第65話 まさかの『隊長皆殺し(唐揚げ)事件』!?が発覚した夜の出来事
まさかの『隊長皆殺し事件』!?が発覚した夜の出来事だ。
例えどんなにキレイな言葉や言い訳を言おうが、大和隊長を無残にも『高温の油で揚げ』、赤い血の池に放り込み、長時間の間加熱する愚行をした水槽楽部であった。
その後犯人共は……
自称悪徳地獄の案内人……
「へへへっ。今年の大和隊長の味は格別だったぜぇ!だぜぇ!」
自称悪徳組長娘……
「やはり下処理段階での、バケツ責めが有効だったのでしょう!」
自称悪徳女子高生探偵……
「……うむ!去年は下処理を行わず、生きたまま『白い粉にぶちまけ』『鉄板で地獄焼き』にしたせいか、若干ではあるが内蔵が臭かったのだ!
「今年は、七海が良い仕事をしてくれた。来年も……いや、冬前にもう一度来ることにしよう!」
「ぎゃ!ぎゃ!ぎゃ!」「ぎゃ!ぎゃ!ぎゃ!」「ぎゃ!ぎゃ!ぎゃ!」
――焚き火を囲んで小悪人3人が語り合っているのである!
……間違いなく、第2話で村の娘を○○し、第3話Bパートで主人公に始末される運命のモブキャラ3人である。四天王最弱の腰巾着的会話である。
「奈良さん、水槽楽部員は……茶番劇大好きですよね?しかも、モブキャラ&死亡フラグネタに特化した……」
「そうね、去年はこのメンバーに姉様が『村の娘A』扱いにされて揶揄されたものよ……ハッキリ言って不快しかないわ!」
――『パチン!』
大量の薪で勢いよく焚き火の炎を上げている。焚き火の木が爆ぜて爆発すると……。
「……!?敵襲か!?何処から狙撃を!?」
「何処の部の鉄砲玉だ!放送部か!?近年学園内で不当なるプロパガンダを垂れ流す悪党共め!?」
「へっへっへっ!花梨会長!今度放送部宛にピザ42枚送りつけてやりましょうぜ!」
……いやいや!日花梨さんセコいな……。あと、東高校はド田舎な為、ピザの配達はお断りされています。
というやりとりを薪が爆ぜる度にやっているのである。
そうそう、去年はこのメンバーに「明日香さん」が加わっていたのだ。今何をしているのだろうか?順風満帆に行っていれば、大学生か専門学生、最近では少なくなった就職組かもしれない。
「奈良さん、お姉さんは今どうされているのですか?」
「ん?家にいると思うわ」
……ちょっと端折り過ぎた……
「あ、ごめんなさ、卒業されてからどうされているのかなって思って」
「姉様は家にいるわ」
……あれ?……これはまさか……水槽楽部員に茶化され続けて『自宅警備』の職に就かれているのか!?
「ああ、ライターの仕事をしているからほぼ家にいるって事よ!」
「ええ!すごいです!ライターの仕事やってるのですか!……って、奈良さんもですよね。姉妹揃ってなんかウラヤマシイ!」
「そうでもないわよ。姉様はライター1本で生活出来るほど稼げていないわ。私は……まあ、そこそこ頂いているけど。姉様はこれからの人材よ!」
……ほんと、ごめんなさい!アニメや漫画でよくある展開であった!妹がハイスペック過ぎてごめんなさい!これは察しておかねば。
今回のキャンプで奈良さんとフランクに会話できるようになったと考えて良いのだろうか?一方、暴走特急3人衆は……
「……ふむ、今年の水槽楽部としての活動目標をそろそろ決めておこうと思うのだが」
「ですね。文化祭の出し物の練習もそろそろ始めておかないと。練習量こそ成果に繋がりますので」
……文化祭の出し物?練習量?
「だねだね!今年は、奈良ちゃんとナナちゃんも増えたことだし、バンドメンバーとしては十分だねだね!」
――何故バンド!?
「……今年の文化祭は『オリジナル曲とする!』」
――メンバー全員に緊張感が走った!?
緊張感の安売り大放出でもある。
「あのう……水槽楽部なんですから、部室を使って水槽を紹介とかすればいいのではないですか?」
水槽楽部なのだから、水槽を紹介すれば良いのだ!
「あ?え?ん?水槽楽部という部自体は存在していないのだ!のだ! 」
……?
――おい!まさか!?
「あ、七海さん、実は水槽楽部は実際は生徒会ですからね。建前上、アクアリウムにかかる資金源は花梨さん出資で行われているのですよ。部としては存在してませんし、登録してませんので、生徒会としての出し物を舞台で1つする必要があるんです」
――!?生徒会の経費で昼・夕食べてしまっているぞ!?
