第62話 ヤマト隊長スカウトキャラバン!?あっさり終わり、昼食タイムである!
日花梨さんの作った昼食を美味しくいただき、水槽楽部ブートキャンプの本題であるヤマト先生のスカウトを開始することになった。
「花梨ちゃん、本当にこの川にエビ居るのですか?」
「……うむ、問題ないヤマト隊長はおられるぞ!」
川を凝視してみると……魚もいないのだが……。
「太平洋と繋がっている川の中流より上の地域に生息していますので、この川にもいますね」
愛芽さんが『網』を持ち出し、止水域の若干水が淀んでいる場所を中心に網を入れた!
「あ、結構取れましたね。」
そんなに簡単に捕れるのか!?
網の中には魚や落ち葉、その他の謎の物体も沢山掬い上げていた。用意してあったバケツに移し、小さな網で『ヤマト隊長』だけを掬い上げていった。
「ほ、ほんとに生息しているのですね!ミナミヌマエビ……ではないですよね?」
「ミナミとは違いますね。和歌山はどちらも採集できますよ。ミナミヌマエビは淡水だけで一生を終えますが、ヤマト隊長はアユと同様の両側回遊のエビですね。一度海に出ますので海と繋がっている川でないと生息してません」
鮎と一緒とは!……なるほど……和歌山の川には『鮎』が生息している。鮎が釣れる川には『ヤマト隊長』がおられる可能性がある。キャンプ場に来るまでに、『鮎の鑑札』を販売している場所と『おとりの鮎』を販売しているお店があった。
花梨ちゃん、愛芽さんと私の3人で『ヤマト隊長』のスカウトに明け暮れた結果……。
「沢山取れましたね!……おっと、沢山スカウトできましたね!」
「……うむ!隊長がこれだけスカウトできると部室のヤマト隊長に当分は困らないだろう」
「そうですね、かなりの量取れましたので、窒息死しないよう携帯用エアーポンプでエアレーションしておきますね!」
「……うむ!定期的に水替えをして排泄物を処理しておくように」
「花梨ちゃん、餌は与えなくていいのですか?」
「……お食事は部室に帰ってからなのだ。川で食べた物を一度全部出し切ってもらってから水槽に入れるのだ。茹でたホウレンソウなど用意して好待遇とする!」
絶食して一度スッキリなさってから美味しくいお食事を提供するのか。
「おーい!ナナちゃーん、花梨ちゃん、愛芽ちゃんお昼出来たよん!」
丁度良い頃合いに『昼ご飯』が出来上がったようだ……!食事の話
「この時……の七海達は……『夕ご飯』での惨劇に怒り狂う事になると思いもよらなかったのであった……!」
「……あのう……日花梨さん?何をブツブツ言ってるのですか?」
「ありゃりゃ!聞こえたかなかな?夕ご飯のメニューをちょーっと考えててね!やっぱり、部のキャンプじゃないかなかな?『食育』っていうのも重要かなかな!って思ったりしたの!」
――何を考えているんだ……日花梨さんが『何か』企んでいるようだ!
「あのう……料理の一つに『タバスコ入り!』とかベタな罰ゲーム辞めてくださいよ!」
「しないしない!みんなが美味しく食べられる料理考えてるよん!」
――日花梨さんが私達の後ろをチラッと見た気がした!
何か怪しいことを考えている日花梨さんだが、まずはランチを頂くことになった。
カリッと焼いたトーストに『レタス・トマトと生ハムを挟んだサンドイッチ』と『目玉焼き・ベーコン・トマトを挟んだサンドイッチ』の2種類が出来上がっていた。どちらも『チーズイン!!』である!
スープに『キャベツたっぷりポトフ』が付け合わせに用意されていた。この量を私達が遊んで……おっと!失言である!水槽楽部の野外活動中に作ってくれたのである。
「さすが日花梨ですね!これだけの量を一人で作ったのですか!」
「無理無理!私が作ったのはポトフだけよん!サンドイッチは奈良ちゃんが作ったんだよん!」
我が水槽楽部は既にグランピングを超えているのである!
……一歩間違えれば難民キャンプである!そのうち水槽置きだすぞ!
「……むむ!その発想はなかった!次回キャンプは水槽を持ち込むとする!」
「花梨ちゃん!さすがにそれはやり過ぎですよ!そもそも、自然採集してキャンプまでしてるんですから!」
今回は人数が多いため、水槽楽部メンバーは『とってもオシャレなレジャーシート』……ブルーシートではないことを強調しておこう!
しかし、奈良さんは……。
「奈良さん椅子持ってきたのですか!?じ、自転車ですよね!?」
「ええ、自転車よ。自転車といっても、オートバイほど荷物は詰めないけど、サドルバッグ積めばこれくらい積んでこれるわよ」
「パチノックスだな!」「パチノックスかなかな?」「いえいえ、鹿番長からの試作品のレンタル品かもですよ?」
……なんだこの反応は!?
「ちがうわよ!ちゃんと正規のヘリノックスの試作品よ!」
正規ではあるが、試作品である!
「……枕か!」「枕なのかなかな?」「雑誌社のコネを使って枕で横流しとかワルDEATHね!」
そもそも椅子である!あと、なぜ『枕』が出てくる!?
「……付き合いきれないわね……川崎さんには誤解されないように言っておきますが、今度雑誌の企画で『キャップ女子のギア特集』がありまして、そこで若い女性向けにオシャレなカバーをデザイン企画で作られた品物でして、雑誌用のコラム記事に載せるんですよ」
「……ステマか!?」「ステマかなかな!」「あれですね!雑誌用のコラム記事に映り込ませてステマして金を貰う阿漕な商売ですね!」
おいコラいい加減にしろ!「食パン探偵!食パン殴る死神!食パン……マフィアの娘!」
よく観ると椅子の柄が……
「椅子の柄にワンポイントに金魚の刺繍がしてあるのですね!」
「そうなのよ!このデザインは私の姉様の明日香モデルなのよ!琉金を刺繍した特注品です」
一度明日香さんと会ってみたいな。どんな人なんだろう……勝手なイメージだが、奈良さんの『お姉さん』だから、スラッとしてキレイな方であろう……。
「一度、奈良さんのお姉さんに会ってみたいですね!私って姉妹居ないので……」
「……兄弟ならいるぞ!」「百合なのかなかな!!」「ブラザー!いつでも事務所にきてもいいわよ!」
兄弟の意味が違うぞ!あと、真ん中!それも意味が違う!?
「川崎さんならいいわよ!今度、私の家に遊びに来るといいわ。そっちの『他3名』お断りよ!」
「……グスン」「……シクシク」「……畜生め!」
当然の結果である!なんとなく、奈良さんと花梨ちゃん達との距離が縮まらないのは……茶化すからだろう……。このノリ人によっては不快である。
「ホントですか!今度お邪魔しますね!」
少しずつだが、奈良さんと距離が縮まってきたのが嬉しかった……『生徒会役員』で唯一まともである。味方に付けておかねば……。
ヤマト隊長のスカウトも終え……2泊3日もキャンプ場でやる事なんてもう無いぞ!さてこの先どうなる?




