第03話 免許センターにまで『水槽!?』
無事教習所を卒業した七海は、免許センターに来ていた。
――寄贈……『東高校水槽楽部』……。
「花梨ちゃん……免許センターまで水槽寄贈しているのですか!」
七海は水槽にツッコミを入れた!
「む?君はこの水槽に興味があるのかい?」
免許センターには立派な『海水水槽』が設置されていた。
生体をメインとした『ファインディング』な水槽だった。
カクレクマノミが沢山泳いでいる。
「あ……いえ……私も水槽楽部なので……」
「ああ!東高校の生徒さんなのか!?」
「丁度良かった!キャビネット内の機材が調子が悪いようなんだが……一昨日に君の部の『メンテナンス依頼ページ』にメッセージを投げて置いたのだが……返答が来なくてね」
七海は心当たりが……なんとなくあった。
「あのう……すみませんが……もしかして……免許センターのメールからお問合せ戴きましたか?」
「ああ、そうさせてもらったのだが……何か問題あったかな?」
――大有りだった!!
……「免許センター=警察組織」である。
GRPの『対マル暴』フィルターに『プロテインスキマー』のように排除されている可能性がある。
「あのう……ほんと……すみません。今度から『生徒会』のメールに送っていただいて良いでしょうか?」
「それは構わないけど……?」
疑問に感じて当然である。だがあえてふんわりとスルーした。
「それでなんですけど、調子が悪いって?機材でしょうか?」
「ああ、泡がモコモコ出るやつが止まっているようなのだけど……」
「あ!とりあえず、免許証が発行されてからでもいいから観てもらえるかな?」
「わかりました、発行終わってから観させてもらいますね」
七海は、『試験に合格』して免許の発行の手続きの最中だった。
丁度、『交通安全協会』のカウンター前で、免許証の出来上がりを待っていた。
「川崎さん!川崎七海さん。7番のカウンターまでお越しださい」
「はい!」
――七海は……普通二輪免許証を受け取った!
「楽勝!楽勝!……それより……水槽楽部の二輪強襲部隊の方が厄介……」
七海は『夏休み新潟弾丸聖地ツアー』の方が怖かった。明後日、高野山の名水探偵事務所にて『ミーティング』が行われる予定である。
免許の発行が終わった七海は、免許センタの水槽メンテナンスを開始することにした。
◇
免許センター入り口近所に設置されている『キッズコーナー』の手前に設置されていた。
水槽の大きさは『180cm』位の『アクリル』水槽だ。
水槽の構成はシンプルで『ライブロック』と、色とりどりの『スターポリプ』『チヂミトサカ』『マメスナギンチャク』でレイアウトされている比較的『硝酸塩』が溜まっていても問題ない構成だった。生体をメインとしている水槽だ。
七海は『免許センターの水槽』には一度も関与していなかった。
設置されていたことすら知らなかったくらいだ。
キャビネットを開けて『システム』の確認をすることにした。
「なるほど……ベルリンシステム……じゃないのね」
※ベルリンシステムとは……端的に言えば、ライブロック兄者とプロテインスキマー弟者の2人で根性で乗り切るシステムのことだ。濾過材を使わないのが特徴である。
「……リバースによる吸着と『プロテインスキマー』によるタンパク質除去、『リング濾材』による生物濾過ね」
「定期的な水替えによる『ミネラル分確保』と『硝酸塩の排出』かな。どうしても魚を沢山入れるならベターかな?」
問題は、その『プロテインスキマー』の故障のようだ。
七海は『プロテインスキマー』のメンテナンスをすることにした。
実際にプロテインスキマーを止めて中を確認すると……。
「ただの目詰まりなのね……これなら洗浄するだけで泡が戻るかな?」
七海はサクッとプロテインスキマーを掃除して元に戻して置いた。数日動作が不安定だったせいか、スイッチを入れると勢いよく泡が噴火した!
「……水替えした方が良いかな……でも、人工海水どうしてるのだろ?」
七海は、人工海水が無いか訪ねることにした。
受付で聞いてみると、人工海水は『東高校』から輸送してきていることだった。
『免許センター』から『東高校』までは5km位しか離れていないので、学校から持ってくるのは正解であろう。
七海はスマートフォンを取り出し……
ある組織に電話をした!
「……はい、こちら黒龍会食パン配達部」
「もしもし、七海です。配達お願いします」
「白い粉を水で溶かした『イワクツキの液体』を80リッター程『免許センター』までおねがいします」
「了解した、丁度そのルートに配達員が配達中だ。20分以内に『東高校』からブツを送る」
水槽楽部の『海水水槽の濃度』は常に日花梨が管理しており一定だ。
七海は、メンテ中の水槽の『海水濃度』を調節し、『80リットル』分水を排出して人工海水の到着を待つことにした。
排出した海水を利用して、『リヴァァァァス』の洗浄をしっかりと行い、リング濾材の洗浄も軽く済ませた。
その後、到着した『人工海水』を注水しメンテナンスの終了とした。
「川崎さん、手際良いですね。あの神畑さんとはまた違った手際ですね」
「日花梨さんは……ちょっとぶっ飛んでいますからね……」
日花梨の水槽メンテナンスの『丁寧さ』は異常だ。七海は効率よく『器用に』メンテナンスするタイプだった。日花梨は、心から海水水槽を愛している。憑依している女の子に影響されているのだろう。
「いつもは神畑さんが定期メンテに来てくれているのですけど……最近忙しいのですか?」
日花梨は…………。
「今、白崎海洋公園のお手伝いに行っていますね……学校休んで……」
正確には、『課外活動』として生徒会の活動の一環で行っている。
……これを……職権乱用と呼ぶ!
「今日の夕方には戻ってくる予定です。明後日の土曜、高野山へ行く予定ですので」
「まさかと思うけど……川崎さん、免許取り立ててで、高野山へツーリング……?危ないから安全運転で!それに、あそこには龍神の主が出るから……煽られても勝負……とかしたらダメだからね!」
龍神の主か……と七海は呆れた表情をした。
龍神の主とは……『GWキャンプの時に遭遇』した『KAWASAKI H2』乗りの事だ。
――七海の母親である『川崎 心桜』の事でもある。
「……多分……その人は私とは……無関係な人です」
「でも、まあ、和歌山広いからね……原付き位乗れないとホント……ここら辺り何も無いからね……」
「まあ、水槽楽部の活動頑張ってね!東高校水槽楽部は頼もしいよ!」
学校周辺の『公共施設の水槽』は『水槽楽部』がボランティアでメンテ・設置をしていた。
先日、感謝状が届いていた。
「すいそうがくぶのおねぇさん!ありがとー! あずまほいくえんえんじより」
……最高の感謝状だった。
……器用貧乏な七海が受け取ったどんな賞状より嬉しかった。
そして今日も七海は『交通センター』の水槽のメンテナンスをした。
……いつの間にか、七海は、水槽楽部が大好きになっていた。
明日から、『新潟聖地巡礼の旅』の準備が始まることに『少しワクワク』してきていた。
――発行されたばかりの『免許証』を握りしめて。
――『今日までお世話になった自転車』に乗って家に帰る。
――明日からはバイクに乗って、もっと遠くへ旅に行ける。
――大好きな『水槽楽部』のみんなと一緒に……。




