
「……うむ!水槽のために、24時間エアコン稼働中だ!」
……高野山だからでは無かったようだ……!
しかし、高野山は涼しかった。花梨邸の車庫にバイクを入れているときも、少し汗ばむ程度だった。朝晩はとても涼しそうだ。
「探偵事務所の水槽、いつも安定してますね。花梨ちゃん何かコツみたいなのってあるのです?」
「……愛だよ!」
会話が成り立たなかった!
「ナナちゃん、花梨ちゃんの水槽は濾過がオーバースペックなのと、頻繁に水替えしてるからね!あと、餌の量もきっちりと管理してるし。……まさに……愛だよ!」
「そして……」
「リヴァァァァァス!」
「……リヴァァァァァス!」
「だねだね!」
「でも、和歌山でリヴァース売ってないですよね?」
「アクアテ○ラーズにあるから問題ない!」
リバース一つ買うために、わざわざ東大阪まで行くメンバーである!
愛芽と日花梨の二人は、昼食の準備を開始した。
七海も昼食の準備を担当するつもりだったが、『新潟聖地巡礼の旅』のしおりの制作を担当することになった。
旅のしおりを作成することには不満はなかった。しかし、一番大きな不満があった。
「あの……どうして新潟なのですか?」
花梨が夏休みの合宿として『……今年は新潟聖地巡礼の旅とする!』と言い出したからだ。去年も行く予定にしていたが、愛芽と奈良の姉である明日香に反対されたため中止となった。理由は単純で、愛芽は年齢制限でバイクに乗れなかった為、明日香は金魚大会出場のため行けなかったらしい。
……そもそも、飛行機か電車で行くべき遠き地である。関空に近い和歌山市民なら、普通に『沖縄美ら海水族館』か『北海道』の方が近いくらいだった。
わざわざ新潟まで行く程の水族館などがあるのだろうか?
「……うむ!新潟にはアクアリウムギャラリーがあるのだ!」
「……そして、ギャラリーを訪問した者には記念バッジを授与されるのであーる!」
花梨は拳をグッと握りしめ、最高のドヤ顔である!
今回の新潟弾丸ツアーの概要を説明する。
――花梨ちゃんが『記念バッジ』が欲しい!
以上!
「で……花梨ちゃん……。まさか記念バッジを貰いに行くだけの為に新潟まで行っちゃうのですか?」
「……何を勘違いしている七海!」
七海の予想は大きく外れたのである!
「……記念バッジは『お金を支払って貰うのだ!』」
「人はそれを宗教というのだ!」
日花梨が完璧なツッコミを披露した!
七海が言わなくても日花梨が代弁してくれるパターンである。
意外ではあるが、しゃべり方が『若干』変なだけで常識ある発言をする日花梨だ。
ツッコミだけ入れてキッチンへと日花梨は直ぐに戻った!
「まあ、確かに……バッジ一つ貰うではなく買いに行くために新潟までとは……フリマとかじゃダメなのですか?」
「……七海……何を言っているのだ!『寄付であり、頂くもの!』、神社仏閣のありがたいお守りやステッカーと同義なのだ!」
ドヤ顔をキメる花梨である!
「……あと、宗教など存在しないのだ!」
……ここは『高野山奥の院』の近所だ!
言ってる事が支離滅裂である。
「あのう……花梨ちゃん。窓からお寺がいっぱい見えている探偵事務所で言われても……説得力ないですが……」
ゆるキャラの『高野ちゃん』までお坊さんの格好をしているほど、信仰心の集まる場である。 何より、水槽楽部員に神様まで在籍している状態である。
但し、生物を扱う部活動なのに、死神である。
七海は何か納得できないが、大体の旅行プランを立ててみた。
――1日目、福井県で1泊。お昼過ぎに到着し、スキューバーダイビングを2本程。
ちなみに、水槽楽部員の経験本数は……。
七海『32本』……まだまだ初歩。
花梨『100本』……特殊能力でボンベ無しでも潜れるらしいが……。
奈良『0本』……普通のJKならダイビング経験ある方が珍しい?