「いや……まさかとずっと思っていましたが……それってアリなのですか?水槽楽部で結構活動してますよ?公休とか取ってますし」
「生徒会役員としては、和歌山で一番活動していますよ?対外的にも活動をしていますし」
朝の挨拶と水槽しか触っていないぞ!……振り返ってみたら、学校のウォーキングイベントも生徒会仕切りで実行していたか?コミュニティセンターの水槽設置もボランティア活動とも言えばそうなりそう。
「そもそもですが、生徒会が『各部の部費の実権・配分・申請』や『各種横暴な活動』なんてアニメやラノベ脳の中だけです。何処の学校も実態は『朝礼の挨拶』と『掃除習慣の頑張りましょう!』ってポスター作るぐらいですよ」
「……うむ!体育祭とかで学校の旗持って行進して、卒業式にテンプレート読み上げるだけだ」
それ言っちゃったら、おしまいです!
「まあ……そう……ですよね。中学の時にやらされてたので実態は理解しています……」
中学時代に担任に呼び出され『出来レースの選挙』をして1年間グダグダやったのは覚えている。誰も立候補しなかったし。
「……我々水槽楽部は何処にも属さず、束縛を受けず、常に独立された組織として成り立っているのだ!」
――ドヤ顔である!何処かで聞いたことある台本のように思えたのだが……双葉に聞けばすぐに答えてくれそう?
「好き放題活動していますが、ちゃんと生徒会の活動をこなし、義務は果たしてますね。それから、今年は七海さん、奈良さんが仲間入りしていただけたお陰で、昨年度より生徒会運営は助かっています。去年は……実質2名でしたので……」
生徒会は完璧なる隠れ蓑である!秘密結社『水槽楽部』であった。その維持を去年は愛芽さんと明日香さんの2人で支えていたようだ。しかし、明日香さんのスペックは奈良さんとの会話で結構低そうである。実質1.5人位だっただろう……か?
「去年は、姉様が生徒会を引っ張っていたから素晴らしい生徒会だったわ!姉様はやれば出来る人なのよ!」
おーっと!姉様愛が姉様を貶める会心の一撃を与えた!
その後、何気ない会話と、薪が爆ぜる度に『大道芸』を繰り広げながら深々と夜が更けていった。
更けて……アレ?……あ!そうだ!
「あのう、お風呂はどうするのですか!?」
「あ……」「あ……」「ありゃ……」
小悪人三人衆は絶対入っていないだろう。
「七海さん、川湯に来たときに温泉が出る公衆浴場入ってこなかったのですか?私は間を観て既に行ってますよ?」
い、いつの間に!?
「ええ……キャンプってお風呂どうするのかなーっと。そこそこのキャンプ場にはシャワーでもあるかと思ってました」
「実際、あるところも多いけど、基本的にはアテにしてはいけないわ。まだ温泉が閉まるまで時間あるしお風呂行く?」
「あ!いいですか!?やっぱりちょっとベトベトするの嫌なので、出来たら温泉に入りたいです!」
その後、奈良さんと2人で『温泉ではあるがオールドスタイル』の温泉を堪能してきた。
ビンテージ物やアンティーク好きでも『若干』受け入れがたい『クラッシック調』の温泉だった。
備え付けの『石けん』すら置いていない実質、銭湯だった。
――ただし、お財布に優しい250円という破格だ!しかも当然温泉だった。スコップで河原を掘ったらジャンジャン沸く川湯温泉だけのことはある。温泉は『源泉加温無し』でジャンジャン『垂れ流し状態』である。
源泉掛け流し?……いやいや!川湯温泉は道路の側溝まで湯気が上がっているほど垂れ流し状態の湯量。止水栓など風呂を洗うとき以外はフルオープンだった。英語に直せばどっちも『オーバーフロー』なので特に違いは無い。
そもそも、川から温泉が噴き出しているので源泉という概念がよく判らない場所だ。
源泉?ああ!そこら辺スコップで掘ったらジャバジャバでるわ!状態である。
……が、キャンプ場は温泉出ません!
温泉を堪能して、テントに潜り込んだらそのままグッスリと眠ることが出来た。
こうして1日目は『隊長を美味しく頂いて』終了した。
その後のキャンプは隊長を食する『暴挙と大事件』を超える事件は……さすがに起きなかった。
七海達は充実したGWを過ごし、5月末……恐怖の中間試験を迎えることになるのだった!