愛芽『893本』……仕事で潜っているのか?もしくは水族館関連?
そして……。
日花梨……『自称4444本以上!?』
白崎海洋公園でダイビングのアルバイトまで熟しているが……。
正確な数字は本人も不明らしい。
「そもそも、奈良さんは参加しないのでダイビング経験者だけですね……」
「でも、何で福井で潜るのですか?」
「……あ……それはな……」
花梨が話そうとすると日花梨が割り込んできて……。
「実は、私、『日本海』で潜ったことないのだねだね!」
「そもそも、日本海側へいったことないかなかな?」
『だねだね!かなかな?』と言ってキッチンへと日花梨は直ぐに戻った!
「……まあ、そういうことだ。我々水槽楽部は日本海側へは『ある事件の関係』で行けなかったのだ!」
――何があった!?
「いつもの……茶番劇始まりそうなので、ダイビングの件は置いておいて……」
「お宿どうします?」
「あ!丸太さんに泊まるよん!」
「マルタ?さん?ですか?」
「そそ!ログハウス風の民宿だねだね!ダイビングの関係で知り合いの民宿だねだね!」
1泊目は任せろ!と言わんばかりに……っと言ってキッチンへ……。
いちいちバタバタ騒がしい日花梨だ。
「……うむ。夏なのでカニは無いが、海鮮舟盛りはあるぞ!」
1日目はダイビング民宿で宿泊。既に決定事項だった。
「花梨ちゃん、1日目は決まっちゃっていますけど……2日目は何処辺りまで行っちゃいますか?」
「……ふむ、『左手の人差し指を私に向ける』……」
七海は花梨を指差してみた。
「……そして、人差し指を第一・第二関節曲げる。第三は曲げたらダメだぞ!」
七海は花梨が何をしたいのか?判らないようだ。
「……で、手前に引いて観てみる。丁度、第二関節の辺りにキャンプ場があるのだ」
「あら?能登半島の輪島ですか?」「輪島だねだね!朝市に行けるよん!」
愛芽と日花梨が石川県の能登半島・輪島をピタリと当てた。
「って!なんでそれで判るのですか!?袖ヶ浜キャンプ場……ホントにある!?」
スマフォでクモの巣キャンプマップで確認すると。確かに第二関節中央にあった。
「……うむ!今回、2日目はキャンプとする!」
「なんか……民宿とかの方がイイと思うのですけど、女子4人で行くのですから」
「……実は、新潟のお宿が『高い』のだ。旅費を節約するために一回はキャンプにする」
「新潟なら和歌山よりずっと都会ですし、安くて良いホテルありますよ?」
「カプチーナワイナリーに泊まるよん!もう2泊予約もしているのだ!」
料金を調べると、驚異の『2泊42,500円!?』だった!
……七海は、『絶対に海水水槽がある!』と確信した!
今回の旅行で一番乗り気なのが『日花梨』だからだ!
七海はジト目をしながら、とりあえず聞いてみることにした。
「水槽あるんですか?」
――超!ド!ストレートだ!
「ワインと葡萄しか無いよん??」
ほぼ100%怪しいが、七海はツッコミを入れるのを止めておいた。
結果、『カプチーナワイナリー』に泊まる事になる。
七海は無駄な抵抗は控えた。
――いやまさか……二泊すると『425』のゴロに合うというオチでは無いはずだ!
最終日に新潟から和歌山まで一気に帰ってくるプランだったが……。
七海の提案で、長野・木崎湖にて一泊キャンプして帰る事になった。
大体ではあるが、宿泊の把握が出来た頃合いに……。
「ナナちゃん!花梨ちゃん!お昼ごはんできたよ!」
「お昼にするする!」
日花梨と愛芽が出来たての昼食を持ってきた!
七海達は、旅行も大切だが、美味しそうな昼食を楽しむ事にした。




